祝・デビュー10周年!
もはやイギリスを代表するロック・バンドとなったカサビアン、気合の新作『48:13』をドロップ!
いよいよ来週に発売日が迫ってきたカサビアンの通算5枚目にして、デビュー10周年を飾る作品でもある『48:13』。グラストンベリーのヘッドラインをはじめ、地元レスターでキャパ5万人のライヴ、さらにソニックマニアのヘッドラインとしての来日公演も控えているわけで、まさにアニバーサリー・イヤーを盛大に祝おうぜ!という本人たちの気合がそのスケジュールからバリバリ伝わってくるわけだが、言うまでもなく、もっともその祝祭ムードが強く反映されているのがこの最新作である。「ギターを弾くこと自体を自粛」することを考えていたとサージが告白しているが、積極的にエレクトロ/ダンス・ミュージックに接近した本作は、バンドの未来を見据えたこれまでになく挑発的で攻撃的なもの。UKを代表するロック・バンドに成長したとはいえ、そこで余裕をかますわけではなく、常に前のめりな彼らの姿勢は実に清々しい。
とはいえ、先輩オアシス譲りの「おらおら感」もまた、彼らの大きな魅力。今回は、『ロッキング・オン』7月号で展開しているサージとトムのロング・インタヴューの未掲載部分をお届けする。ふたりの“ドヤ顔”が手に取るようにわかる、この内容。ホントにとことん愉快なやつらである。
(インタヴュー:内田亮/通訳:坂本麻里子)
単純な話、おれたちはこれまでになにも「恐い」と感じたことがない(サージ)
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今回、昔の『ロッキング・オン』に掲載されたインタヴューを読み返していたら、カサビアンはオアシスがデビューした、ちょうど10年後に当たる2004年に登場したことで、サージ「10年ごとにサイクルがあるんだよ」ってあなたたちが話してたんですよね。デビュー10周年を迎えた今、あなたたちから「王座」を奪いそうなバンドがいると感じますか?
サージ
「おれとしては、『こいつらだ!』って言いたいとこなんだけどね。でも、どうなんだろう? まだそういう音楽を自分は耳にしてないような気がする……。まあ、きっとおれが耳にし損ねてるだけなんだろうな。ただ、おれとしてはそういう音楽の登場を待ちわびてるんだ」
サージ
「ていうか、単純な話、おれたちはこれまでになにも『恐い』と感じたことがないからさ」
サージ
「いや、別に傲慢で言ってるわけじゃないんだけど……。とにかく、おれたちはある意味、自分たちだけの世界にすっかりかかりきっちゃうバンドなんだよ。だから、誰もおれたちがやってることをやっていないと思うし、実際、おれたちのやってることは誰もやれないはず。なにしろ、おれたちのやってることってすごく風変わりでみょうちくりんだから。エレクトロニックな要素が強くて、それにヒップホップから60年代後半のロックを混ぜ合わせてるわけで。おかしな組み合わせだよな。それにトムはとりわけユニークなフロントマンだし。要するに、おれたちはとにかく他とは別のところにある、自分たち独特の居場所を探せたってこと。だから他の連中がそこに来ることをビビる必要はまったくないんだ。おれたちがやってることは、おれたちにしかできないからさ。たとえばダンス・ミュージックをやってる連中が、ダンスが落ち目になったからロックに早変わりするとかあると思うんだけど、おれたちはそういうのとはまったく別の次元にいるってことなんだよ、わかるかなあ?」
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つまりカサビアンは独自のニッチを築き上げることができたってことですね。
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だから他のバンドはその位置を埋めようがないというわけですね。
サージ
「ないない、それは絶対にない。たとえばさ、別に自分たちと比べるつもりはまったくないけど、レディオヘッドとかもそうだよね? 彼らはとにかく“レディオヘッド”なわけだよね? もう、ジャンルとかは関係なく、彼らにしかできないことをずっとやっているという。ビースティ・ボーイズとかもそうだろ? 自分たちのやりたいことをやってただけなんだけど、それはもはや彼らにしかできないことだっていう」
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つまり追従者ではなく、常に自分たち自身がオリジナルであるわけですよね。
あのビデオが受けなかろうが、批判されようが、逆にめちゃくちゃ盛り上がろうが、おれはどうなっても気にやしてないから。ガハハハ!(トム)
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今回、とにかくアートワークがシンプルかつすごくインパクトがあるのですが、その意図をお伺いしたいのですが。
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これはアーティストのアイター・スラウプが手がけたんですよね?
トム
「そう。アイターって……すごいんだよなあ。めっちゃ頭の切れるやつだし、たとえばこのアートワークにしても、眺めているうちに一種の視覚効果があって、いきなり『バーン!』って来るんだよな。もちろん、ただの真っピンクだってことはわかってるけどさ。うん、とにかくピンクで……。だからこそ、『ああ、もうどうでもいいや! 好きにやっちゃおうぜ!』みたいなノリがあって。逆にあれこれと考え込んで、バカげたタイトルを付けることだってできたわけじゃない? これまでにしたって、『ヴェロキラプター!』だの、『ルナティック・アサイラム』だのっていうタイトルを付けてきたわけでさ」
トム
「そういうこと。だからさ、サージも言ってるけど、『ほらよ、これでどうだ! 参ったか』ってもんなんだ、今回は」
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アイターは“イージー”のビデオも手がけていますが、こちらは、かなりユーモラスな仕上がりですよね。
トム
「ああいうビデオって実はこれまでやってこなかったと思うんだよな。というのも、あのビデオで、おれたちはそれぞれキャラを演じてるわけじゃない? それがすごくいいなって思って、おれたちもそのアイデアにノって、さんざんはしゃいだわけだ。最高だろ? おれとしてもすごく気に入ってるんだけど。そもそもさ、おれらのビデオって、これまでかなり真面目臭かったわけじゃん? “エンパイア”だって“クラブフット”だって、ファッキン、どシリアス!みたいな。でもな、おれとしてはいつだって、ビースティ・ボーイズみたいなビデオをやれたらいいよなぁって思ってて」
トム
「その通り、マーン! だからさ、あのビデオが受けなかろうが、批判されようが、逆にめちゃくちゃ盛り上がろうが、おれはどうなっても気にやしてないから。ガハハハ!」
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いやあ、エネルギーがめちゃくちゃ感じられる、素晴らしいビデオだと思いますよ。
トム
「まあ、伝わるよな? おれたちが楽しんでるのがさ。いい感じだろ?」
KASABIAN カサビアン
トム・ミーガン(Vo)とセルジオ・ピッツォーノ(G)がそれぞれ11歳のとき、英レスターでバンドを結成。のちにクリス・エドワーズ(B)とイアン・マシューズ(Dr)が加わり、2004年にデビュー・アルバム『カサビアン』をリリース。いきなりダブル・プラチナムのセールスを記録する。エレクトロニカな要素をどこか懐かしいサイケデリアに融合させたような独特なロック・サウンドを強みにし、これまで“クラブ・フット”や“ファイアー”などの大アンセムを生み落とし、その後も順調にアルバムをリリースしては、サマーソニックやフジ・ロックのメイン・ステージ出演も含む来日公演を何度もこなす。デビュー10周年を迎えた今年は、通算5枚目となる新作『48:13』のリリースを6月18日に控えている。8月にはソニックマニアとサマーソニック大阪公演における来日が決定。
『48:13』カサビアン
SICP-4130(ソニー)/6月18日発売
- 01. (shiva) / (シヴァ)
- 02. bumblebee / バンブルビー
- 03. stevie / スティーヴィー
- 04. (mortis) / (モーティス)
- 05. dommsday / ドゥームズデイ
- 06. treat / トゥリート
- 07. glass / グラス
- 08. explodes / イクスプロウズ
- 09. (levitation) / (レヴィテイション)
- 10. clouds / クラウズ
- 11. eez-eh / イージー
- 12. bow / ボウ
- 13. s.p.s / s.p.s
- [日本盤ボーナストラック]
- 14. beanz / ビーンズ
- 15. Gelfling / ゲルフリング
『rockin'on』2014年7月号
カサビアン最新インタヴュー掲載中!
ロンドンでトムとサージに直撃! 最新作を熱く語ったふたりの最新インタヴュー、および4月にパリで開催された、プレミア・キックオフ・ライヴの模様を一挙掲載!
提供:ソニー・ミュージックレーベルズ
企画・制作:RO69編集部