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日々、それぞれにイライラやモヤモヤや悲しみを抱えながら過ごしている多くの人を救ってくれるアルバムだと思う。Eveは徹底的にクラフトマンシップの人であり、自身の表現に触れてくれる人々の手の中で、心の中で、作品がどのように働きかけるかという部分に拘るからこそ、音色や言葉の一つひとつを、或いはライブの一挙手一投足を、いつでも丹念に磨き上げて差し出してきた。上辺だけきれいな嘘や幻想で塗り固めても意味がないから、憂鬱ややるせなさや胸の奥底に淀む闇も、丹念に磨き上げて白日の下に晒す。きっかけはやはり、表現者としての孤独に正面から向き合った“虎狼来”だったろう。他者の抱える闇を語る前に、自身の内に巣食う闇を語らなければならなかったのだ。数々の大型タイアップ曲が詰め込まれたアルバムだが、少ない音数の中にゾクリとさせられるコードを仕込んだ“花星”の美しさや、驚愕の展開で心模様の移り変わりを鮮やかに描き出してみせた“さよならエンドロール”など、初出曲も素晴らしい。（小池宏和）（『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より抜粋）
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