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Fukase「一回死ぬしかないって感じだよね。自分たちが作ってきた価値観とかを全部殺して、一から考え直すっていう。すごく難しかったですね」

──TOKYO FANTASYでも披露された新曲" Mr. Heartache"に関しては、どういうプロセスを経て誕生したんですか?

Fukase まだ完成してないんですけど、最初はAdamからいくつかパターンをもらって。メロディはないトラックだけだったんですけど、そこにNakajinがメロディをつけて、僕がそれに歌詞をつけましたね。今までも英語の歌詞を書いてきたんですけど、今回の" Mr. Heartache"の歌詞については、いつも翻訳をしてくれている人が「スゲーじゃん!」って褒めてくれて。今までの英語詞と違うのは、日本語で考えた歌詞を英語に変換するのではなく、英語のフレーズのまま考えたっていうところなんですね。

──現時点でのAdamの感想は?

Adam すごくうまく行ったと思うよ、まだやるべきことはいっぱいあるんだけど、今の時点でもスペシャルな曲だって思える。インストゥルメンタル・トラックを組み合わせる過程も楽しかったけど、初めてFukaseの歌詞とメロディが乗ったのが返ってきて、それを聴いた時は「すごい!」って思った。僕が想像もしなかった要素が、彼等のおかげで曲に備わっていた。今の段階でも、すごく気に入ってるよ。これからどういう風に発展して、最終的な形になるのだろうという期待はさらに大きいけど、今もすごく気に入ってる!

──やはり今までのSEKAI NO OWARIの楽曲とはテイストが異なるんですけど、そこはやはり海外のリスナーを意識して作ったんでしょうか?

Fukase まあ、別のバンドとして作ったっていうのが一番近いのかもしれないですね。もちろんSEKAI NO OWARIっていうバンドが日本でデビューするまでにも4年間ぐらい、いろんなことを考えてきたんで。

Nakajin 違うバンドになって、一から考えるぐらいのことをしないと、日本でのSEKAI NO OWARIっていうものが付きまとってしまうものだから。

Fukase 一回死ぬしかないって感じだよね。自分たちが作ってきた価値観とかを全部殺して、一から考え直すっていう。すごく難しかったですね。でもさっきAdamも言っていたけど、一番重要なのは自分たちが思ったことをやるっていうこと。それができている曲だなって感じはします。

──一方で、Adamが作った"TOKYO feat. SEKAI NO OWARI" はどういうことをイメージして作った曲なんですか?

Adam 日本にはこの5、6年でもう7~8回来ていて……毎回、日本に到着した直後は、1日だけオフをとるようにしているんだ。そしてその1日のオフの日が、僕にとっては曲を作る上でとてもクリエイティヴな日だったりして……。"TOKYO"もそんなある晩、時差ぼけで眠れぬままに起きていた東京のホテルの部屋で生まれた曲さ。そこからスタートしたんだ。ポップなセンスとクラブ・トラックを合体させたらどうなるだろう?って考え、そこにビタースウィートでドリーミーなヴァイブを融合してみたんだ。SEKAI NO OWARIがそこに加わってくれたおかげで、僕が想像もしなかった美しい場所に曲が持って行かれたと思ったよ。

──日本の琴が使われているのはなぜですか?

Adam 前回、日本に来た時、SEKAI NO OWARIからもらったプレゼントなんだ。アメリカに持って帰り、早く演奏したくて待ちきれなくて……開けるなり、すぐに弾いてみたよ。当時はちょうど"TOKYO"の最終段階だったから、「この曲で使うのが一番いい」と思い、使うことにしたんだ。だってfeaturing SEKAI NO OWARIなわけだから、道理にかなうだろ? で、チューニングをして、録音し、この曲のメインのインストゥルメンタル・テーマにしたんだ。まるで「こうなるべき運命だった」って思えるくらいピッタリ合っているね。

──プレゼントに琴を選んだ理由は何だったんですか?

DJ LOVE 最初マネージャーからは「扇子がいいんじゃない?」って(笑)。

Saori それは最悪(笑)って。

Fukase だったら楽器がいいんじゃないと思って、まずは三味線か琴かなって。でもどっちもデカすぎるかなと。

Nakajin あと琴とか三味線とかって、いきなり奏でるのは難しいと思いますし。でも大正琴っていうのは鍵盤みたいになっていて、これはいいんじゃないかなと。で、ヴィンテージの大正琴を買いました。

──そのお返しとして、さっきAdamからシンセサイザーをプレゼントされていたよね。

Fukase いただきました。それこそ、このシンセサイザーを" Mr. Heartache"で使うってNakajinは張り切っているし。

Nakajin 是非使おうと思っています!

Adam「形にならないままのアイディアの山が増える一方だったんだ。でもこうして、僕とSEKAI NO OWARI がやっていることはメロディ、というか、音楽的にすごく共通する部分があるってわかったからね」

──ちなみにAdam、アメリカのリスナーと日本のリスナーの違いってあると思いますか? もしあるとしたら、それはどういう点だと思いますか?

Adam 僕がここ日本で信じられないような、予想外の成功を収められたこと、すなわち、どれだけ多くの人が僕の音楽にコネクトしてくれたか、ということを基準に考えると……なんらかのつながりがあると思うんだ。それがどういうものなのかを定義づけするのは難しいんだけど。おそらく、さっきちょっとだけ触れたメロディ・センスということなんじゃないかと思う。日本のリスナーは、僕が生来的にやろうとしていること、僕が好んで作るメロディを、もしかするとアメリカの大半のリスナー以上に理解してくれているんじゃないかと思うんだ。それって本当に嬉しいことだし、日本に来て、ライヴを行うたびに、会場からそういう雰囲気を感じ取ることができるんだ。ものすごい充実感だよ。そんな国って日本以外、そうないからね。

──初めてTOKYO FANTASYのステージに立った感想はどうですか?

Adam 気持ち良かったよ。こんな美しいステージで演奏したことはないよ。ステージの上に立っているだけで、ものすごくインスパイアされた。加えて、遠く離れた国にいる僕等がコラボレートした曲が、こうやってこの場所で一つになっているわけだからね。まさに音楽の力なんだなぁって思ったよ。美しいことだよね。人が一つになれるわけだから。そういったことを感じながらステージに立っていたよ。

──こうやってOWL CITYと日本のリスナーで起きているような共鳴が、SEKAI NO OWARIと海外のリスナーとの間でも起きるといいですよね。

Fukase 以前、海外でライヴをやった時は、歌詞は日本語だったので。自分が作った歌詞が国境を越えて人に伝わるっていうのは、音楽としてコミュニケーションが取れるっていうことだから。それは未知の領域であるのと同時に、とても楽しみですね。

──これからOWL CITYとSEKAI NO OWARIでこんなことをやっていきたいというヴィジョンはありますか?

Adam ああ、これまでもいろんなアイディアが生まれては、壁にぶち当たってしまい、形にならないままのアイディアの山が増える一方だったんだ。でもこうして、僕とSEKAI NO OWARI がやっていることはメロディ、というか、音楽的にすごく共通する部分があるってわかったからね。今後は「この曲だったら、彼等にぴったりかもしれない」って思える曲が出て来たら、彼等に送ってみて、彼等がどう思うか……もし気に入ってもらえたら何かをやろうとか……いろんなことができると思うんだ。僕は大歓迎だよ。

Nakajin 僕たちは、まずは"Mr.Heartache"を完成させることだよね。

Fukase そうだね(笑)。

Nakajin そもそもコラボレーションっていうもの自体、僕等そんなにやったことがないものだし。それが海外の方ってなると、最初は僕等もかなり探り探りで初体験のことばかりだったので。とにかく今は一生懸命向き合って、いい曲に仕上げたいと思っています。

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