新体制となった「ぜんぶ君のせいだ。」。5thアルバム『或夢命』が示す現在地とは?


この5人になったことによって、新しい化学反応がいっぱい起きてるんだと思います(ましろ)


――編成の変化は、やはりみなさんにとって大きな出来事でしたよね?

如月愛海(きさらぎめぐみ) そうですね。でも、良くも悪くも自分たちはメンバーの脱退を繰り返してきたグループですので、すんなりと受け入れられました。

一十三四(ひとみよつ) 4人でずっとやってきた曲を5人でやる見せ方を考えるのは大変でしたけど。

ましろ でも、5人になるとステージでできるパフォーマンスが増えるので、新しい楽しさを感じられるようになってます。

――新しく加入したおふたりは、どんなことを感じていました?

凪あけぼの 「最初からこんなにリリースするの!? こんなに長いツアーするの⁉」って思っていたんですけど、終わってみるとあっという間でした。

征之丞十五時(ゆきのじょうおやつ) 十五時は、もともとぜんぶ君のせいだ。が好きだったので、リリースのペースがすごいのも知っていて、ついてけるのか不安だったんです。でも、ずっとぜん君。を続けてきた3人が道しるべになってくれて、わからないこともたくさん教えてくれました。

――十五時さんの歌声は、グループとしての表現の幅も広げましたよね?

如月愛海 ほんとそうですね。

征之丞十五時 十五時は、かわいい声の女の子が好きなんですけど、自分はそうじゃないのでコンプレックスに近かったんです。でも、ここに入って歌ったら、みんなが褒めてくれたんですよね。自分の声が好きになりました。

一十三四 十五時が入ったことによって、曲のバリエーションが増えたところもありますからね。再録アルバムでも、ハモりを入れたりできましたし。

ましろ この5人になったことによって、新しい化学反応がいっぱい起きてるんだと思います。

――新しい化学変化が起きているというのは、ぼのさんも十五時さんも、居場所を見つけられているということでもあるのでは?

凪あけぼの はい。ぼのは、ずっと「バカ」って言われて生きてきたんです。失敗して上手くいかないことも多かったんですけど、ぜん君。に入ったら、アホなことをしてもメンバーが何度も手を差し伸べてくれるんです。だからめげそうな時も立ち上がることができてます。

征之丞十五時 自分もぜん君。に入る前は、ずっと居場所を探し続けていたんです。人生の賭けだと思ってオーディションを受けて、飛び込んでみたら居場所を見つけられて幸せです。

ましろ 僕たちは、みんな他の場所にいられないというか。癖が強くて理解してもらえないところがいっぱいあるんですけど、ぜんぶ君のせいだ。は、そういうのを素直に出せる場所なんですよね。

「今のぜん君。を出したら自然とこうなった」というのが、今回のアルバムです(如月愛海)


――他人に理解されなくて、居場所がない感覚を抱いている人って、少なくないと思うんです。みなさんが居場所を見つけて輝いている姿は、そういう人たちにとって、すごく救いになっているんじゃないですかね?

如月愛海 ぜんぶ君のせいだ。を、そういう場所にしたいんですよね。患いさん(ぜんぶ君のせいだ。のファンの呼称)も、いられる場所にしたいんです。

ましろ ぜんぶ君のせいだ。も、もともとは世間の中で居場所がない系(笑)。僕たちは、それでもどんどん大きいところに行くつもりです。居場所がなかった僕たちと、居場所がなかった患いさんが、みんなで一緒になって世間にも響くような音楽をやるっていうのは、すごく夢がありますし、「やってやろう!」って思ってます。

如月愛海 まだまだやれることがいっぱいあると思ってますからね。それが5人になって増えました。居場所を広げることができるというのも、今、実感しています。

ましろ 5人になったぜん君。をまだよく知らない人にも、「こんなに新しいことができるようになって、かっこよくなったんだけど」って、知ってもらいたい気持ちでいっぱいです。今までだったら作れなかったようなアルバムも作れましたから。

如月愛海 曲を作っている方々は、常にぜん君。の様子を見てくれていて、今の自分たちに合うようなものを出してくださるんです。だから、「今のぜん君。を出したら自然とこうなった」というのが、今回のアルバムですね。

一十三四 今までのアルバムもそうなんですけど、今回も「ぜんぶ君のせいだ。密着24時間」みたいな感じなんだと思います。

――“ぜんぶ僕のせいだ。”に代表されるように、自然な形で前向きさを歌えるようになった姿を感じるアルバムでもありますよ。

凪あけぼの “ぜんぶ僕のせいだ。”は、歌詞が昔の自分に重なるところがあって、ライブでやると泣いちゃうんですよ。

一十三四 いただいた時、「今だから歌える曲だな」と感じました。新しく加入したふたりによって、今までとは違う温かさがぜん君。に生まれたというか。全員で患いさんにもっと目を向けられるようになったんですよね。


ぜん君。は、後ろに下がるのが下手ですし、待つことも嫌いだし、せっかちが集まってるんです(如月愛海)


――“世界にたった一人ちっぽけな君を”は、患いさんとみなさんが支え合って前に進んでいる姿が、すごく伝わってくる曲です。

征之丞十五時 十五時も自分自身のことを「ちっぽけだなあ」って思っていましたし、代弁してくれているような曲を歌えるのが嬉しいですね。

――ぜん君。の音楽は、サウンドが激しい曲でも、根本にあるものは優しいですよね。

如月愛海 人類全員に優しいです(笑)。ぜん君。の曲は、等身大の自分たちが入っているから、人間が思うことは全部入っているんです。

ましろ メンバー自身がぜんぶ君のせいだ。に救われているから、いろんなみなさんに返していきたいんですよね。でも、内にある棘の部分は、ずっと変わらないんですけど。

一十三四 例えば、“When you 2 WANT”は、昔からやっている曲の2019年版なんですけど、世間に対するひねくれた姿勢が、新しい形で出ています。

――今作には、お馴染みの曲の新バージョンもいろいろ収録されていますね。

如月愛海 例えば、“革鳴前夜”は、「ちゃんと進むよ」ということを提示したい時に必ず歌ってきた曲なんですよ。

ましろ “革鳴前夜”はアルバムの最後の曲ですから、ここから先のことを想像して、ワクワクしていただけたらいいですね。

――「To be continued」という、映画のラストの文字のような曲?

如月愛海 むしろオープニングかもしれないですね。

ましろ うん。「ここから始まる」という壮絶なオープニングです(笑)。もっと見たい景色がありますから、「まだまだ先があるなあ」ってワクワクしています。

如月愛海 そもそも、ぜん君。が始まってすぐの頃から「武道館」というのを掲げてますからね。

ましろ 始まって2日か3日で、その話になったよね?

如月愛海 うん。夢じゃなくなったと思ってます。ぜん君。は、後ろに下がるのが下手ですし、待つことも嫌いだし、せっかちが集まってるんです。それに、自分たちが「武道館」って掲げたからには、進むしかないじゃないですか。

ましろ 進めてる実感がなかったとしても、常に気持ちが前(笑)。進みたい気持ちがあるから、その道しか見えないんです。

征之丞十五時 入る前から、そういうぜんぶ君のせいだ。が、好きでした。自分がステージに立つ側になったので、不思議な感覚ですね。

――この5人になってまだそれほど経っていないわけですけど、前に進むしかないという気持ちも共有できているんですね。

如月愛海 はい。もう何年も一緒にやってる感じがしますからね。実は前世くらいで既に出会ってた?

凪あけぼの そうかもしれない(笑)。

ましろ まあ、半年でする活動量ではなかったですからね。シングルふたつ出して、アルバムひとつ出して、31公演するだけで、1、2年分の密度があると思いますから。

「女の子だから」とか言ってる人が、一番音楽をちゃんと聴いてないと思います(ましろ)


――この5人だからこそ生み出せるようになったものすごいエネルギーも、今回のアルバムには、すごく反映されているんだと思います。例えば、“Greedy Survive”なんて、3、4人で歌うとしたら、絶対に息が続かない怒涛の展開じゃないですか。

如月愛海 これは、5人でもきついです(笑)。

一十三四 ひとりひとりのフレーズも長いですし。

――《お互いが縛り合い 窮屈が心地いい 異常こそ正常だ。》というフレーズが、とても印象的です。ちょっとストーカーっぽいですけど、こういう危険な愛情は、実は結構、誰もが持っているんじゃないですかね?

一十三四 そうですよね。ぜん君。は、初期の曲は特にそうなんですけど、ちょっとストーカー気味なんですよ(笑)。

如月愛海 おっしゃる通り、誰もがこういう気持ちって、持ってるはずなんですよ。ぜん君。は、そういうことしか歌ってません。

ましろ 「これが正常だ」って、みんなが同じようなことを言ってるほうが、一番異常なんですよ。それはやめたほうがいいと思います!

――ぜん君。は、「病みかわいい」が、コンセプトですけど、「病んでいる」という状態って、実はそんなに特殊なことではないですよね?

如月愛海 その通りです。つまり、私たちは普通の人ってことなんですよ。みんなと同じようなことで悩んでますから。そういうことを、全部歌にできてます。

ましろ そういう気持ちを出しつつ、あっけらかんと遊びに変えることもできるのが、ぜんぶ君のせいだ。です。もやもやを遊びにするのって、ものすごくいい変換方法なんですよ。

――ぜん君。の曲は、パワフルなサウンドも満載されていますから、もやもやを楽しさに変換しやすいですよね。

ましろ そうなんです。ロックを聴いてる人も好きだと思いますよ。むしろそっち寄りっていう気もしています。僕たち、バンド隊もメンバーのように一緒にステージに立ってライブをやりますし。「女の子がいっぱい歌ってるから違う」っていうようなことを思うのは、もう違う時代なんです。

如月愛海 言っておきますが、私たちはその辺の男の子よりも意志が強いですよ(笑)。

ましろ 「女の子だから」とか言ってる人が、一番音楽をちゃんと聴いてないと思います。

如月愛海 「女の子が歌ってるから違う」って思うんだったら、自分たちの声を打楽器だと思っていただいても構わないです(笑)。それくらい自分たちの音楽に自信がありますし、どんな人にも刺さるものがあると思います。

征之丞十五時 だから、まずは好き嫌いせず、一度聴いてほしいという気持ちでいっぱいなんです。

凪あけぼの ぼのも、ぜん君。に入ってから「聴いたことない曲を聴いてみよう」ってなって、「これ、いい曲!」って思うことがよくありますからね。いろいろ聴いたほうが楽しいはずです。

一十三四 ぜん君。を一口試してみて、気に入らなかったら吐き出していただいてもいいので。

如月愛海 吐き出しても怒りません(笑)。

ましろ そして、ライブも観ていただきたんですよ。汗水たらして、なんならよだれもたらして、目をがん開きにして歌ってますからね。

如月愛海 ただし、女の子なので、ずるいことに、かわいい曲も歌います。そういう女の子としての強みも活かさせていただいております(笑)。

“When you 2 WANT”

5thアルバム『或夢命』発売中

CMI-0072 ¥2,200(税込)
〈収録曲〉
01. ぜんぶ僕のせいだ。
02. When you 2 WANT
03. Greedy Survive
04. Natural Born Independent
05. AntiIyours
06. whiny melty whiny
07. 唯君論。(ZKS EDIT)
08. 世界にたった一人ちっぽけな君を
09. ロマンスセクト
10. Synesthesia
11. Teardust
12. 革鳴前夜

ライブ情報

ぜんぶ君のせいだ。「15都市18公演未開拓&生誕ツアー 未夢命TOUR 2020 〜Imada mumei〜」
1月11日(土)東京・Shibuya eggman(如月愛海生誕&コドモメンタルSP)
1月12日(日)東京・Shibuya eggman(如月愛海生誕SP)
1月26日(日)東京・TSUTAYA O-Crest(征之丞十五時生誕SP)
2月1日(土)高知・LIVE HOUSE X-pt.
2月2日(日)和歌山・ SHELTER
2月8日(土)鹿児島・ CAPARVO HALL
2月9日(日)宮崎・SR BOX
2月11日(火・祝)静岡・Sunash
2月16日(日)大阪・umeda TRAD(一十三四生誕SP)
2月22日(土)山梨・甲府CONVICTION
2月23日(日)福島・OUTLINE
3月1日(日)鳥取・米子laughs
3月7日(土)富山・SOUL POWER
3月8日(日)三重・松坂M'AXA
3月14日(土)長野・松本Sound Hall a.C
3月21日(土)秋田・LIVESPOT 2000
3月28日(土)愛知・NAGOYA ReNY limited(ましろ生誕SP)
4月18日(土)東京・Zepp DiverCity

前売 ¥3,500/当日 ¥4,500(1D別)
※4月18日(土)ファイナル公演のみ 前売 ¥3,900 / 当日 ¥4,900(1D別)

詳細やその他のライヴなどはこちら
https://kiminosei.com/live/

提供:コドモメンタルINC.
企画・制作:ROCKIN’ON JAPAN編集部