この色気は老境とは言えない

ウィリー・ネルソン『デュエッツ』
2013年12月25日発売
ALBUM
ジョニー・キャッシュと並んでカントリーの枠に囚われない物語と世界観を届けてきたウィリー・ネルソンが女性カントリー・アーティストやカントリーの素養のある女性アーティストとのデュエットを18曲にわたって繰り広げるアルバム。ついにウィリーもこういう企画に手を出すのかと思いきや、もう80歳だったのだとあらためて驚いた。ウィリーの声は相変わらず元気だし、これは確かに今やっておいた方がいい作品なのだ。ロックに近いところではシェリル・クロウ、アリソン・クラウス、メイヴィス・ステイプルズ、ノラ・ジョーンズ、エミルー・ハリスなどが聴きどころになるが、シェリルやノラ、アリソンなどはどこまでも可憐でかわいい共演になっているのが微笑ましく、胸がときめくような作りになっている。その点、メイヴィスやエミルーは歌でしっかりウィリーの曲中の世界観を生きてみせていてこの辺はさすがといったところ。白眉はホイットニー・ヒューストンがカヴァーした〝オールウェイズ・ラヴ・ユー〟を書いたドリー・パートンや同様に女王格のロレッタ・リンとの共演で、カントリー好きならずとも惹きこまれる。(高見展)