【インタビュー】あいみょんと『ドラえもん』の奇跡のような話。本当の「好き」が詰まった新曲“スケッチ”は10年越しの愛がつないだ名曲──極まる才能の現在とこれからを、20代の出口で今、じっくり話そう

【インタビュー】あいみょんと『ドラえもん』の奇跡のような話。本当の「好き」が詰まった新曲“スケッチ”は10年越しの愛がつないだ名曲──極まる才能の現在とこれからを、20代の出口で今、じっくり話そう

いちばん感覚なのが、メロディなんですよ。歌詞と歌い方に関しては、コントロールできる。自分の売りは何かって訊かれた時に、「歌、歌詞」って自分で言いたい

──この曲は、ボーカルも印象的で。あいみょん史上できる限りの優しさ、温かさ、ぬくもりを閉じ込めたいという意志のもとに歌われた感じがする。歌入れはどういう感じだったの?

そんなに強く歌うイメージはなくて。Aメロは特に、音数がすごく少ないし、ギャンギャン歌ってもなって思ったので、自分でアコギで弾き語りで作った時の印象のままに、優しく歌いました。だんだん盛り上がってくるところに合わせて、声の張りは変えていきたいなとは思いました。今回は挿入歌と主題歌を担当させてもらうので、2曲あるなら対比をつけたくて、挿入歌は『ドラえもん』の曲ですっていう、元気に明るく軽快に。歌い方も2曲でかなり変わってる感じにしたかった。

──国民的なコンテンツだし、『ドラえもん』ってすごく本質的なコンテンツだよね。誰もが知っている──。

総理大臣より有名人ですよね。

──有名だね(笑)。でも、やっぱりあいみょんにこういう国民的なテーマをしっかりと描く作品のお話が来るって、必然なんだと思うんだよね。

デビューした時の私に声をかけようと思わなかったはずなんですよ。ありがたいことに、そういう作品にも声をかけてもらえるようになったのは……なんででしょうかっていう(笑)。

──あいみょんはもうデビューして10年近いキャリアがあって、かつ、テクニカルに曲を書ける人なんだけども。でもやっぱり、ペンと楽譜で曲を書くっていうゾーンに逃げ込まないで戦ってきたからだと思うんだよ。やっぱりその、まあ青臭い言い方するけど、ハートと思いで書いてきた。

マジ感覚(笑)。そうですね。

──ハートと思いをテクニックで支えながら書いてきているから、こういう柔らかいテーマ、本質的なテーマを持った作品のタイアップ曲の依頼があいみょんのところに来るのは必然なんだよ。

へえ。

──心と思いで曲をゼロイチから作るというリングに立ち続けるのはものすごくしんどい。そう言われるとどう思う?
 
もともと10代で曲を作り始めた時から、テクニカルなことはもちろんできなくて。手元には携帯しかなかったですし。その感覚は抜けないですね。気持ちで書く、自分が今書きたいことを書く。それで今のあいみょんっていうアーティストができあがってるのであれば、もうこれ以上は余計なことしなくてもいいのかなって。一時期は、学ぼうとしました。でも、それって私じゃないなって思ったんですよね。なので、音楽のことを学ばないって決めてるというか。私は、音楽に関しては賢くなっちゃうと面白いものができなくなる気がする。知れば知るほど、知ってるものを作ってしまうので。知らないからこそ知らないものが生まれる、変なものが生まれる。それこそ「すこし・ふしぎ」なものが生まれる。っていうことを大事にしたいなって思って、譜面も読めないままでいいやって(笑)。

──音数も少ないよね、ほんとにね。

少ないです。はい。

──Aメロなんて、ほんとにシンプルなの。そうなると、まだ存在してないメロを見つけなきゃいけない。これはすごく大変なことだと思う。

確かに。音に関しては、私はほんとに詳しくないので、そこはプロの方々のお力添えで作っていて。じゃあ私がいちばん勝負できるものって何かなって思ったら、歌唱と歌詞。そこはもっともっと進化していきたいと思うところではありますね。メロディは、もうほんとに感覚です。この音がドだから次に何かが来たらダメだとかは全くわかんない。いちばん感覚なのが、メロディなんですよ。歌詞と歌い方に関してはコントロールできると思ってるけど、メロディはほんとに大変。こっから10年、自分の売りは何かって訊かれた時に、私はやっぱり「歌、歌詞」って、自分で言いたいなと思ってますね。

──あらためてそう思えるよね、こういう曲を作るとね。

いやあ、まだまだですって言っておきます(笑)。まだやってない表現があるはずなんですよ。それを思いつくのがいつなのかっていう。まだまだやってない表現、まだまだやってない角度の曲──それこそのび太くんの眼鏡っていうのは、自分にとっては「来た!」って思った角度だったので、そういう発見が自分の中にまだあるはずなんですよ。30代になったらどんな曲を書くのかなとも思いますし。そういう発見をもっとしていきたいです。だからやっぱ書くのは止められない。面白い。

──この曲でもうひとつすごいなと思ったのはDメロ。あいみょんってDメロがすごく得意じゃない?

そうですね。わりと。

──なんだけど、この曲のDメロは、あいみょん史上最もテクニカルに書かれている感じがする。

おおー、ありがとうございます。

──大人としての、中堅アーティストとしての成熟を感じるような、ちゃんとここまで積み重ねてきたものが、このDメロには込められてると思う。

ありがとうございます。実はもともとDメロがなかったんです、この曲は。

──そんな感じがするんですよ。

ははは。Dメロをつけたほうがいいかな、つけないほうがいいかなって相談した時に、つけてもいいんじゃないかって、ディレクターさんが言ってくれて。じゃあちょっと作ってみようかなってできたDメロだったんです。だからあと付けなんです。全部できあがったあとに、Dメロだけ差し込んだ感じでした。いつもと違ったDメロが浮かんだので、ちょっと暗いかなって思ったんですけど、「いいんじゃない?」って言ってくださったので。

──同じ人格が同じタイミングで作ったDメロには聞こえなかったんだよね。

うん。分裂してる。

──そう。ここは『ドラえもん』と共に育ってきたあいみょんというより、音楽を10年間しっかり作ってきたあいみょんが作ったDメロって感じがした。

技術、テクが出てました?(笑)。まあDメロって起承転結の転、みたいなところだと思うので、わりと重きを置きがちではあります。今回はなくてもいいかなっていう気持ちがあったんですけど、作ってよかったです(笑)。

ヘアメイク=松野仁美 スタイリング=服部昌孝 美術協力=松本千広 照明協力=海道 元


あいみょんのインタビュー全文は現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』4月号に掲載!
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