2016年放送のTVアニメ『マクロスΔ』から生まれた戦術音楽ユニット・ワルキューレ。アニメの物語と連動して現実世界でもリリースやライブ活動を行い、放送終了後も精力的に活躍の場を広げてきた。中でも、横浜アリーナや幕張メッセでの単独公演のほか、2017年にROCK IN JAPAN FESTIVALにも出演するなど、ライブの実力は折り紙つき。「歌」で戦う作中のキャラクターと同様に、圧倒的な歌唱力とパフォーマンスで存在感を示してきた。そんなワルキューレが、最後の単独ツアーとして「SANKYO presents ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 〜Last Mission〜」の開催を発表。さらに、ツアーを目前に控えた5月17日、これまでの歩みを網羅するライブベストアルバム『Absolute LIVE!!!!!』をリリースする。2016年の「SANKYO presents 『マクロスΔ』戦術音楽ユニット ワルキューレ 1st LIVE in Zepp Walküre Attack!」から2022年の「ワルキューレ LIVE 2022 〜Walküre Reborn!〜 at 幕張メッセ」まで歴代のライブ音源からベストテイクを厳選し、オリジナルアルバムを再構築した4枚組。そのボリュームもさることながら、オリジナル音源を凌駕する5人のハーモニーや、ライブならではの気迫、オーディエンスとの一体感など、どこを切っても熱い作品は、まさに彼女たちの集大成に相応しい。今作と、ついに始まるファイナルツアーについて、メインボーカルとしてユニットを牽引してきた美雲ΔJUNNAとフレイアΔ鈴木みのりに語ってもらった。
インタビュー=後藤寛子 撮影=伊藤元気(symphonic)
ワルキューレをキャラクターとして見ている方もいれば、アーティストとして見ている方もいる。そこが『Δ』らしくて素敵(鈴木)
――おふたりは、ワルキューレとしてのデビューが声優/シンガーとしての始まりでもあって。デビュー当時は10代だったおふたりですが、改めてその歩みを振り返るとどう感じますか。フレイアΔ鈴木みのり 本当にびっくりの連続でした。今こうして7年くらいやらせてもらっていますけど、当初はTVアニメの放送が終わって、2ndライブの横浜アリーナ(「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」)を終えたら一区切りだと思っていたんです。それが、ライブをきっかけにみなさんの心に響いて、どんどん進んでいくことができて。私はもともと『マクロス』シリーズが好きだったんですけど、『Δ』はシリーズの中でも特殊で、ワルキューレをキャラクターとして見ている方もいれば、アーティストとして見ている方もいるので、そこが『Δ』らしくて素敵だなと思います。
美雲ΔJUNNA 私にとってワルキューレは、本当に10代の時からずっと一緒にいる存在ですね。私は歌のみの担当で声優としては美雲を演じていないので、みのりちゃんやほかのメンバーよりはTVアニメに関わる時間は少なかったんですけど、歌う機会もたくさんいただけて嬉しいなって思う日々でした。ワルキューレはライブを通して新しいものがどんどん作られていくグループだなと感じていて。私たちのライブを観て、「これで終わらせちゃいけない」って言ってくださった河森(正治)監督のおかげでここまで続けられたのは本当にありがたいことだなと思います。
――今のお話を伺うと、ベストアルバムがライブ盤というのが必然に思えますね。今作のライブ音源を聴いて、改めてどんな印象を受けましたか?
鈴木 CDの音源より、すごい熱量を感じて。さらに元気が出るなあと思いました。
JUNNA 私は、Disc1とか2は「若いなあ」っていう気持ちが強くて(笑)。自分の声を毎日聴いていると変化は感じないですけど、やっぱりこうして振り返って音源で聴いてみると、「こんな歌い方してたんだな」とか、新しい気づきがありましたね。
鈴木 そういう意味では、昔の音源を聴くと私は本当に反省しかない(笑)。
JUNNA はははは!
鈴木 JUNNAちゃんは若いって言ってましたけど、私はもう「下手だな……」って思っちゃう(笑)。曲は大好きなんですけどね。だからこそ、今はもっとこう歌いたいという気持ちが出てきているし、反省と同時に7年でこれだけ成長できたんだって実感もあって。また数年後にこのアルバムを聴き返したら自分はどう感じるだろうなとか、そういうことも考えるようになりました。
初めて聴く方も、ワルキューレのライブはこんな感じなんだって発見できる、すごく面白いアルバムになった(JUNNA)
――ライブの音源でベストアルバムを作るというアイデアはどこから?鈴木 去年、ライブを振り返る生配信番組があったんですけど、その時にライブ音源をリリースできたらいいよねっていう話が出て、メンバー内で盛り上がっていたんですよ。それを聞いてスタッフさんが動いたのか、その前から動いてたのかはわからないんですけど、もともとそういう想いはありました。ライブ音源を望んでくださっているファンの方もたくさんいましたし、ワルキューレはライブで何かを動かしてきたのは間違いないと思うので、らしいベストだなあと思います。
JUNNA ライブは、やっぱりその時の気持ちによって歌い方が全然変わってくるので、それを改めて音源で聴けるのがいいですよね。私としてもその時の気持ちを思い返せるし、来てくださっていたお客さんにとっても思い出が詰まっているだろうし。今回初めて聴く方も、ワルキューレのライブはこんな感じなんだっていう発見ができるので、すごく面白いアルバムになったと思います。
――1本のライブをライブアルバムにすることはありますけど、各オリジナルアルバムをライブ音源で再構築した4枚組の大ボリュームというのがワルキューレらしいなと。
鈴木 すごいですよねえ。まさかアルバムの曲順通りに構成されるとは、私たちもびっくりでした。しかも、お客さんの声とかで曲と曲とが繋がって、ひとつのライブのようにも聴ける。「そんなことできるんだ!」って。
JUNNA すごいよね。Disc1の1曲目(“恋! ハレイション THE WAR 〜without Freyja〜”)が、最初のライブ(「1st LIVE in Zepp Walküre Attack!」)からなんですよ。実際のライブでも1曲目だったんですけど、当時のことは今でもはっきり覚えていて。「うわー、緊張しながら歌ってたなあ!」って。収録されているのは(鈴木以外の)4人バージョンなんですけど、このツアーでしか4人バージョンは歌ったことがないんです。4人でリフターみたいな装置に乗って、せり上がっていって……。
鈴木 私は横で見てました(笑)。「頑張れ~」って思いながら。
JUNNA はははは。アニメの始まりと同じようにという演出だったんですよね。
鈴木 私もすごく緊張していたんですけど、4人が先に出てくれていたから、自分の緊張はたぶん4人よりは和らいだ状態でしたね。あと、この1stライブだけは、フレイアにとっても初めてのライブっていうテンションでいられたので。間違えちゃいけないんですけど、5人の中ではきっと失敗しても許される立場だろうと思って、安心感はあったかもしれない(笑)。