オーディオ・チェック用にも最適

ブライアン・イーノ『ラックス』
ブライアン・イーノ ラックス
イーノが当代最高峰の前衛/実験音楽家として評価されるきっかけになったのが、1975年の『ディスクリート・ミュージック』に始まる一連の環境音楽/アンビエント・ミュージックの作品群だった。雨や風の音が環境の一部であるように、音楽も周りの環境の一部として捉え、聴き込むことも、無視することもできるという「環境音楽」の概念は、音楽の概念を広げ、ことに90年代以降のロック/ポップ/電子音楽のあらゆる局面に絶大な影響を与えた。本作は久々にそのアンビエント・コンセプトによって作られた作品である。75分にわたって繰り広げられるアブストラクトなサウンド・アーキテクト。ピアノ、弦、電子音、現実音などがゆったりとたゆたうように流れていく。通常のポップ・ミュージックに不可欠なメロディ、リズム、和音という概念が、ここではきわめて希薄だ。徹底して非ドラマティックで、過度なダイナミズムや寓意性や表象性を排した、純粋な音響作品である。坦々と流れていく美しい音の連なりに何かを聴き取るのは聴き手の想像力次第だ。私はとてもロマンティックで情感豊かな音楽と感じた。録音も抜群に良い。(小野島大)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on