9年ぶりの新曲、なのに無敵の現役感
Hermann H.&The Pacemakers『The Best of Hermann H.&The Pacemakers』
2013年03月06日発売
2013年03月06日発売
ALBUM
1stアルバム『SIX PACKS』や2nd『PINKIEY'S ROCK SHOW』収録曲はもちろん、インディー時代のシングル曲も網羅。Hermann H. & The Pacemakersのキャリアをコンプリートする21曲に、新曲(!)“OEM”を加えた全22曲収録のベスト盤だ。90年代USインディーっぽいチープさ漂う遊び心、グランジを彷彿とさせる荒々しくラフなアンサンブル、80年代の歌謡曲っぽい懐かしくて心の奥に染み込んでくる泣きのメロディ――。ここで改めて聴く彼らのサウンドは、再始動の喜びと聴き手の胸にある「あの頃」の記憶と相俟ってキラキラと眩しく輝くのだが、それ以上に嬉しいのが平床政治再加入の一報と共に届けられた新曲“OEM”が放つ現役感だろう。何より、独特のかましたろ感が完全に復活している。ヘルマンがヘルマンを謳歌する様がそのまま形になった1曲、とでも言おうか。トップフォームで戻ってきた4人が鳴らすひとつひとつの音には「ヘルマンであることの喜び」が満ち溢れている。音楽性云々、ビジネス云々の前に、バンドのすごさにメンバー自身が改めて気付いたんだろう。第2章を飾るに相応しい名曲だ。(塩澤淳)