2012年の今こそ聴かれるべき傑作

Ken Yokoyama『Best Wishes』
Ken Yokoyama Best Wishes
これほどまでにモチベーションのありかがはっきりしたアルバムは少ない。誰のために、なんのために歌うのか。
 
3.11を境に横山健の意識は大きく変わり、曲作りの根本、音楽に向かう姿勢そのものから改めざるをえなくなった。本作制作にあたって彼は、まず自分が訴えたいこと、伝えたいテーマを書き出し、それにふさわしい楽曲を作り上げていくという、それまでとは正反対のやり方の曲作りに取り組んだという。つまり横山にとって本作は、かっこいいロックンロールであることは当然の大前提として、「何を歌うか」「何を伝えるか」がもっとも大切だということだ。それは、煎じ詰めて言えば、3.11以降さまざまな問題や困難に直面している我々に向けてのメッセージということになる。お互いに繋がること、助け合うことの大切さを、「群れること」を何より嫌う横山が歌うからこそ、説得力を持つ。この時代にロックをやるのなら、仮にもパンクを名乗るのなら、今の状況に口をつぐんでいることは許されないと横山は言うのだ。強い音、強い言葉。その熱さ、真摯さに震える。感動的な作品である。(小野島大)
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