表題曲“Missing”は大切な人を失ってずっと時が止まったままだ、という胸をかきむしる思いが繊細なバンドアンサンブルによって彩色された、非常に美しい曲。しかしただ戻らない時を嘆くのではなく、ラストで《悲しみの暗闇も/迷わず一つを照らせるように》と、andropの歌がいつだって未来を照らす光そのものであることが力強く記されている。前シングル『Voice』は閃光のようなインパクトでバンドのスケールとイメージを更新していく、開かれた曲だったが、今回は自らの内面にじっくりと向き合うことでほのかな灯りを見出すような印象、この2曲は太陽と月のような関係性であり、彼らの表現力の広がりを感じさせる。
そして、《恋しくて恋しくて/どこにも君の声はないのに》と歌うように、andropにとって「声」こそ人の姿であることがよくわかる、声紋鑑定があるように、声は各人に与えられた唯一無二の証明書だ。化粧を施した顔でも着飾った身体でもなく、andropが声を求めるのは、本質的で肉体的なコミュニケーションを欲している証でもある。だから聴く者の深くに届くのだろう。(小新井知子)