去年の9月に『Cheddar Flavor』、今年の4月に『Chilly Chili Sauce』、に続いて『Chopped Grill Chicken』と、研ぎ澄ましたナイフのような切れ味の音源をリリースするWANIMA。つまり3枚連続でリリースということで、すべてが必殺音源ということで、しかも3枚合わせて1枚のアルバムとして成立するということで、それを実際にやって聴いてみたらこれまでのWANIMAのイメージが完全に更新されたわということで、またここから新しいWANIMAの旅がはじまるということで、置いてきぼりにした奴も置いてきぼりになった奴もまたここから走り出せるということで、いやあ、実に素晴らしい企画だったと思う。
いやこれは企画というよりも、WANIMAの歴史の中では大事件というか、ひとつのハイライトシーンだと思う。3人に、そのスピリットを訊いた。

インタビュー＝山崎洋一郎　撮影＝HIRO KIMURA

この3部作は、一言で言うならWANIMAの土台。いつ振り返っても後悔しないし、間違っていないと言える（KENTA）

――予想通り、作品自体はめちゃくちゃかっこよかった。

KENTA（Vo・B）　ありがとうございます。

――『Cheddar Flavor』、『Chilly Chili Sauce』、それからこの『Chopped Grill Chicken』という3枚の新作が出て、1枚1枚取材させてもらってきました。今回も『Chopped Grill Chicken』について聞くことはできるんですけど、この3部作は明らかに転機なので、今回のインタビューでは、いったいWANIMAに何が起きているかを、ファン以外の人も含めて、わかりやすく解き明かしたいと思っています。

全員　よろしくお願いします。

――まず、この3枚の作品、いわゆる3部作は、バンドにとってはなんなんでしょうか？

KENTA　この3部作は、一言で言うならWANIMAの土台。いつ振り返っても後悔しないし、間違っていないと言える3枚ですね。

――なんでこういう形になったの？

KENTA　もともとは、コロナ中に「COMINATCHA!! TOUR」の半分以上の公演が中止になって、そこからいろんなことが白紙になったんですけど、コロナで世の中やメディアが大きく動いても、WANIMAの音楽でプラスなことを、応援してくれている人たちに届けられないかと思って、新曲を小分けにして出そうっていう発想から、3部作が生まれました。

――そういう場合って、ただ単に新作を畳みかけていくやり方もあったと思うんだけど、それが3部作になったのは、ひとつの大きなやりたいことが見えていたからなんですかね。

KENTA　そうですね。3枚で1枚のアルバムのような形にできないかなという発想があったので。曲の並びも、『Cheddar Flavor』の1曲目から『Chopped Grill Chicken』の最後の曲までを通して、ライブでもやれるし、1枚のアルバムとして聴いてもすごく強いものになるんじゃないかなって。

――コロナの状況になったから、小出しにして楽しんでほしいっていう企画性があったとしても、それよりも大きな意味として、次やるべきことがドンッと見えていて、それをフルアルバムぐらいのサイズで出したい、出さなければっていうのがあったんですかね。

KENTA　そうですね。自分たちでいいと思うものや進むべき方向を決めないと、何もない状況やったから。挑戦しているWANIMAを見せたかった。止まっていないWANIMAを見せたかったっていうのもあります。

今までどれだけ生ぬるかったか、すごい感じられたので。ハングリー精神をもう一回強く持とうっていうのが、音にも出たんじゃないかな（KO-SHIN）

――『Cheddar Flavor』から、音楽自体がそれまでのWANIMAとは大きく変わったなって。そこに関しては、本人たち的にはどうなんですか？ なぜ変わったのか、どういう方向に変わったのか。

KENTA　自分たちでは、すごく温度を感じる、本当に生身の人間が作っている音楽な気がしていて。自分たちの気持ちが、声にも、ギターにも、ドラムにも乗っていて。今まで乗っていなかったわけではないんですけど、初期の頃は、いろんなことが初めてで。フェスに出られた、新しいCDが出せた、MVが出せたって、浮足立ってしまってて。ただ知名度だけがバーッて上がっていって、自分たち3人の実力が追い付いていないなってすごく思ったし。いろんな人たちと話したり、いろんなミュージシャンの動きを見ていると、僕らは入口にも立てていないなって。知名度が上がったぶん、勘違いされたこともあったんですけど、それは自分たちの力不足やった。でも今回の作品は、血が通っとる音が出せてると思うんです。それが、聴く人にどう映るんだろうなっていうのは気になるんですけど、自分たちの中では、最初に言ったみたいに、土台のような3枚で。これがあるからこそ、これからいろんなことをやっても一本筋が通せるような気がしています。

KO-SHIN（G・Cho）　3人とも、こういう時期になって、今自分たちにできることだったり、気持ちの面を考えるようになって。さっきも言ったように、知名度だけが上がっていった状況があったので、今一度見直した時に、3人ともこれじゃダメだってなったんです。まずは気持ちから強く持とうっていうので、3人がひとつになってから変わったと思います。さっきも言ったように、このままじゃダメだ、入口にすら立てていないって、いろんなアーティストを見たり、話したりした時に感じて。今まで自分たちがやってきたことがどれだけ生ぬるかったか、すごい感じられたので。そこから、もう一回ハングリー精神を3人とも強く持ってやろうっていうのがあって、それが音にも出たんじゃないかなと思います。

――FUJIくんはどうですか？

FUJI（Dr・Cho）　さっきKENTAが言ったように、入口が増えたぶん、自分たちがかっこいいと思うこととか、伝えたいことが、思わぬ方向に捉えられることがあって。そうなった時に、自分たちは音楽を主軸に物事を伝えていかなきゃいけないので、より研ぎ澄ませて音楽に向き合わないと乗り越えられないタイミングに差し掛かったんだと思います。