誠実で着実な歩み
ザ・フレイ『ヘリオス』
2014年02月26日発売
2014年02月26日発売
ALBUM
ザ・フレイと言えば、05年のデビュー作『ハウ・トゥ・セイヴ・ア・ライフ?こころの処方箋』で一気にブレイクしたピアノ・ロック・バンドで、抗いようのない美メロを次々と生み出してはヒットを飛ばしてきているが、音楽からにじみ出てくるその誠実なイメージは4枚目の新作でもまったく変わらない。心にすっと入ってくるアイザックのヴォーカルと、それを控えめかつ力強く支えるサウンドやバック・コーラスがひとつになって、聴き手を確かな温かさで満たしてくれる。とは言え、例えば先行シングルの“ラヴ・ドント・ダイ”はいわゆるピアノ・バラードとはがらっと表情を変えた異色のナンバーで、マドンナやザ・キラーズなどのプロデュースで知られるスチュアート・プライスと組んだことからも、新境地の開拓にも余念がない彼らの心意気が伝わってくる。オーガニックな独特の持ち味が、エレクトロな要素と出会ってこれまでにない化学反応を起こしているのが新鮮だ。それでもどこかレトロというか、懐かしさを感じさせるサウンドであるところが耳に心地よい。このバンドは裏切らない、そう実感させる力を宿したアルバムだ。(網田有紀子)