――やっぱり4人の声の、キャラクターを活かしているのがリップであるというのが自然とあるんでしょうね。

DJ FUMIYA　そうですね。だから、最後削ったりしますよ。スイープってEDMとかでやるシュー!っていうのとかいっぱいつけてみたりすると、ラップだとわざとらしくなってくるっていうのもあるから、そういうの排除してって、声で聴かせるっていうのは考えますね。

――PESさんはどうでした?

PES　まあ、めでたいと、まわりのみなさんに思ってもらえればいいですね。スタッフの方の意見も結構入ってるんで、携わって良かったなって客観的に思ってもらえるアルバムになってたらいいんですけど。今現在ではなんかこう、粒揃いっていうか。タイアップ多いっていうのもありますけど、1個1個、使用価値あるなって感じ（笑）。アルバムのために書いた曲っていうのがあんまりないので。

――でもガチャガチャしてるっていうよりかは自然体で聴きやすい、そこが良いですよね。

PES　前のアルバムあたりから、FUMIYAくんが結構音を整理し出すっていうか、あんまりゴチャゴチャ作んなくなったんで。あと短くとか前のアルバムでも言ってたけど、それが成熟してきたというか、整ってまいりましたという感じで。だから、乱雑さはないですね。“時のひとひら”のヴォーカルがちょっと乱雑だったなと思うくらいで（笑）。まあこれはあんまきれいに録ってもね。

RYO-Z　キャスティングも整ってるもんね。偏ったメンツでやってるってことないもんね。だいたいみんなでやってる。

PES　声録りでもなんでも、アルバムが出たあとのこと考えて作ったって感じですかね。ライヴでもこうやって歌えるようにって。ツアーでこういうふうに使いたいなとか。楽曲を作るぞっていうことよりも、RIP SLYMEの活動を考えながら作ってたアルバムで。良いアルバムだと思うし、商品としても自信を持ってご提案できるなという。今までは自分たちの気持ちとかね、入れるっていうか、世の中に吐き出していくみたいなところがデカかったんですけど、前作の『GOLDEN TIME』くらいから、ちょっとそういうんじゃなくなってきましたね。『FIVE』と比べると、やっぱりだいぶ違いがありますね。

――先ほども出ましたけど、ある種、大人になっていってるんだと思うんですよね。いい作品を作るのはもちろんのこと、どうやってリップを続けていくのが健全なのかっていうか。スタッフとの距離感とかも含めて。

PES　そうですね。いい活動にしたいっていう。

DJ FUMIYA　あと、できることしかできないっていうのもありますね。

――すごい無理をしなきゃいけない時期があったグループだと思うんで。

DJ FUMIYA　それがあったから、いろいろ勉強になりましたよね。

――だから、『GOLDEN TIME』、『10』と、そういう自然な形でのグループの運用にどんどんなってきてますよね。

DJ FUMIYA　そうかもしれないです。

PES　やっぱり、レコード会社のスタッフの方々とかは特にそうですけど、楽曲でヒットを目指したりとか、いい曲を作らなきゃいけないってことをすごい念頭に置いてやってもらってるんですけど。それって僕らが『STAR』の前くらい、『JOURNEY』くらいまではそういう感じで。僕らは今はもう、いい曲作ってるとは思うし、そこにあんまり固執してないんですけど。だからおもしろいなと思いますね。

DJ FUMIYA　いい曲って、なんだ?みたいな（笑）。

――身も蓋もないことを言うと、リップは全部いい曲っちゃいい曲なんですよ。

DJ FUMIYA　そうなんですよ。基本、自分たちで作ったアルバムを、駄目な曲だなと思って出さないですからね。全部いい曲だと思ってますからね。

PES　そのうえで改変すべきところは、自分たちでもあると思うんで。でも売れる曲をってなってくると、もちろん宿命というか、やんなければいけないんですけど。でもやっぱりRIP SLYMEって雰囲気だしなとか（笑）っていうのも結構あるんで。だからまあそこは、これからですよね。『10』に関しては、このアルバムを作れば次に進めるっていうそういう感覚ですかね。今まではアルバム作ることがまず目標だったんですけど、今はもう、アルバム出して、ツアーやって、みんなに聴いてもらってっていう。ライヴやりたい、みたいな。もちろん、たくさんの人に聴いてもらえたほうがいいとは思いますけどね。でも、ライヴをやらない状態で、こもって内に向かって葛藤し続けてもしょうがない。聴いてくれる人がいるから作ってるわけだから、その人たちに向けて早く発表したいっていうのはありますよね。

DJ FUMIYA　だから、普通に曲を作ってればいいのかなっていう。でもその普通のなかには、こういう曲にちょっとチャレンジして、っていうのはもちろんあります。

――FUMIYAさんって同じことをやんないじゃないですか。そこはほんとに信用できるなと思うんです。実験は絶対し続けるし、そうしなきゃ自分がおもしろくないっていう。

DJ FUMIYA　そうですね。

PES　いや、たまーにね、ドラムとか、「あれ、これ、あれと同じ感じ……?」って（笑）。

DJ FUMIYA　バレた?

SU　それは好きなやつだからねー。

――だから、節（ぶし）と実験は、もちろん両方あると思うんですけど（笑）。

DJ FUMIYA　そうですね（笑）。まったくやってないことやろうと思うと、すごいことになる。よくわかんない曲になる（笑）。

PES　でも、RIP SLYMEって、「またこれかあ」みたいなのないですから、結構大変ですよね。

SU　でも、1個いい曲できたからって、同じようなのなぞってくるようなのってなんでだろうとか思いますけどね。

――だからリップってすごいんですよ。

PES　でも制作はカジュアルに接していきたいですよ。「この曲がみんなに伝わらなかったら俺死ぬ」みたいなの無理ですね。明るくやっていきたいです（笑）。

DJ FUMIYA　「これは千年経っても聴いててもらいたい!」みたいなのは絶対無理です。「残したい!」みたいな。

――ライヴの意味がどんどん重要になってますよね。

PES　「（真夏の）WOW」の時に、“Vibeman”とか“JUMP”とかやって、去年は“いつまでも”とかやったんですけど、なんか「やっぱいいな」って。「この時のために作ってんな」って思いますからね。これがなくてスタジオで完結するなんて信じられないっていうか、僕らにとってはあり得ないなあ。だから、曲を作るのはもう習慣になってるから、そんなに根詰めて腕まくりする必要はなくて、自然体で作っていきたい。映画だったりドラマだったりタイアップのお話をいただいた時は、ちゃんと交わるようにハチマキしてやるくらいでいいと思うんですけど。

――締め切りもありますからね（笑）。

SU　そうそう。それだけ守れれば。

――でもほんとずっと作ってますもんね。

PES　特にFUMIYAはそうですね。

DJ FUMIYA　ずーっと作ってますね。

――「作ること考えなくていいよ」って言われたらちょっとは作んなくなるんですかね。

DJ FUMIYA　いや、駄目なんです、やることなくて。結局暇だから作る（笑）。CD聴こうと思ったら作ってた、みたいなことよくあります。なんにもやることない。

PES　病気っすね。

DJ FUMIYA　15歳くらいからやってますね。だから、そうですね、病気なのかな（笑）。

SU　趣味見つけても全部やめちゃうもん（笑）。

DJ FUMIYA　すぐやめちゃうんですよね。ゴルフとかやってましたけど、痔になっちゃって（笑）。全部すぐ飽きちゃうんです。

PES　まあいい時代になりましたよね。曲できたら、「上げといたんで聴いといて」、みたいな。

DJ FUMIYA　アラスカとかにいても、たぶん作れますよね。

SU　なんで（アラスカ）行ったか気になるけどね（笑）。