
ラブソングっていう枠に落とし込むと、どんな尖った表現もポップスに昇華される
――で、最後の“真珠”は、《あなたのキスで 世界が変わるような気がしていたけれど/どこまでだって わたしはこうしてひとりだった》っていう。
「ラブソング集としてミニアルバムを作ったんですけど、結局《わたしは 独りだった》で締まる、っていう形にしましたね(笑)」
――でも、「ふたりで楽しく心安らかな日々を過ごしました」っていう物語よりも、やっぱり誰よりも吉澤さん自身がこういう風景に心惹かれてるからだろうし。フィクションとしてっていうよりは、吉澤さんの「永遠なんてない」的な世界観が、フィクションの形を借りて書かせてるものだなって思いますね。
「確かに、フィクションの中にノンフィクションが入ってるっていうか。ラブソングっていう枠に落とし込むと、どんな尖った表現だったり、受け入れ難い価値観みたいなものも、ポップスに昇華されるっていうのを今回思いましたね。この曲は、孤独であることが恥ずかしいような、悪いような風潮を感じた時に――それは自分でも知らず知らずに刷り込まれてることだと思うんですけど――『誰にも踏み込めない自分だけの領域』っていうものが、どんなに開けっ広げな人にもきっとあって。それがあるからこそ、人と関わりが持てるんだと思うし。私の場合だったら、それがあるから曲が書けるっていう。ひとりの時間って、人にとってすごく大切な時間なんじゃないか?って。孤独を否定も肯定もしない曲にしたいなと思って書きましたね」
――この「ストーリーを綴る」っていう方法はやっぱり、自分語りとは明らかに違うけれど、吉澤さんが自分を音楽に重ねる上でなくてはならない装置だと思うし。歌を聴くことで、吉澤さんのドアをちょっとだけ開けるような感覚を味わうっていうのが、この音楽のスリリングな魅力としてあると思うんですよね。で、吉澤さんのドアを開ける行為っていうのは、聴いてる人にとっては自分のドアを開けることにもつながってくるし。
「それは嬉しいですね。物語として曲を書いたとしても、基になっている感情だったり、物差しみたいなものが、真実のものじゃなければ、曲が魅力的にはならないと思うので。骨組みがフィクションなのか、そこに流れてる血液がノンフィクションなのか、どっちなのかわかんないですけど……バランスを取りながら書いてるっていう意識はありますね」
――フィクションの形を借りないと外に出せないくらい切実なものだ、っていう言い方もできるわけで。それはやっぱり、嘘のなさの裏返しだと思うんですよね。真実だからフィクションに置き換えざるを得ないっていうか。
「よくわかります」
――ということを、この6曲を聴いて思いました。
「ありがとうございます(笑)。いつも発見がありますね、自分自身。インタヴューしていただくたびに」

ミュージックビデオ
リリース情報

『秘密公園』
2015年10月7日(水)
¥1,667+税
CRCP-40432
- 1. 綺麗
- 2. ユキカ
- 3. 運命の人
- 4. キスはあせらず
- 5. 必殺サイボーグ
- 6. 真珠
ライヴ情報
「吉澤嘉代子 秘密ツアー~8都市をめぐる秘密公演~」
- 2015年11月27日(金)
- 大阪BIGCAT
- 2015年11月28日(土)
- 福岡INSA
- 2015年12月4日(金)
- 金沢AZホール
- 2015年12月6日(日)
- 岡山IMAGE
- 2015年12月11日(金)
- 札幌cube garden
- 2015年12月13日(日)
- 仙台darwin
- 2015年12月17日(木)
- 東京LIQUIDROOM
- 2015年12月20日(日)
- 名古屋クラブクアトロ
チケット料金:全自由¥3,800(税込)※ドリンク代別
提供:日本クラウン
企画・制作:RO69編集部