ロンドン拠点のバンドで、ホーンやマンドリンなどを用いた無国籍エキゾ・サウンドにより歌心たっぷりのポストロックを鳴らす、ファンファーロの3作目のアルバム。2年前の前作よりも、大らかな歌とアンサンブルをじっくりと届ける作風になったが、そのぶん歌い込まれるヴィジョンもより壮大になった。何と言っても、タイトルが『滅亡しようぜ』である。SFと幻想の狭間を漂うアートワークにも表れているが、甘美でオーガニックなサウンドスケープと、終末論の淵で踏み留まる思索が手を取り合い、カタルシスへと導いてくれるさまが心地よい。

煌めくエレクトロニック・サウンドも持ち込まれてはいるが、飽くまでもふくよかな生楽器アンサンブルを中心に、新たな視界を押し広げてゆく。以前からのファンも納得の内容だろう。デヴィッド・ボウイやPファンクがそうだったように、ドン詰まりから宇宙レヴェルへと想像力を広げて新たな肯定性を持ち帰って来る。スウェーデン出身の中心人物であるサイモンは、相変わらずUKポップ好みな美麗メロを歌うが、それでもファンファーロのアンサンブルはやはり唯一無二だ。（小池宏和）