SU
「『TOKYO CLASSIC』はRIP SLYMEの起爆剤だった」
SU
JOURNEY
TOKYO CLASSIC
SU 俺、『JOURNEY』ですね。統一感があるし、全曲の詞の世界観がちゃんと一致してる感じするし。あと、意味も全部わかる。コンセプトもあるし。ツアーもばっちりハマッたし。ジャケットもグルヴィ(groovisions)お得意の水色だし。企画でパスポート作ったりとか、スタッフ側の意気込みもあったし。曲のパワーもあるし――それか、『TOKYO CLASSIC』。
RYO-Z すげえとこ来た。
――『JOURNEY』は生音ってコンセプトもありますけど、一番沁みるアルバムなんじゃないかなあと。歌詞もかなりストレートで、気恥ずかしさを払拭しつつ書いたっていうか。
SU ツアーも生音でやりたいなっていうのがあって、だからそれに向けて、トータルでコンセプトはあったよね。今、ライヴやる時もこっから選ぶの多いですね。現役感あるっつうか。“Watch out!”も入ってるっけ。
RYO-Z 入ってる。“Beauty Focus”と“love & hate”も。
――SUさんは『TOKYO CLASSIC』も挙げてますが。
SU なんか、起爆剤だったっつうか。SMAPをね、差し置いちゃったし。
――アルバムチャートで2位がSMAPで1位がリップでした。
ILMARI 出るまでの布石もすごかったからね。ちょうどアジアツアー行ってる最中に100万枚行ったぞっていう連絡が来て。現実感なかった。
RYO-Z ないね。
SU アルバムの内容が、っていうわけではないですけどね。
RYO-Z そうなんだよね。みんなソロやってる感じがね、中身が少し薄まってる感じがするんだよね。でもいい曲いっぱいある。“Tokyo Classic”もいいし。
――聴く側としては“One”と“FUNKASTIC”と“楽園ベイベー”の大ヒットで、時代が動いてる感じがすごいしましたけど。
SU 不思議なもんですねえ。
PES カラオケでうまく歌いきれないと途中で終わっちゃうやつあるでしょ。この前“One”歌ったら、自分のとこ、真ん中くらいまでしかいけなかった(笑)。でも“Tales”は全部いけた。
RYO-Z お! すげえ。
PES “恋しくて”もいけたんですよ(笑)。
RYO-Z このアルバム、街でもすげえかかってて。普通のコンビニとかで、Breakstraと一緒にやってるのとか、「Breakstraがコンビニで鳴っている!」みたいな感じの感慨はあったな。「だいぶ渋いぞこれ」みたいな。
SU かといって別に顔とか全然認識されてなかったから、遊び放題ですし。
RYO-Z 「遊び放題ですし」(笑)。だって普通に、渋谷でSUさんとFUMIYAで歩いてて、まったくバレなかったっていう。タワレコとか行っても平気だったんでしょ?
SU 全然ですよ。だから曲が先行してった。
DJ FUMIYA
「『JOURNEY』は、ちゃんとやりたいことが見えるのと、曲としていい曲が多い」
DJ FUMIYA
TIME TO GO
JOURNEY
DJ FUMIYA 僕は『TIME TO GO』か『JOURNEY』かなあ。『TIME TO GO』は一番レコーディングが記憶に残ってて思い出すんですよね。ワーナーのスタジオで結構実験をしてたりしたのもあるし、全体の曲のバランスが一番好きかもしれない。あとやっぱこのジャケですね。このジャケのPESくん(笑)。最高なんです。
RYO-Z 最高!
SU 中国の。
ILMARI 中国とかの、子供の時からいろいろできる(笑)、体操とか。
RYO-Z 中国雑技団的な。
ILMARI そうそう。
DJ FUMIYA スタジオ作業が大変だったっていうイメージがあるんだけど。その時は金もすごい使えたんで。ガンガン、スタジオこもって遊んだなっていう記憶を思い出すっていうか。
――FUMIYAさんのトラック、爆発してるなっていう感じしましたね。
DJ FUMIYA うん、そうですねえ。“チェッカー・フラッグ”みたいなヘンテコな曲とか。“JOINT”もあるし。“WHY”とか。
RYO-Z “WHY”、いいね! やっぱりトウクラ(『TOKYO CLASSIC』)のあとの振り切り感がすごい感じのアルバムだな。
――でも、さらにRIP SLYMEっていう存在が盛り上がったし、“One”“楽園ベイベー”から、こういうカオティックな尖ったトラックでも持っていけるっていうところが証明されたと思うんです。
DJ FUMIYA そうですね、“JOINT”とか、“HOTTER(THAN JULY)”、今でもやるもんね。
RYO-Z まずやるよね。締めに“JOINT”とか。一番ライヴでずっとやり続けてきてる曲かもしれない。“楽園~”とかより全然。
DJ FUMIYA あと音の質感なんかもちょうど良かったんでしょうね。それで『JOURNEY』は、さっき言ってたように、ちゃんとやりたいことが見えるなあっていうのと、曲としていい曲が多いかなっていう。
RYO-Z
「これからどのやり方になっていっても、あんまり悩むことがないかな。だから『10』は転機のアルバム」
――それでニューアルバムの『10』は自然な聴きやすさも攻撃性もバランスよくある、良いアルバムだなあと思うんですけど、どうですか?
RYO-Z ラップとか作詞において制作期間はすごいかかってるんですけど、それは全部いろんなことへのトライアルであって、悩むとか迷うとかはまったくなくて。そういった意味では一番ストレスを感じない曲たちですね。これまでで言うと、“太陽とビキニ”とか、あと“センス・オブ・ワンダー”とか、「いい曲にしなきゃ!」って頭で考えちゃってるから、ディレクターとのやりとりも含めて結構ストレスがあったんですけど、今回はまったくどの曲もなかったですね。
――フラットにそういうふうに作れたのは大きいと思うんですけど、なんでそれができたのかっていう。
RYO-Z アルバムが出る・出ないが決まってなくて。日付も決まってないし。メーカー側との話のなかで、良いものができたうえでみたいなところがあって。そういった意味で緊張感もあんまりなくて。だからストレスなかったのかな。振り返ってみて、濃縮な1年10ヶ月ではあったんじゃないかなと思いますね。
――そういうやり方で、良いアルバムができるんだっていう手応えはあったんじゃないですか?
RYO-Z だから、これからどのやり方になっていっても、あんまりもう悩むことがないかなと思って。そういう転機のアルバムかなと僕は思ってますね。『GOLDEN TIME』くらいからそうなってきてるんですけど。“気持ちいい for Men”はいしわたり(淳治)くんと一緒にやったんですけど、それは言葉選びだったり、すごく丁寧にやって。僕の8小節のパートだけで半日かかるとかはあったので、それはそれで刺激的でしたね。今回の自分のクイックな作業のなかで、そこに向かうっていうのはなかなかおもしろかった。
DJ FUMIYA 俺は最初とケツをやんなきゃいけないんで、音色選びはかなり時間かけてやりましたね。だから音数というより音色のほうに気を使ったって感じですかね。
――すごく客観的なことを言うと、足して盛って上げるっていう、昨今のEDMの流れとは全然違う発想じゃないかと。
DJ FUMIYA そっちだとトラックものになっちゃいますよね。声がネタになっちゃうんで。それはそのやり方があるんですけど。あんまりそっちを厚くしちゃうと、ほんとにEDMとかの方向になって、音色の一部みたいな使い方になってくるんで。それじゃあちょっと違うだろうという。