前作『ヴェッカーティメスト』に続き、最新作『シールズ』も2枚組のデラックス・エディションがリリースされる。本作は、そのボーナス・ディスク単体の日本独自盤。内容は、『シールズ』制作時に録音された未発表曲、その前段階にテキサスで制作されたデモ、さらにリミックスを収録した全8曲。演奏はラフだがグリズリー・ベアらしいフックに満ちたソングライティングを堪能できるデモ、多彩な楽器のレイヤーや巧みなバンド・アンサンブルなど『シールズ』収録曲と比べて遜色を感じさせない未発表曲も素晴らしいが、やはり今回の目玉はリミックスだろう。ニコラス・ジャー、ライアーズ、リンドストロームがリミックスを手がけ、いずれのトラックも大胆なアレンジが施され原曲に新たな息吹をもたらすことに成功している。なかでも白眉は、先日ダークサイド名義でアルバムをリリースしたジャーによるアンビエントでミニマル・テックな〝Sleeping Ute?か。ライアーズによるダーク・ウェイヴ、リンドストロームによるコズミック・ディスコも出色の出来。改めて『シールズ』というアルバムのポテンシャルを感じさせて興味深い。(天井潤之介)