異様な、新しい世界が拡がる

クラーク『フィースト/ビースト』
2013年08月24日発売
ALBUM
クラーク フィースト/ビースト
00年代初頭にクリス・クラーク名義でワープ・レコーズからデビューしたのち、シンプルにクラークと改名。『ターニング・ドラゴン』(08年)『トーテムズ・フレア』(09年)という連作でワープの看板を背負って立つ存在のひとつとなった彼は、オウテカやエイフェックス・ツイン、スクエアプッシャーから連なるそのレーベルの伝統=UKテクノの本質的自在性を(深いユーモアをたたえた)快感とともに発揮する音楽を作りつづけてきた。

「世界そのものが音楽であり、脳味噌がマイクロフォン」というのは彼の名言だが、〝フィースト(饗宴)〞〝ビースト(獣性)〞というふたつの単語をクールにスラッシュでつなげた新作は、まさにそんなフレーズにふさわしい、とんでもないものとなっている。彼自身の新曲や(盟友ビビオらによってリミックスされたもの含む)ニュー・ヴァージョン、そしてマッシヴ・アタック、バトルス、デペッシュ・モードら計24アーティストのトラックを新たに再構築したものがずらりと並ぶ、CD2枚組。「音楽」の持つ意味を書き換えるかのごとき、スポンティーニアスな挑戦心にあふれている。 (伊藤英嗣)
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