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渾身の2ndアルバム『WORLD MAKER』完成!異色のバンドが描く
「リアル」と「マジカル」の臨界点とは?

メタルコア/エモ/ロックンロールなど多彩なエッセンスを内包しながら、その見目麗しい出で立ち以上に華麗に咲き乱れていく12の楽曲。ヘヴィなリフと目映いメロディが鮮烈に渦を巻く、ダイナミックなサウンドスケープ。ファンタジックでドラマチックなストーリーが「今、ここ」を生きる我々そのものの物語として飛び込んでくるリアルでマジカルな詞世界……「メンバー5人全員女性のヴィジュアル系出身バンド」という異色の経歴とは裏腹に、このexist†trace(イグジスト・トレイス)というバンドが2ndフルアルバム『WORLD MAKER』で鳴らす音は、ロックの真芯をダイレクトに射抜く揺るぎない強さと確信に満ちている。これまでヨーロッパやアメリカでのアクトも精力的に展開するなど、聴き手を選ばぬライヴ強者ぶりを発揮する彼女たちは現在、都内でマンスリー・ワンマンライヴ『激情スパイラル』を開催、12月14日・渋谷TSUTAYA O-WESTのファイナルに向けて日々闘志と情熱を高めまくっている。アルバム『WORLD MAKER』についてはもちろん、その唯一無二のスタイルはどのように形作られてきたのか?について、ジョウ(Vo)・miko(G・Vo)・Mally(Dr)の3人に話を訊いた。

(インタヴュー=高橋智樹、撮影=徳山弘基)

最初の出身がヴィジュアル系のフィールドだったんですけど、全員女子でやってるバンドって、その時は本当にいなかった。勝負心というか(笑)。「女だけでやっていこうよ!」っていう強い心があって

──実はバンド歴自体は長いですよね。10年ぐらい?

miko(G・Vo) そうですね。全員、このバンドが初めてのちゃんとしたオリジナル・バンドなので。自分たちのバンド歴とともに歩んできた、みたいな感じで。

Mally(Dr) 最初の出身がヴィジュアル系のフィールドだったんですけど。その中で、全員女子でやってるバンドって、その時は本当にいなかったんですよね。そこまで意識はしてなかったんですけど、「全員女子で、面白いことができたらいいな」っていう……勝負心というか(笑)。「女だけでやっていこうよ!」っていう強い心があって。mikoと乙魅(G)は誘った形になるんですけど、その気持ちに共感してくれて。それがバンドのスタートなんですよね。

──その、男性メインの世界にわざわざ飛び込んでいくぐらい惹かれたポイントは?

miko メンバーそれぞれ、その頃に好きだった音楽はバラバラなんですよ。でも、ヴィジュアル系の音楽が好きだったメンバーが多かったので。自然と「……そこかなあ?」っていう感じで。

ジョウ(Vo) でもさ、mikoが入ってきて、最初Mallyと猶人(B)と自分とmikoの4人になった時に、「どういう音楽をやりたいか」っていう話をしたの、覚えてない?

miko してたね! 何かそんなこと言ってた(笑)。

ジョウ Mallyは「パンクやりたい」って言ってたんだよ(笑)。で、自分はヴィジュアル系の雰囲気が好きだったので、ああいう音楽をやりたいって。猶人は「ゴシック系がやりたい」って言って。mikoは何も答えなかったんだよね。「ゴシックって何?」みたいな(笑)。

miko その時はまだオリジナル曲もほとんどなくて。「とりあえず曲を作ってみようよ」っていうところから始めて。でも、最初は何とも言えない……未熟なんですけど、自分たちの思い思いのものを作っていく中で、意外とヘヴィなリフだったりっていう部分が全員一致して好きだな、っていうのが見えてきて。そこから転がっていったようなところはあるかもしれないですね。

──5人の個性を無理矢理ひとつにしていくんじゃなくて、それぞれの嗜好がちゃんとキャラクターになって、このアルバムの音に活かされてる感じがすごくしますしね。

Mally でも、それって「今になって思えば」っていうところがある気がするんですよ。それまでは全然、それぞれのキャラクターとかそこまで意識できてなかったところがあって。「それぞれ好きなこともちゃんとやっていこう」っていう話もしつつ、周りも気にせずに各々やりたいことをやってきた結果、今の形ができてるんだなあって。それまでは「まとめること」のほうが多かったんですよね、イメージ的に。だから……ようやくだよね?

miko うん。見た目に関しても5人バラバラで、個性があるので。担当というか──猶人だったら「黒いメイク担当」とか、私だったら「スカート担当」みたいなのを話し合って決めたんですか?ってよく訊かれるんですけど、そういうわけでは実はなくて。そこも「各々好きなことをやって表現していこう」ってなったら、自然とこうなっていて。お互い「こういうキャラにしてよ」っていう話もしてなくて。男装っぽいメンバーが多いのも、狙ってやってるっていうよりは、それぞれが「私はこれがいちばん輝く」って思えてるからやってるっていう。

ジョウ 自分も最初は、今と違った意味で女子を隠したかったっていうのがありましたね。ひとりだけ声が出る仕事なんで、わかっちゃうんですよね。お客さんから「あの人、女だ!」って。それが当初は嫌で、隠したくて仕方なくて。ヴィジュアル系って、男性のバンドさんが多いじゃないですか。そうなると、女の子のお客さんばっかりの中で、女子5人でステージに立つと──。

miko 「音楽をやりたいんじゃなくて、他のバンドのメンバーと仲良くなったりしたいんでしょ?」みたいなふうにも見られたりしたし。

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ジョウ 最初はそういう意味で「男らしくしたい」っていう感じだったんですけど。でも、初めてヨーロッパに行った時に──明らかにB系なお客さんがいたんですよ、「YO!」みたいな(笑)。実は「冷やかされてる!」って思ったんですよ、「日本からなんかロック・バンドが来るみたいだぞ」ぐらいの感じで。でも、実際のライヴでは、その人がいちばんexist†traceの曲を歌ってたんですよ、一緒に。日本語なのに(笑)。「あ、違う。この人は自分たちの音楽を聴きに来たんだ!」って思って。それぐらいからはっきりと、男とか女とか関係なくて、自分たちは音楽を伝えるためにステージに立ってるんだ、ってわかったんですよね。だったらもっと、自分の思うカッコいいことを表現していかなきゃな、って思ったぐらいの頃から、自分に合う「カッコいいジョウの作り方はどういうものか」っていうことを考え始めたかもしれないですね。それで今は、mikoみたいに女性の格好をするよりは、男性チックなパンツ・スタイルのほうが自分には合うなと思って、そっちのスタイルでやってますね。

「最近のexist†traceはポップになりましたね」みたいなことを言われるんですけど。もしかしたら、それぞれ武装が外れた、いち人間として生み出した音楽だから、そう思われてるのかもしれない

──やっぱりヴィジュアル的な面もそうだし、曲によってゴシックだったりメタルっぽかったりする感じもそうだけど、ものすごくロマンのある世界ですよね。単にドラマチックにしたいっていうだけではなくて、リフにもメロディにも、そのロマンのスケールに見合うだけの音と表現がしたいっていう切実さがある気がして。

miko めっちゃ褒め言葉として受け取ります(笑)。

Mally 初めて「ロマン」っていう言葉を言っていただいて。すごい嬉しいです(笑)。

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miko 結構、私が妄想癖というか、妄想大好き人間で(笑)。曲にしないまでも、ちっちゃい頃から妄想の世界の中で生きてる人間だったので。物づくりが昔から好きで、でも、絵を描いたりとか、工作とか、絶対誰かに一歩手前で負けてしまうというか。「あの人のほうがカッコいいものを作ってるな」「あの人のほうが素敵な絵を描いてるな」って。「私はこういうのはできないんだな」と思ってて。でも、曲作りをし始めた頃に、「これってもしかして、私のやり方とすごく合ってるかも」と思って。私の頭の中の妄想を、99%に近いぐらい形にできるのが音楽、曲作りなのかなって。それがきっかけ──までは行かないかもしれないけど、「この世界で生きていきたいな」と思ったので。音になってないけど、頭の中で膨らませたものがすごくある曲ばっかりなので。匂いとか質感とか、湿気とか、曲作りの時にも実はすごく考えながらやっていて。そういうのが……伝わっていたならいいな、って思いますね。

ジョウ 今、「ロマン」って言われてすごく「ああ、こういうことだったのか」って思ったのは……普段の自分って本当に、ただただディズニーが好きな人なんですよ(笑)。ディズニーだけに限らないんですけど、主人公たちの大冒険があったり、お姫様たちのロマンスがあったりとか、観ているこっちがその中の主人公になれるぐらい、どっぷりハマれるものがあるじゃないですか。mikoが作ってくるものって、自分の中ではそれに近いものがあるなと思っていて。前回の『VIRGIN』の時もそうだったんだけど、mikoが普段いろんなところから吸収してくるものから生まれる妄想が、歌詞にまるっと出て来ていて。それを、いちファンの自分が楽しませてもらって、どっぷりハマらせてもらっていて──他人事みたいな言い方になっちゃうけど、それに携われるのが楽しくて、嬉しくて。でも、前回の『VIRGIN』の時って、もっと物語性が強くて、「ジョウとして歌う」よりは、「ジョウが物語の主人公を演じる」っていう感じだったんですけど。今回の『WORLD MAKER』はどっちかって言うと、ジョウ自身をそのまま歌に乗せたっていう部分が強くて。すごく「ヴォーカリスト・ジョウ」を表現できたなっていうのは思いましたね。

──それってたぶん、exist†traceの音楽世界が、みなさん自身のリアルな表現になった、っていうことだと思うんですよね。それぞれのヴィジュアルが、「女性に見られないために」っていうある種の武装としてスタートしたところから「個性の表現」になったのと同じで。

ジョウ そうかもしれない。結構、「最近のexist†traceはポップになりましたね」みたいなことを言われるんですけど。もしかしたら、それぞれ武装が外れた、いち人間として生み出した音楽だから、そう思われてるのかもしれない、と思いましたね。

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