ただひたすら、全力で生きて全力で曲を作って全力でライブをやる毎日。その毎日の積み重ねがこのアルバムになったのだと確かに感じられる。
WANIMAの2ndアルバム『COMINATCHA!!』は、そんな「ひとつの思いを持って全力でその思いを音楽に刻みつける」という超シンプルな姿勢こそが、万人の心に寄り添う歌を生むのだということを教えてくれる。“Drive”、“夏のどこかへ”、“アゲイン”といったシングル曲はもちろんのこと、“JOY”、“ここに”、“りんどう”、“宝物”といった曲たちが、ひときわ輝いているのがその証だ。WANIMAの存在は、この生々流転するポップミュージック・シーンにおいて宝物のひとつだと思う。そのやんちゃな佇まいとは裏腹に。
彼らが生み出す、庶民的であると同時にタフで普遍的なメロディーと言葉と音が塊となったこのアルバムは、様々な場所で様々な生きざまを生きる人にとってまさに「宝物」になり得る音楽であることを僕は保証できる。
インタビュー=山崎洋一郎 撮影=半沢克夫
アルバムだったらこういうWANIMAも表現できるなっていうのを入れていった形が『COMINATCHA!!』(FUJI)
──メジャーセカンドフルアルバム『COMINATCHA!!』。シングルやタイアップ曲という形で、先行の曲もあったんだけども、アルバムに向けてどういうふうに始まってどう完成したんですか?
KENTA(Vo・B) “りんどう”とかは「Everybody!! TOUR」の中盤戦ぐらいから「新曲です!」って言ってやってましたし。スタジオでバンド練習する時も、自然と浮かんだ景色だったりがメロディになって、曲作りはちょくちょくしてたんですよ。なので、曲がたくさんできていく中でシングルを2枚作ったんですけど、そこから、「1CHANCE NIGHT(TOUR 2018→2019)」とかやっていく中で、「こういう曲あったらいいなあ」とか、そういうのからできていきました。
──それは、たとえばタイアップ曲の発注があって1曲作るぞって作るっていう動きとは別の動きなのか、それとも、それも全部含めてひとつの作業という感じなのか。
KENTA ああ、どっちもあって。タイアップでは伝えきれなかったことだったり、タイアップを出してみて感じたことだったり。もともとWANIMAがずっとやってきたことやけど、またこのアルバムを聴いてから、「あ、WANIMAってこういうこともやる人たちなんや」「あ、こういう曲調もやる人たちなんだ」っていうふうに思うだろうなと思ったので。で、またそれが自分たちでは自然とずっとやってきたことで。たとえばレゲエだったり、ボサノバチックっていうんですかね、ドラムで遊んでみたりとか。そういうのをもっとこう、僕たちが思うぐっとくるポイントを探して。そういう曲調の曲もアルバムはいっぱい入れられるので、その中でWANIMAの今までも入れれるからって。
FUJI(Dr・Cho) やっぱり今KENTAが言ったポイントだと思うんです。今まで、自分たちの中ではぐっときてたけど、シングルは曲数が少ないぶん、一個の作品として並べた時になかなかいけないけど、アルバム15曲だったらこういうWANIMAも表現できるなっていうのを入れていった形が『COMINATCHA!!』。
──その音楽的に開拓している部分、たとえば3曲目の“Like a Fire”。いわゆるミクスチャー的な、「まるでレッチリみたいじゃん」っていう部分もあって。それを完成度高くやってるなあと思ったんですけど。こういうサウンドを真正面からやるのはどんな感じだったの?
KENTA これはもう、単純にこういう曲あったらいいなっていうのから、スタジオでああでもないこうでもない言うてやってたんですけど。この曲は振り分けとしては、とにかくライブのイメージで。やっぱり僕ら、ライブばっかりやってるバンドなので、ライブでああなったらいいなあってイメージして作っていきました。
──“BOUNCE”も、今までもレゲエはあったけど、よりストレートにレゲエのイッツオーライ感を出していて。これも結構ストレートだよね。
KENTA ストレートですねえ。これはもうブレイクタイムというか、ちょっと一歩立ち止まってでも聴いてほしいなと。そんな気ぃ張らずに、フッとひと息つけるような曲を作りたいなって思って。だからこの曲ができた時は僕もすごい、ああできて良かったなって思いました。
自分たちをもう1個新しいステージに持っていきたいと思った時に、“宝物”みたいな曲が必要だと思った(KENTA)
──俺“宝物”が今回のアルバムの大発明の曲かなと思うんですけど。
KENTA ああ、嬉しいですねえ! 他のインタビューではあまり触れてもらえなかったので、すごい嬉しいです。僕たち3人の中でもそうなんですよ。こういうゆったりした曲は昔から作ってたんですけど、ここまでちゃんと、WANIMAがこういう曲作りましたっていうのは出してこなかったので。「あ、WANIMA、こういうこともできるんだ!」じゃないですけど、こういう曲聴いてほしいです。
──しかも、奇を衒って作りましたっていうんじゃなくて、次の王道になりうる感じが非常にしますね。パンクっぽい曲と、ミクスチャーっぽい曲ともまた違う、ひとつの柱になりうるポップソングだなあと思った。
KENTA 新しい自分たちの柱で。もう1個新しいステージに持っていきたいなと思った時に、ああいう曲が必要だと思ったんですね。あとタイアップ曲がいっぱい並んでいるのを見た時に、他の曲も、僕が好きなレゲエだったり、FUJIくんがやる、ちょっと踊れるようなドラムサウンドだったり、KO-SHINが、僕が持ってきた曲に対してイメージが膨らむようなギターとかが浮かんで。聴いてて、自分たちが飽きないアルバムにしたいなと思って。また聴いた人が、「あ、WANIMAっていろんなことやるな!」「全曲、いろんなことやってるのにWANIMAやね。やっぱ音楽ってすごいな!」って思ってほしいなと思いましたね。
──なるほどね。いわゆるエロ系というか、“渚の泡沫”的なのが、いつもだったらもう1曲ぐらいあるかなと思ったけど、今回ないよね。
KENTA なんかできあがってみて、「そうだった」って。
──ははははは!
FUJI 今、ハッと。
KENTA でもいいバランスかなと思ったんですけど。今いちばん伝えたいことが詰まったアルバムじゃないですか。その中にエロが1曲しかないってことは、そういうことだってことです。WANIMAが今伝えたいことは、エロかっこいい曲と“宝物”って曲があったら、“宝物”を今は聴いてほしかったっていう。そういう感じですね。
──どうですか、KO-SHINは?
KO-SHIN(G・Cho) ちょっとずれちゃうかもですけど、僕がWANIMAを知らない人に1曲聴かせるなら、僕、“宝物”です。これ、たぶんいちばん挑戦が入ってる曲じゃないかなと思うんですけど。それ含め、これもWANIMAだよ、っていう。