友人のようで、自分の一部のようで

back number『blues』
2012年11月21日発売
ALBUM
back number blues
通算3作目。物語がはじまっていきそうなのに、もたもたしたり、余計なことを考えてしまう歯がゆいシーン。物語が終わりに近づいているけれど、それを止める術もなく立ちつくしてしまうじれったい瞬間。物語は終わってしまったけれど、ひとり、ピリオドを打てずに悶々といくつものエンディングを思い描くような、やるせない時間。そんなセンチメンタルを何度も噛みしめながら、また新しい物語がはじまった時にほんの少しだけ、幸せの見つけ方が上手になっていることに気づく。アルバムを重ねていくなかで、どんどんと幸福の感度が上がっている気がするback number最新作。自分のもとを去って行ってしまった人への恨みつらみを面白おかしく嘯く歌も、やっぱり捨てがたいけれど、“わたがし”や“恋”のような、胸のときめきのピークを凝縮した歌や、“日曜日”のほっこりとしたひととき、“笑顔”や“僕が今できることを”などの、暮らしや自分の在り方を慈しむ歌も、また一段と響くものとなった。「僕」の不甲斐なさは相変わらずだったりするけれど、だからこそ親近感があるのかもしれない。(吉羽さおり)
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