歌が重なり、記憶が暴れ出す

PERIDOTS&宇宙まお『はじめから』
発売中
SINGLE
PERIDOTSと宇宙まおのコラボ。意外、だと思う。少なくとも僕は思った。もちろん、コラボレーションというのは得てして、意外な組み合わせのほうがうまくいったりするものなのだが、それは別にして、歌い手としての特性とキャラクターが、まったく違うふたりだと感じたからだ。だからコラボするとしたら、そのコントラストを最大限に表現するようなものになるのだろうと予想した。しかし実際に聴いたこの“はじめから”、まったくそうではないのだ。僕は甘かった。

もちろんPERIDOTSによるメロディは極上。シンプルなアレンジがそれを引き立てる。そしてふたつの声が重なると、懐かしいような切なさが溢れ出す。タカハシの穏やかな声に隠れていた胸を締め付けるような狂おしさを宇宙まおの声が、そして宇宙まおの無垢な声に潜んでいた取り返しのつかない衝動を、お互いに引き出しあう。そしてそれがひとつになって、僕の記憶を鮮やかに暴き立てる。たまらない。カップリングの“守ってあげたい”(ユーミンのカヴァー)でのタカハシの歌も、“はじめから”のあとではまったく違って聞こえてくる。(小川智宏)