Novel Coreが新作『No Pressure』を語り尽くすインタビュー! 過去の傷に向き合ったからこそ湧き出た、ピュアな音楽への想い

Novel Coreが新作『No Pressure』を語り尽くすインタビュー! 過去の傷に向き合ったからこそ湧き出た、ピュアな音楽への想い

Aile The Shotaと僕は性格も音楽活動をするうえでのスタンスも、真逆かっていうくらい違うんですよね。でも根っこがすごく近い気がする

――この曲の中でハッとしたのは、《変えられない 過去はいくらでも美化できるから》っていうところ。「過去は書き換えられない」「起きてしまった事実は変えられない」っていうのは確かにそうなんだけど、その正論に苦しめられるのもまた事実で。だから「過去は美化できる」ってことを、ズルさとか逃避と捉えるのではなくて肯定的に歌ってくれるこの歌詞に救われる人は多いと思います。

「僕も過去を振り返れば、正直後悔していることもいっぱいあるし、もし今、時が戻るとしたら違う行動をとるだろうと思うこともあるんですけど、それがあったからこそ見ることができた景色があるし、出会えた人がいる。その想いがすごく強いんですよね。そういう意味で、過去の出来事を受け入れて、これからの進み方次第で、過去はどうとでも見え方が変わるよ――っていうことは、確かに伝えたかったんですよね」

――“HAPPY TEARS feat. Aile The Shota”は “THANKS, ALL MY TEARS”へのアンサーソングだと受け取れますが、それをAile The Shotaさんとコライトで作り上げるというのもグッときますね。

「そうですね。Shotaは心から信頼している仲間で、『No Pressure』と僕が言い切れるようになるために、人間的にいい影響を与えてくれた友達でありキーパーソン。だからここにShotaが入ってくるのは必然なんです。Aile The Shotaと僕は性格も音楽活動をするうえでのスタンスも、真逆かっていうくらい違うんですよね。でも根っこがすごく近い気がするんです。自分の正解ではないものの受け入れ方とか、捉え方とかがだいぶ近い気がしていて、言語化が難しいくらいのシンパシーを感じています」

――ふたりで楽曲を作るっていうのは、かなり前から画策していた?

「そうですね。ほんとは前作の時にも何かやろうと準備をしていました。でもふと考えた時に、『今それをやるとBMSGのアーティスト同士のコラボっていうだけで消費されてしまう』と思ったんですよね。僕はShotaとは仮にBMSGで出会っていなかったとしても、どっかで絶対出会っていたっていう確信があったし。だから第一前提としてNovel CoreはNovel Coreとして、Aile The ShotaはAile The Shotaとして、ソロアーティストとして唯一無二である状態までいって、そのうえで絡む必要があるよねっていう話で、この1年間お互いに必死に頑張って、それを抜けた先で会おうぜって言って」

――後半のShotaさんのバースで、《誰も変われないような過去に/夢に見ていたような色を》っていうリリックがあるんだけど、これまさに、さっき話してた“No Pressure”の歌詞とシンクロしてると思ったんです。もちろんShotaさんから出てきた歌詞だと思うんですけど、このテーマの一致は偶然?

「Shotaが書いてきてくれたリリックですね。ふたりの歌詞をレコーディング当日に突き合わせるみたいな感じでやったんですけど、こんなにきれいにはまったので、ほんとに根っこで同じことを感じてきたんだろうなって思いました」

Novel Coreが新作『No Pressure』を語り尽くすインタビュー! 過去の傷に向き合ったからこそ湧き出た、ピュアな音楽への想い

明日人生が終わるとしても、誰に向けるでもなく、今の気分を歌うんだな。それくらい音楽が好きなんだなって再確認できた

――そしてラストの“Untitled”に行く前に、ごく短いスキットが入っています。

「“Untitled”を作ったからこそ、この“Skit”が必要で、カセットテープを再生する音を入れたかったんです。前作で“PERIOD.”から“THANKS, ALL MY TEARS”に行ったように、今作は“HAPPY TEARS”で終わって、“Untitled”が次の作品の序章になる曲というイメージだったので、ここで時系列が変わっている感じを出したかったんです。“HAPPY TEARS”をすでに過去に歌っている世界線の僕が、久々に思い返して再生した曲が“Untitled”だったということなのかもしれないし、逆に未来の自分が久々に『No Pressure』を聴きたくなって聴き終えたところと捉えることもできるなっていう。そのふたつの意味での再生ボタンの音がほしくて入れたスキットです」

――なるほど。だから最後の曲はNovel Coreの次のフェーズを感じさせる、シンガーソングライターとしての「歌」を聴かせるものになっている。未来、たとえひとりになっても歌を歌っていると感じさせるような。これ、Yuya Kumagaiさんの奏でるギターの音色もとても美しくて。

「クマさんから10曲分くらいデモが送られてきて。その中で一曲だけ、クマさんがメロディラインを鼻歌で入れつつ、最後に『Coreくん、気に入ったところがあったらメロディ使ってください。いい曲にしようね』って一言、マイクに向かって言ってくれてるトラックがあって、それがこの曲でした。ほかの曲のデモもめちゃめちゃよかったんですけど、その言葉を聞いた瞬間、もう『これだ!』ってなってしまって。それで、レコーディング当日の朝まで歌詞のテーマさえ決まっていなくて、朝焼けを見ながらあのギターの音を流して聴いていたんです。そしたら、もし明日自分の人生が終わるとしたら、僕は何をするだろうっていうことをテーマに歌いたくなって。それって裏を返せば、自分にとっていちばん大切なものってなんなのかっていうところにたどり着くから。そこから10分くらいでばーっと書いた歌詞なんですけど、自然と《今を口ずさんで》っていう歌詞が出てきた時に、自分はたとえひとりぼっちだったとしても、明日人生が終わるとしても、誰に向けるでもなく、今の気分を歌うんだな。それくらい音楽が好きなんだなって再確認できた。それが嬉しくて涙が止まらなくなりました」

――このアルバムはすごくピュアに音楽に向き合っている作品だし、もう、BMSGの第1弾アーティストとしてのプレッシャーからも解放されているんじゃないかと思いました。

「解放というよりかは、プレッシャーはたぶん永遠に感じ続けていくんですよ。でもそのプレッシャーごと全部受け入れちゃったというか。そのプレッシャーを背負うのが僕の人生だと受け入れてしまったし、その分恐れるものがなくなったんですね。怖くなくなった。どんなにボロボロになってしまう時がきても、それも含めて自分のストーリーだと思えるようになったんだと思います」

――マインドの着地点として理想的というか、大きな鍵を手に入れたような作品ですよね。次のフェーズを見せる楽曲もありますが、今どんなことを考えていますか?

「実はもう次の作品の制作がスタートしかけているんですよ(笑)。言語化が難しいんですけど、『No Pressure』を作り終えて、これまで全然見えてなかったものが見えるというか、視野が、六畳一間から東京ドームくらいにまで広がったように、いろんなことが鮮明に見えるようになったような感覚で。音楽に関しても、今まで感じなかったメロディとか譜割りが見えるようになったっていうのもあって。以前までの僕は完璧主義で、自分で自分の可能性をずっと狭め続けていたから、今はなんかほんとに赤ちゃんに戻ったみたいな(笑)。おもちゃをぽんと目の前に出されたら、遊び方も知らずに、新しい遊び方を作り出してしまうような状態にいる。そんな感じです(笑)」

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