チームしゃちほこ@日本武道館

チームしゃちほこ@日本武道館
「路上デビューしてから2年4ヶ月しか経ってないんです。まだまだ未熟な私たちが武道館に立たせてもらうなんて、最初はいいのかなって思ってたけど、やらせてもらうからには、しっかり最後まで笑顔で最高なパフォーマンスして、『しゃち良いね!』って思ってもらえるようにってレッスンしてきました」--アンコール時のMCでそう話す、秋本帆華の笑顔がすべてを物語っていた。2011年に結成、2012年に路上デビューしてから、正に瞬く間に日本武道館のステージへと辿りついた、名古屋を拠点とするアイドル、チームしゃちほこ。「しゃちサマ2014~神々の祭り~」は、勿論大舞台に立つことへの感慨と喜びに満ちてはいたが、やはりここは「ROAD to 笠寺」(地元名古屋の日本ガイシホール公演を目標として活動している上でのキャッチフレーズ)の通過点であり、同時に彼女たちが成長途上であることも実感させてくれるステージだった。

チームしゃちほこ@日本武道館
武道館に足を踏み入れると、「神々の祭り」というサブタイトルにちなんで、パルテノン神殿風のステージセットが組まれており、その屋根の両端には金のしゃちほこが鎮座する。開演定刻から5分ほど過ぎると、場内BGMが徐々に大きくなり、まずは“SPACEひつまぶし supported by ZEN-LA-ROCK”が流れて暗転。ステージ背後のビジョンには「古代遺跡のモデルはチームしゃちほこである」というメッセージが掲げられ、そして俳優の竹内力演じる神様が登場するオープニングムービーが流される。その映像が終わると、“出囃子”に導かれ、ひとりずつ勢いよくジャンプしながら、メンバーが登場。そして、オープニングからいきなり招かれたゲストはROLLYである。彼のギターが唸る “エンジョイ人生”から、この日の全力パフォーマンスはスタートした。

チームしゃちほこ@日本武道館
自己紹介で早くも涙を浮かべ、喜びを見せるのは安藤ゆず。いつもの掛け合いも1万人規模の武道館となると壮観だ。中盤では彼女がひとり登場し、茶目っ気満載で「今日は安藤ゆずソロコンサートにお越しいただきありがとうございまーす!」と叫び、伊藤千由李、坂本遥奈とのユニット「安藤ゆずとストロベリー・グッバイ・フォーエバーズ」による“私がセンター”を披露。上昇する左右のリフトで2階席にアピールする千由李と遥奈を羨ましがったかと思えば、ステージを上手から下手まで走り回ったり、上段ステージに寝転んだりと独壇場を繰り広げるゆず。彼女の縦横無尽なパフォーマンスに会場が自然と笑顔に包まれていくのだ。続いてステージ背後に光る無数のライトが夜空の星を描き出し、会場の空気が一転する。秋本帆華のソロナンバー“おっとりガールの憂鬱”だ。聖地・武道館に立つ喜びを噛み締めるかのように、ステージ上をゆっくりと歩きながら歌い上げる帆華。この日のソロは、いつも以上にエモーショナルに響いた。

チームしゃちほこ@日本武道館
チームしゃちほこ@日本武道館
そして気がつけば、瞬く間に本編は終盤へと差し掛かる。大黒柚姫の「準備はいいかー!」という煽りから繰り出されたのは、“乙女受験戦争”“ザ・スターダストボウリング”“ピザです!”“そこそこプレミアム”“トリプルセブン”“抱きしめてアンセム”という怒涛のキラーチューン6連打。特に最後の3曲。《うっかりデビューしました》という、“そこそこプレミアム”では自分たちの「始まり」が語られ、続く“トリプルセブン”の《うまくいきすぎちゃって すいません》では、瞬く間に出世街道を駆け上がってきた彼女たちの姿を描写し、そしてラストの“抱きしめてアンセム”では《足りない足りない モノたんない/ゴールはまだまださ Winding Road》と飽くなき渇望を歌い上げる。《勝つまで終わらせない!》と力強く歌う咲良菜緒の姿が頼もしい。しゃちほこのリアルな状況を写し取った言葉、そしてそれに呼応するかのような6人の力強いパフォーマンスに、これまでの歴史に思いを馳せたファンも多かったはずだ。

チームしゃちほこ@日本武道館
チームしゃちほこ@日本武道館
アンコールを受けて、ビジョンには神様(もちろん竹内力)が再登場。しゃちほこを絶賛し、「広めたい!!」と語ると、メンバーの顔やジャケット写真、ロゴが次々と古代遺跡にモーフィングされる。そして再び登場したメンバーによるMCでは涙を流す場面もあったが、それでも全員が「ここは通過点」「ついてきてほしい」と切なる思いを口にする。そして客席から6色のジェット風船(運営側からのサプライズ)が放たれた“マジ感謝”を終えると、またもや竹内力が登場するムービーが。2015年1月3日、昨年末に続いて二度目の愛知県体育館公演となる「鯱詣」開催が発表されたのだ。歓喜のムードが武道館を包み込む中、この日のフィナーレは“ごぶれい!しゃちほこでらックス”。ひとりひとりの顔を見るように下手~上手を移動しながら盛り上げていく6人。最後は全員で手を繋ぎ、オフマイクで「ありがとうございましたー!」と叫び、大団円を迎えたのであった。

チームしゃちほこ@日本武道館
そのポテンシャルの高さで、路上デビュー当時から話題を集めてきたチームしゃちほこ。まさに隙のない歌とパフォーマンスを届ける彼女たちは、この3年で着実にファンを増やしてきた。もはや、ただの「妹分」じゃない。そんな姉たちを脅かす存在へと成長したしゃちほこが次の目標を超えるとき、6人はどんな表情を見せてくれるのだろうか。今から楽しみで仕方がない。(塚原彩弓)

■セットリスト
01.エンジョイ人生
02.OEOEO
03.よろしく人類
04.いいくらし
05.首都移転計画
06.colors
07.大好きっ!
08.でらディスコ
09.私がセンター
10.おっとりガールの憂鬱
11.もーちょっと走れ!!!
12.カントリーガール
13.乙女受験戦争
14.ザ・スターダストボウリング
15.ピザです!
16.そこそこプレミアム
17.トリプルセブン
18.抱きしめてアンセム

(encore)
19.勝手にハイブリッド
20.明け星
21.マジ感謝
22.ごぶれい!しゃちほこでらックス
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