いやあ、すごい。開始40秒でAメロ／Bメロを通過してサビへ到達する間にキーチェンジしてまた戻ってくるアクロバットまで盛り込んだ楽曲展開の性急さ、4つ打ち裏ハット疾走ビートの快楽性はもちろんのこと、それらひとつひとつにあふれんばかりの衝動と情熱を漲らせてみせる4人のクリエイティヴィティ……昨年11月のメジャー・デビュー・シングル『コースター』に続くKEYTALKの2ndシングル曲“パラレル”には、そんな彼らの驚愕＆感激必至の可能性が凝縮されている。この曲のサビで歌われている《僕らのまだ知らない　とこへ連れてっておくれ》というフレーズはそのまま、僕らがロックのみならずポップ・ミュージックに求める根源的な欲求そのものであり、KEYTALKは（特にこの曲の作詞作曲の首藤義勝は）それをあっさり言語化しながら、そのど真ん中を緻密かつ大胆な楽曲で見事に撃ち抜いてみせている、ということだ。祝祭と狂騒が手を取り合って踊り回るような寺中友将詞曲の “サイクル”や3曲目のライヴ・テイクも含め、彼らの才気の底知れなさをさらに決定づける名シングル。（高橋智樹）