言葉の強さに打ちのめされた

清竜人『KIYOSHI RYUJIN』
2013年01月30日発売
ALBUM
清竜人の5thアルバムは、2月に始まる全国ツアーのチケットとセットでのみ販売される。CD音源とステージの両輪ではじめて真意が伝わると考えるから、との趣旨の説明が資料にある。よってCDのみをレビューするのは制作意図を離れることになるが、あえて断言したい。ここには、私たちの認識の枠組を揺さぶる圧倒的な言葉とメロディがある。
 
幼児性愛の問題に「ロリータ・コンプレックス」の立場から切り込む1曲目に始まり、「バイセクシャル」「ソープランド」……と、すべての楽曲が告白の形を取っている。ただし、本作のすごさは告白自体にあるのではなく、「ぼく」の属性がすべて、私たちもよく知る難題にぶち当たっており、それらを極限的な形で作品化している点にある。たとえば、中学時代の憧れのK子ちゃんがソープ嬢になっていて、彼女の店にサービスを受けに行ったという話をつづった4曲目。清竜人はその切なさや滑稽さを描きつつも、《嬉しい 愛しい 楽しい》とつぶやく。聖と俗、愛と憎しみ――和解しがたい2つの価値が火花を散らす場所で、彼は音楽を生み出そうとしている。(神谷弘一)