ラウドがひとつに交錯する時

Pay money To my Pain『gene』
2013年11月13日発売
ALBUM
Pay money To my Pain gene
「ラウドロック」という音楽が、いかに激しく、物悲しく、そして強固で、儚いものであるかを、作品全体で証明し尽したアルバムである。ブルース、パンク、オルタナ、ヒップホップといった多様な音楽的要素が、収録12曲において、まるで螺旋状に交錯し、ひとつの結晶となる。Pay money To my Painの金字塔であるのと同時に、00年代から現在に到る「ラウドロック」の存在意義を明確に定義付けたアルバムと言っていい。

収録曲のうち5曲は、K以外のヴォーカリストが歌っている。しかし、PTPの世界観は全く揺らいでいないのだ。メンバー、そしてゲスト・アーティストも含めて、Kの「不在」という事実に情緒的なアプローチをすることなく、ひたすら音楽的な高みを目指したことが、今作最大の勝因だ。というか、それこそが、Kという男と向き合う、唯一の手段であることを全員がわかっていたのだろう。

アルバム・タイトルには「遺伝子」という意味が込められている。受け取り方は人それぞれだと思うが、この作品を聴いた後では、安易なセンチメンタリズムは抹消されるだろう。(徳山弘基)
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