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鈴木 もう、今死んでもかっこよくないじゃないですか。45か、ちょっと早いなあ、惜しいなあぐらいで終わるじゃないですか。じゃあもう、世界がどうなるのか、長生きして見届けてやるっていう

── 《残された世界が/どれだけ傾くのか 見届けてやるよ》("short hopes")って、すごい「Stayin' Alive」の在り方ですよね。

鈴木 そうなんですよね。ここまで来ちゃったらもう、今死んでもカッコよくないじゃないですか。45か、普通じゃん、ちょっと早いなあ、惜しいなあぐらいで終わるじゃないですか(笑)。時代の感じも、建前では「未来」がどうとか言ったりするけど、あり得ないじゃないですか、日本が景気よくなるとか。だって、人数どんどん減ってくわけだから。そんなの単純に、生活の在り方を変えればいいだけなのに、バブルの感じを引きずったまま同じ生活をしようとするから、無理が出てくるわけで。それを「暗い」とは言わないとはいってもですよ?僕らみたいな、特に青春時代がバブルな感じだったので、景気は悪く見えるじゃないですか。それに対して文句を言うとか、「もういいや」ってなったりとか……そうやって時代の波に流されてダメになりそうな歌といえば歌なんですけど。最終的に開き直るというか──神様がいたとしても、むしろどんどん悪い方向に行ってる気もするし。じゃあもう、世界がどうなるのか、長生きして見届けてやるっていう。20代だったら「死んでやる!」とか「閉じこもる」とか──。

── 「ぶっ壊せ!」とかね。

鈴木 そうそう。だけど、そうではなくて、「どれだけ傾くのか、こっちも一緒に傾いてやろう」っていう。

── そう。だから、最初にも言った通り、「Fight」でも「Survive」でもなくて「Stayin' Alive」の凄味なんですよね、このアルバムの根底にあるのは。それは10代20代のバンドにはなかなか打ち出せない視点だと思うけど、同時に10代20代にも必要不可欠な視点だと思うし。

マエカワ うん。たとえば「Fight」とか、あるいは「Destroy」でもいいんだけど、それはそれですごいパワーのある言葉だし、大事なことではあるんだけど。この「Stayin' Alive」っていう、「一緒に行ってやるぞ」っていうことも、同じくらいパワーの要ることだし、俺らの活動の総括でもあるぐらい。他から見たら「あいつらよくやめんな」って思うくらい、やめるきっかけなんかいくらでもあったと思うんだよね、それこそ東京に出る前から。ライヴハウスに出て「おまえら、うちに出てるバンドの中で一番ヘタだぞ」って言われてたりしてたわけだから。そこでヘコたれる人だったら、もうやめちゃってたかもしれんけど。俺らはマインドが強いっていうよりも、鈍感なんだよね。マインド全然強くねえんだもん、特に鈴木なんて(笑)。でも、それを「ああ、そうすか」ってプラスにできるのって、やっぱり才能だと思うんだよね。長くやったら浮き沈みがあるって知ってるから、もっとでかい浮き沈みがあるかもしれんしさ。でも「Stayin' Alive」なんだな、っていう感じで行くんだろうな、行くといいな、って。

鈴木 これぐらいのバンドが25年も続けられてて、メシ食ってられるっていうのは、若い世代に──全員とは言わないですけど、ある層の人たちにとっては、勇気づけることができるかもしれないですね。世代的なムードが変わってきてるじゃないですか。あんまり若い子で「一攫千金」とか「僕、億万長者になってやろうと思います」とか──僕らの世代はあったんですけど、最近はあんまり聞いたことがなくて。まあ、IT企業の人とかはもしかしたらいるのかもしれないけど。それよりも、「バンドを長く続けたい」とかいう目標を、若い子がすでに言ってるんですよね。僕ら、「続ける」なんていう目標、全然なかったですよ?そんなことじゃなくて、ウワーッと人集めて、でかいステージに出て、とか……そういうのをあんまり聞かないですよね、一緒になって知り合ったバンドとかからも。

マエカワ 永ちゃんの"ゴールドラッシュ"とか、まさに一攫千金だもんね。ああいう感じってどんどん薄れていってるし。それはしょうがないよね、世の中先が見えないし。

鈴木 でもまあ、「どかーんと売れなくてもいいから、死ぬまで音楽を続けていたい」とか、そういう欲求に変わってきてるから。その意味では、僕らみたいなバンドが、あんまり自信のないことばっかり言ってると良くないなあっていうか。そこは胸張っていいかな、って思いますよね。

マエカワ かと言って、「いや、いいの。俺たちはこの先もヒット曲なくていいの」なんて全然思ってないから。ヒット曲ほしいし、自分らの作る曲を響かせたいからさ。

鈴木 こっちは成り上がりたい世代だから。まだゴールドラッシュ狙ってんだ!実は(笑)。

提供:ソニー・ミュージックレーベルズ

企画・制作:RO69編集部

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