アイドルのライブって、お客さんが同じ振り付けをしてくれることが多いんですけど、“YOIMIYA”はお客さんが思い思いにノれるんじゃないかな(上田)
――“YOIMIYA”をケンモチさんから曲を受け取った時、どういう印象を持ちましたか?上田 もともと水曜日のカンパネラさんの曲をよく聴いていたので、楽曲提供をしていただけるってなった時、みんな「え?」ってなって。
春乃 「本当?」って(笑)。
瀬田 水曜日のカンパネラさんの楽曲を聴いてきていたので、「これはケンモチさんの曲だ」って思いましたし、歌っていてもちょっと昔話を思い出すような歌詞ですごく好きです。
上田 ダンスミュージックのかっこいい曲に、和の要素がぎゅっと詰め込まれていて。かなりかけ離れたところにあるものがこういうふうに組み合わさって、結果的にめちゃくちゃ合ってるというのはケンモチさんだからできるというか。
――世界中の最新のビートとオリエンタルな要素を探求し続けているケンモチさんならではのサウンドですよね。
春乃 クラブミュージックだからノリノリになるようなビートなのに、歌詞まで聴くとちょっと切なかったり、メロディも切ない雰囲気があったりして、それが夏祭りにぴったりだなって。期間限定の儚さが感じられて、すごくすごく好きだなと思います。
上田 アイドルのライブって、お客さんが同じ振り付けをしてくれることが多いんですけど、この曲に関しては、お客さんが思い思いにノれるんじゃないかなって。そういうのもステージから見てみたいなと思います。
希山 この歌詞はお祭りの前の日のワクワク感があるんですけど、歌詞で情景が浮かぶし、《この恋のおみくじ/(ハラハラ)/かなうように願い込めて》とか胸がキューッてなる感じもするし。大人の方には「こういうこともあったな」って共感してもらえるかなと思うし、小さい子とかには「これからこんな楽しいお祭りが待ってるんだよ」って教えてあげたいなと思います。
上田 《眠れない夜をスワイプして》という言葉には、夜眠れなくてスマホを触っちゃって、でも「もう寝なきゃ」みたいな意味も込められてるって、実際にケンモチさんも言っていて。そういう部分も、現代だからこそ共感できる歌詞だなと思います。
――現代的なワードと、伝統的なワードが編み込まれてるリリックになってますよね。
瀬田 高校の時に、女友達とみんなで浴衣を着て花火を見に行ったことを思い出しました。「もう帰ってこないんだな」、「ああいう体験はもうできないんだな」って、ちょっと切なくなったりもしましたね。
上田 私たちは「懐かしい」と感じるし、りるあちゃんと美舞ちゃんは「今から」なのかなって。
春乃 やっぱり高校生とかがそういう経験することが多いのかなと思うので。
瀬田 そうか、これがこれからリアルになるのか。いいなあ(笑)。
蒼井 大きい花火大会とかはまだ友達と行ったことがなくて、家族と行くことが多かったんですけど。出店がいっぱい並んでいい匂いがしたり、わちゃわちゃしたお祭りの楽しい雰囲気はすごく好きです。
柳 小学校とかでやる小さなお祭りには行ったことあるんですけど、大きなお祭りにはまだ行ったことないので早く体験したいなって思います。
――出店の匂いまで、曲から感じられそうですよね。
上田 出店とかの楽しさを出すために、最初は「焼きそば」というワードを入れてたってケンモチさんが言っていましたね。あと、これ、1番は「明日のお祭り楽しみだな」っていう気持ちがあるのに対して、《なつかしい香り》からは昔の記憶に戻ってる感じもあって、それを一曲の中で味わえるんですよ。1番は《この恋のおみくじ》なんですけど、最後は《あの恋のおみくじ》で過去を含んでもいるのかなって。いいですよね。
「アイドルだから」って毛嫌いされるような方にも届いてほしいって前から言ってたんですけど、さらにそう思うようになってきた(春乃)
――“YOIMIYA”のミュージックビデオに関しては、どんなものを作りたいって考えたんですか?春乃 ミュージックビデオの会議に参加したのはこれが初めてで。なのでロケの場所とか、出てくるものとかも、メンバーの意見で「これが合うんじゃないか」って言ったものが入ったミュージックビデオになってます。
上田 今回は佐賀県の祐徳稲荷神社と、(大魚神社の)海中鳥居で撮影しました。海中鳥居は、潮が満ちてる時は海の中に鳥居が立ってて、潮が引いたらそこに道ができる場所で。お参りする場所の前で私たちが踊ったりしてて、信じられない光景だと思いますね(笑)。
春乃 神聖な感じというか、ちょっとご利益がありそうな感じになってるかなって思います。
上田 そこで撮影をしてるんですけど、ドローンもめちゃくちゃ使いましたし、CGも使われていて、この曲にぴったりな「現代と昔の融合」がミュージックビデオでも表現されてると思います。監督をやってくれた安藤(大悟)さんは私たちと年齢が近くて。
春乃 「こうしてほしい」ということを近い感覚でしゃべれてるのかなっていうのもあって、それも含めて観てほしいですね。
瀬田 小学生の時に社会科見学で佐賀の吉野ヶ里遺跡に行って、そこで勾玉作りの体験をやったんですよ。佐賀で撮影することが決まって、それを思い出してみんなに話したら「それを取り入れよう」ってなって、みんなで勾玉を見せたり儀式を行ったりしてます。イメージ的には、魔法陣ができあがるというか。
春乃 私たちそれぞれに要素があるのを勾玉にたとえて、それが揃ったら願いが叶うという感じで、6人でひとつの力を発揮するみたいな意味が込められてます。
上田 あと、曲には入ってないんですけど《いいことあるかも》のあとの間奏で私たちが手拍子をしていて、それがミュージックビデオには映ってるので。曲を聴いて、さらにミュージックビデオを観るとまた違う捉え方ができるかなって思います。
――今日話を伺って、ばってん少女隊が新しいフェーズに入っていることを確信したし、自らクリエーションにまで積極的に関わるようになっていることがわかって、今後どういった表現が出てくるのかがますます楽しみになりました。今、ばってん少女隊として掲げている目標って何かありますか?
上田 今年は、11月26日(土)の中野サンプラザでのワンマンライブを満員にすることを目標にライブをやっていきたいなと思ってます。今年のいちばん大きなライブは中野サンプラザだけど、九州全県ライブハウスツアーとかもあるので、九州でももっともっと知名度を上げていきたいですね。できれば、一つひとつのライブをソールドアウトしたいなって思います。“OiSa”、“わた恋”、“YOIMIYA”で私たちのことを知ってくださった方がライブに足を運んでくれると嬉しいです。
春乃 前から「アイドルだから」って毛嫌いされるような方にも届いてほしいって言ってたんですけど、さらにそう思うようになってきていて。なので、九州に住んでるみなさん、全国のみなさん、海外のみなさんに、ばってん少女隊を好きになってもらって、それを通じて九州や日本に興味を持ってもらえたら嬉しいなと思います。
ばってん少女隊がニューシングル『YOIMIYA』について語ったインタビューの全貌は、3月30日(水)発売の『ROCKIN'ON JAPAN』5月号に掲載!