その名が広まったのはここ数年だが、実は長い下積みを重ねてきた熊本出身の4人組、BLUE ENCOUNTが、遂に代表曲も詰め込んだ1stフルアルバムをリリース……といったプロフィールにも滲み出ているが、今時にしては、とても愚直な姿勢が印象的なバンドである。ストリングスにはじまり、ラップに早弾き、エレクトロから歌モノまで、様々な要素を取り入れたハイブリッドなスタイルは、一見器用に映るし、キッズに速攻で火を点ける中毒性も孕んでいる。しかし、今のシーンを読んで計算から生まれたものというよりは、好きなものを純粋に追いかけているうちに、こうなったように聴こえてくるのだ。日本語詞と英詞を織り交ぜた歌詞も、あまりにも真っ直ぐ。《俺らの音楽が君の“居場所”だよ!/かかってこいやぁ!》《“D.N.K”和訳》なんて、バンド名さながらに青い。こういうロックバンドが、今のシーンのど真ん中に躍り出ることに対する期待は大きい。ライヴハウスでキッズと顔を突き合せながら、裏表もなく成長してきたそのままで、本当の意味でエモーショナルなロックを轟かせていって欲しい。(高橋美穂)