「ジャンルの壁を越えて」と言ったり書いたりは簡単だが、実際にそれを音化するのがどれだけ難しいことか……。だからこそその壁に全霊でぶち当たったり、蹴り上げた試みは深くリスペクトされる。もうじきキャリア10年にも及ぶブリング・ミー・ザ・ホライズン(BMTH)の歴史はまさにそうで、00年代半ば、オリヴァー・サイクスを中心にラウド・ロックやメタル・コアの影響を受けイングランド中部のシェフィールドから出発した彼らの旅は、最新作『ザッツ・ザ・スピリット』によって新たな局面を迎えている。
スリップノットやパンテラなどを手がけたテリー・テイトをプロデュースに迎え4枚目にしてメジャー・デビューとなった前作『センピターナル』('13)は、UKで3位、ALTERNATIVE PRESS MUSIC AWARDSでベスト・アルバムを受賞し大ブレイクを果たした。とはいえ、08年のセカンドからUSでは名門エピタフでのリリース、世界各地のパンク、メタル・コア、オルタナ/クロスオーヴァー系のファンから支持を受けてきたし、メガデスらとのツアー、サマソニも含む世界のフェスでファンを獲得してきたのだから、その爆発は時間の問題であったが、それをさらに越えるスケールの成功を確信させるのが新作だ。
キーボードのジョーダンが入ったことで打ち込み色は強まってきたが、それが今回はさらにこなれ、ハードエッジな矢先はさらに尖り、同時にキャッチーでメロディアスな部分も絶妙なバランスで加わりスケール感につながっている。『ザッツ・ザ・スピリット』によって細かいジャンル分けやこだわりは一瞬にして過去の風景になり、BMTHを違う地点に連れて行くだろう。(大鷹俊一)
アルバム『That's The Spirit』クロス・レヴュー (アルファベット順)
Aimer
ボーカルのオリヴァーの声が、とても好き。憂いを含んで透き通った声。艶のある色っぽさを垣間見せながら、それでいて少年のように鼻にかかった、あどけなさもある声。吠えるように振り絞るように激しく歌う箇所では、まるで恐れるものなど何もないような不敵さを見せながら、同時に、これは祈りなのだろうか?と思わされるような、孤独が見える声。
両極を持ち合わせたものにはいつも惹かれるけれど、彼の声もまたそうだなと聴いていて思う。
シングル収録の“Happy Song”、“Throne”、“True Friends”のインパクトも然ることながら、すべての曲が耳に残って何度ループしても飽きない。取り取りの曲調でありながらどの曲も壮大でメロディックで、そして、怒りに近い悲しみを感じる、絶望に近い期待を感じる。魂のような何かを削って音楽を生み出している人たちなのだろうと思う。
心の鎧をそっと大胆にむしり取って裸にしてくれるこの音の海に、多くの人が浸かってほしいと思う。
Aimer
リリース情報
3rd Album
『DAWN』
- 発売中
- [初回生産限定盤A] DFCL-2150/1 | CD+Blu-ray | ¥3,685+税
- [初回生産限定盤B] DFCL-2152/3 | CD+DVD | ¥3,380+税
- [通常盤] DFCL-2154 | CD | ¥2,980+税
- 【CD】
- MOON RIVER -prologue-
- Believe Be:leave
- 君を待つ
- broKen NIGHT
- Noir! Noir!
- Re:far
- AM4:00
- 誰か、海を。
- LAST STARDUST
- Brave Shine
- キズナ
- DAWN
- MOON RIVER
- 【Blu-ray/DVD】
・Believe Be:leave
・君を待つ
・broKen NIGHT
・誰か、海を。
・Brave Shine
・星の消えた夜にfrom Live at anywhere vol.23
Kenta Koie (Crossfaith)
やはり彼等が唯一無二で孤高の存在である事が今回のアルバム『That's the Spirit』をもって、またもや証明されてしまった。彼等の出してきたレコードの中で同じ様な作品は一枚も存在しない。デビュー当時のいわゆるデスコアやメタルコアというジャンルから脱却を図った前作『Sempiternal』からもさらに飛躍した作品になっている今作を聴いて、同じアーティストである自分もある種の“やられた感”を感じざるを得なかった。今までのアルバムとはサウンド面では他のバンドとは一線を画しつつ、彼等の持ち味であるダークな世界観はそのまま受け継がれ、その上BRING ME THE HORIZONというバンドはROCKという音楽において一番重要な部分である、「傷ついた心達」の為のアンセムを今作でも全力で歌い、叫び続けている。必聴。これまでにイギリス、オーストラリア、アジアにおいて共にツアーした仲であるが、また一緒に共演し、この新曲達を肌で感じるのが楽しみでしかたない。
Kenta Koie (Crossfaith)
Crossfaith
リリース情報
NEW ALBUM
『XENO』
- 発売中
- BVC7-6 | ¥2,778+税
- System X
- Xeno
- Raise Your Voice
- Devil's Party
- Ghost In The Mirror (feat. Caleb Shomo from Beartooth)
- Dystopia
- Wildfire (feat. Benji Webbe from Skindred)
- Tears Fall
- Paint It Black
- Vanguard
- Calm The Storm
- Astral Heaven
MAH (SiM)
はじめに断っておくと僕はデスコアが苦手なリスナーである。が、前作『Sempiternal』を聴いた時の衝撃は凄まじかった。元々の路線からの転換という点を抜きにしてもとてつもなく壮大なスケールは、近年飽和状態のポストハードコアバンド達の中で頭一つ突き抜けたALだった。僕的年間ベストアルバムと言っても過言ではない。そして今作では最早「オルタナティブロックバンド」としての彼らの存在が完全に覚醒確立されたという印象。まさにフリーザの最終形態である。ファンが彼らの変化についていけるかどうか試されているようにすら捉えられる。BMTHがいわば「ロック史の節目」の中心に居る超重要バンドであることは火を見るよりも明らか。彼らが今後のロックシーンにおいて例えばLINKIN PARKだったりKORNのような存在のバンドになれるかどうかは今作でのツアーが大きな分かれ目になるだろう。これを聴かずして2010年代の音楽は語れない!
MAH from SiM
SiM
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6th SINGLE CD+DVD
『CROWS』
- 2015年10月7日(水)発売
- UPCH-27006 | CD+DVD | ¥1,550+税
- 【CD】
- CROWS
- PSYCHO
- 【DVD】
・- LiVE DIGEST - SiM@DEAD POP FESTiVAL 2015 (Day1,Day2)
・SiM AGAINST YOU -答え合わせ編-
Masato (coldrain)
同世代だけあって聴いてきたものや憧れてきたものが同じだと楽曲から共感する。
やってきたことに対する今やりたいことを表現するのはバンドとして難しいがBring Me The Horizonの芯はその楽曲に対する愛を感じられるところ。
ブレていると思う隙を与えない。
『Sempiternal』に続き今一度ラウドミュージックを音楽シーンの中でメジャーなものにする説得力を感じる1枚。
Masato from coldrain
coldrain
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4th Full Album
『VENA』
- 発売日:2015年10月21日(水)
- VPCC-81851 | ¥2,500+税
- VENA
- WRONG
- DIVINE
- GONE
- WORDS OF THE YOUTH
- THE STORY
- WHOLE
- RUNAWAY
- PRETTY LITTLE LIAR
- HEART OF THE YOUNG
- FIRE IN THE SKY
ミヤ (MUCC)
2年余りでもう新譜が届くとは。
BANDの状態がイイんだろうか。うん。良いはずだ。
サウンドも、前作『Sempiternal』の、まるで深い闇から抜け出ようとするかのような
切迫感や、深い眠りから覚めて覚醒したような、暴発感は無い。
じゃあ、どうなったか?聴きやすくなった?それも正しい。
おこがましくも自分らしく表現するならば、
霧が晴れ、視点が定まった。自信に満ちた『表現』をリアルに描いている。
ブレが無く、かなりの重量感、ヘヴィネス。
かつ、
コーラスパートでのVo、オリヴァー・サイクスの表現は、闇を光に変換しより鮮やかに泳いでいる。
この雰囲気、
BMTHとしては
革命的ではないか。
MUCC ミヤ
MUCC
リリース情報
New Mini Album
『T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-』
- 発売中
- [初回生産限定盤] AICL-2894/5 | CD+DVD | ¥2,778+税
- [通常盤] AICL-2896 | CD | ¥2,130+税
- 【CD】
- 睡蓮
- D・f・D (Dreamer from Darkness)
- B.L.U.E ~Tell me KAFKA~
- HATEЯ (正式表記はЯの上に×印)
- レインボー
- Rendez-Vous
- TONIGHT
- 【DVD】
「MUCC TOUR 2015 “F#CK THE PAST F#CK THE FUTURE”」
・ENDER ENDER
・D・f・D(Dreamer form Darkness)
・HATEЯ (正式表記はЯの上に×印)
・MAD YACK
“Drown”
“Happy Song” (Audio)
“Throne”
“True Friends” (Lyric Video)
提供:ソニー・ミュージックレーベルズ
企画・制作:RO69編集部