mzsrz、「生きがい」とまで語る、歌わなければならなかった理由。それぞれの声とDECO*27の歌詞で表現する5人の人生観をインタビューで探る

mzsrz、「生きがい」とまで語る、歌わなければならなかった理由。それぞれの声とDECO*27の歌詞で表現する5人の人生観をインタビューで探る

私、過去にとらわれる人間なので、DECO*27さんからの「もうそんな過去のことなんて捨てちゃえばいいじゃん」というメッセージなのかなって勝手に捉えてます(ゆゆん)

――アルバム全体を聴いて、DECO*27さんの人間に対する見方、感情の切り取り方、汲み取り方、そしてそれを歌詞にする表現力は、本当にすごい領域に達しているなと改めて思いました。聴き手の感情やシチュエーションを重ねられるような普遍性をしっかりと帯びさせながらも、mzsrzのメンバーそれぞれのリアルな人生観や性格を切り取った歌詞を書かれているんだなと。

ゆゆん “アンバランス”とかも、「自分のことを歌っているんだな」って、初めてデモ音源を聴いた時に思いました。私、過去にとらわれる人間なので、DECO*27さんからの「もうそんな過去のことなんて捨てちゃえばいいじゃん」というメッセージなのかなって勝手に捉えてます。

大原 “パンデモニウム”はmzsrzの中でも強い歌詞で、嘲笑ってたり見下してるような言葉が多いんですけど。《はいはい いらない/“ありがたい言葉”とか“良かれ”とか うざったいだけなの》という歌詞は、今まで夢を目指してきて「それは現実的じゃないからやめたほうがいいんじゃない?」っていろんな人から言われていた中で、そういう人たちに向かって「歌で上手くやっていくんだよ」という気持ちを込めて歌えてます。

作山 私は“ノイズキャンセリング”の《誰かがどうだなんて五月蝿いよ》という歌詞がお気に入りです。今後、否定的な言葉だったり、その人にとっての正義や正しい考え方なんでしょうけど、私たちからするとネガティブに捉えてしまう言葉だったりを耳にする機会が多くなると考えていて。そういう言葉に負けないように5人でmzsrzらしさを大切にしながら前に進んでいこうといった感情を込めて歌うことができる曲だなと思います。

実果 私は“エコー”のサビの《バカにされたっていいよ》という歌詞が本当に刺さって。今まで「これ好きなんだよね」って言うと、「何それ、気持ち悪い」って言われることがほとんどだったんです。バカにされても、くだらないって言われても、自分の信じてるものやなりたいものはそのままでいいんだなっていうのが、“エコー”という楽曲自体に詰まってるなと思って。

よせい “Repeat”は、レコーディング前にDECO*27さんのチームから「みんなの身近な音を録ってきて」というリクエストがあったんです。それぞれ自分の人生の中での身近な音――たとえば、作ちゃんだったら勉強する時のペンや紙の音とか、私は自分が飼ってる猫の足音とか、地方組はスーツケースをガラガラ転がす音とか――色々な音が“Repeat”には入ってるんですよ。

純粋な気持ちでみんな歌ってるので。それが5人分集まれば、すごく力の強い、想いの強いものになってるんじゃないかな(大原)

――初のオンラインライブは、FZ(G/sfpr、Radical Hardcore Clique)、Mas Kimura(G/JPME、NOTHING TO DECLARE)、白神真志朗(B)、平牧仁(Key/シキドロップ)、Eiji Matsumoto (Dr/Ken Band、Radical Hardcore Clique、元FACT)という、めちゃくちゃエモーショナルでスキルフルなバンドを背負ってのパフォーマンスとなりました。あのバンドの音と自分の声が合わさった時、どういった感情が溢れました?

ゆゆん バックの素敵な演奏をしてくださる方たちの音を空気がまとって、全身で語れるのがすごくいいなと思いました。

作山 後ろから背中を押してくれるというか、美しい音色とかサウンドで奮い立たせてくれるような感じで。一緒に奏でられて本当に楽しかったです。

実果 一つひとつの音から、「今楽しいよ」って声が聴こえてくるような感じがして。私、本当に不安な時は自分のことしか考えられなくなっちゃうんですけど、その音があったからこそ「みんないるよ」って包まれる感じがして、すごく楽しかったです。

――ひとりでクローゼットで歌っていた環境とは真逆で……。

実果 本当に真逆! 明るいし、みんなもいるし(笑)。

――今日話を聞かせてもらって、本当にバラバラの5人が集まっているんだとわかりました。こうして声色もバックグラウンドも異なる5人がmzsrzとしてひとつに合わさることで、どういったエネルギーを音楽やライブから放出できるのだと思っていますか。

よせい 私たちそれぞれ、圧倒的に等身大、ありのままの自分で今まで歌ってきたので。5人のいろんな想いが合わさることで、いろんな気持ちを持ってるリスナーの方々に届いてるのではないかなと思ってます。

大原 純粋な気持ちでみんな歌ってるので。それが5人分集まれば、すごく力の強い、想いの強いものになってるんじゃないかな。

作山 さっき「自分の思ってることを相談できない」みたいな話もありましたけど、そういう一面のある私たちだからこそ、同じ悩みを持ってる方に希望を共有できるというか、一緒に光を追って、頑張って生きようね、という感じで一人ひとりに寄り添って歌えることがmzsrzの良さだと思います。

実果 一人ひとりの声の個性が違うからこそ、いろんな人に刺さると思うし、5人が合った声もあるからこそいろんな人に届くような音楽ができているんじゃないかなと思います。

ゆゆん 本当に見ず知らずだった私たちがこうやって5人でここまでやってこられてることが奇跡のようなものだと、私は思っているので。一人ひとりの個性も、全員の魅力も、見守っていただきたいなと思います。

――5人ともがまだまだもっと深く掘りたくなるような人間性や背景を持っていることを感じましたし、この5人の音楽表現が進化していった先でどんなエネルギーを帯びてくるのか、非常に楽しみだなと思いました。

よせい (1stアルバムのタイトルは)『現在地不明』じゃなくて、『現在地未明』なので。まだ私たちの明かされてない部分がたくさん見られるアルバムになっていると思います。いろんなmzsrzを感じていただいて、自分のその時の気持ちに合った曲を、このアルバムから見つけてくだされば嬉しいなって思いますね。


mzsrzが 1stフルアルバム『現在地未明』について語ったインタビューの全貌は、3月30日(水)発売の『ROCKIN'ON JAPAN』5月号に掲載!

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