名作アニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』シリーズからのインスピレーションを目一杯注ぎ込んだ、ニューアルバム『CODE GE4SS』。キャラクターやストーリーへの強い思い入れが溢れるのみならず、『コードギアス』が4s4kiというアーティストの人生観や作家性にとてつもない影響を及ぼし、表現力を引き出していることが伝わる作品だ。しかも、アニメ制作サイドとのコラボレーションを実現させ、豪華声優陣が新録キャラクターボイスで参加した大型プロジェクトに。今回のインタビューでは、4s4kiが『コードギアス』へと寄せる思いをたっぷり語りまくってもらった。
インタビュー=小池宏和
――『CODE GE4SS』は言わば『コードギアス』の架空サウンドトラックですね。
「はい。私が初めて『コードギアス』を観たのは小学生の時で、まだ物語の内容とかもわかっていなかったんですけど、1年に一回くらいは全部を観返すくらい好きで。『Castle in Madness』(2021)の制作期間中も観返していたんですけど、その時にふと自分の原点に立ち返るような感覚があったんですね。そこで、自分の好きなものだけを完全に落とし込んだ楽曲を作ってみようと思って、自然とできたのがアルバム冒頭の“CODE GE4SS”という曲でした」
――それほどまでに4s4kiさんを衝き動かした『コードギアス』って、どういう作品だったんでしょう。
「高校生ぐらいの時かな、キャラクターのセリフの強さに惹かれていたんです。私は主人公のルルーシュというキャラクターがいちばん好きなんですけど、『撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ』っていうセリフがあって。それが当時の私に刺さったんです。音楽活動をしていくうえでも、作品を発表していく覚悟がそこで決まったんですよね」
――それは大きな経験ですね。ちなみにそのルルーシュの名言は、“CODE GE4SS”の曲中にも福山潤さん(ルルーシュ役)の新録ボイスとして入っています。
「今回のコラボはアニメ制作サイドの皆さんが寛容で、思ってもみなかったような協力をたくさんしてくださいました」
――一方“Flying Lotus”では、カレン役の小清水亜美さんが大熱演していますが、このタイトルはどういう意味ですか?
「これは、カレンが最初は旧型の機体(ナイトメアフレーム)に乗っていたんですけど、後に紅蓮弐式っていう赤い機体に乗り換えるんですよね」
――あっ、なるほど。紅蓮(蓮=lotus)だから“Flying Lotus”か。かっこいい!
「ありがとうございます(笑)。トラック面では、カレンの大人しい学園生活と、戦闘では容赦なく敵を打ちのめしていくという二面性を、転調で表現しました」
――『コードギアス』って、登場人物がみんな個性的でキャラ立ちしているし、群像劇として見応えがあるから、一人ひとりに感情移入しちゃうんだろうね。
「本当にそうで、曲をポンポン、スラスラ書けちゃいましたね。好きなキャラクターを厳選して作ったので、他にも魅力的なキャラクターがたくさんいます」
――じゃあ次は、“慰霊文”という曲に込めた思いを教えてもらえますか。
「物語の中で敗戦国になった日本にイレブンという呼称が与えられて、日本人のことでもあるんですけど、この曲は当初“リフレイン”というタイトルだったんです。イレブンのスラム街で蔓延していたドラッグがリフレインという名前なんですね。でも、曲ができて聴き込んでいるうちに、リフレインだけにフォーカスするのは勿体ないなと思って、現実にも戦争の悲劇が起きたりしているわけなので、“慰霊文”という敗戦国の曲にしました」
――素晴らしい。僕個人はとりわけ“rolo”や“Shirley”といった曲が好きなんだけど、シャーリーってさ、物語の中では普通の学生さんじゃないですか。そんなキャラクターに強い思い入れを抱いて、こんなに美しい曲を作るっていうね。
「はい。アニメ制作スタッフにお話を伺ったんですけど、シャーリーは登場人物の中で唯一、嘘を吐かないキャラクターなんですよ。とても真っ直ぐでピュアで、でもたくさんのつらいことが降りかかってしまうっていう。“Shirley”の歌詞はとてもストレートなんですけど、それはシャーリーというキャラクターがいたからこそなんですよね」
――しかも、シャーリー役の折笠富美子さん歌唱による“Shirley (シャーリー・フェネットver.)”が、7月7日にデジタルシングルとしてリリースされると。今回のプロジェクトの最高到達点って、このバージョンだと思うんですよね。
「こんなことが実現するんだって、今までのアーティスト活動の中でいちばん泣きそうになった現場でした。私が歌った“Shirley”とはBPMも違うし音も違うし、こっそりコードも変えていて、やりたいプロデュースワークを具現化できたので、私にはこういう一面もあるんだよっていうのを伝えたいです。チームのみんなや、アニメ制作サイドの皆さんが私の自己満足に協力してくださって、チームワークで完成した作品だと思います」
――ルルーシュばりに我が儘な作品だよね。「4s4kiが命じる!」って感じでしょ。
「そうですね(笑)。私はルルーシュに影響を受けているので、ルルーシュになっちゃいましたね。4s4kiファンの皆さんは、このアルバムを理解するために『コードギアス』を観てください。観れば100%理解できるアルバムなので」
このインタビューは、6月30日に発売された『ROCKIN'ON JAPAN』8月号にも掲載中!
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