10-FEET × SHANK@Zepp Tokyo

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1月から開催されている10-FEETの全国ツアー「10-FEET TOUR 2016」。その19公演目が東京・Zepp Tokyoにて行われた。この日のゲストバンドは、長崎出身バンド・SHANK。次世代を担う若きヒーローと、大人を童心に帰らせる不屈のヒーローとの夢の2マンは、熱気と夢とドラマに溢れた忘れられないステージとなった。

開演時間ジャスト。軽快なSEに乗って現れたSHANKの3人は、「長崎のSHANKといいます、よろしく!」と自己紹介も早々に池本雄季(Dr・Cho)の強烈なドラミングから始まる “submarine”で奇襲を仕掛けては、“Cigar Store”“Take Me Back”と手加減なしのパンキッシュメロディーでフロアを踊らせ飲み込んでいった。続く“Good Night Darling”で庵原将平(Vo・B)のシャウトにも近い渾身のヴォーカルで英詞をまくし立てたと思いきや、MCでは方言全開。気合十分のフロアからの「かかってこいよ!」との挑発に「俺らは優しいけんいいけどね、かかってこいなんて言わない! まぁでも、俺らはかかっていきますけど!」と挑発返しで意気込みを見せた。そしてスカダンスを誘発する松崎兵太(G・Cho)のギターが冴える“620”、バキバキなロックテイストがたまらない“Hope”を経て、一昨日の北海道での悪天候による飛行機欠航の話から「晴れて良かったな、という曲を」と掻き鳴らした“Weather is Beautiful”がフロアを晴れやかに彩った。そして、「いつも俺らにチャンスをくれる10-FEETに感謝します。遥か遠い話ですけど、音で返せたらいいなと思っています」という約束を固く結び、“Set the fire”“Long for the Blue moon”で本日の主役へとバトンを繋いだ。

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SHANKが上げたフロアの温度は、TAKUMA(Vo・G)、NAOKI(B・Vo)、KOUICHI(Dr/Cho)の登場によりさらに急上昇。「おい、声を聞かせてくれよ!」というTAKUMAの言葉に、フロアから太い大歓声が沸き起こり、この暑苦しさが10-FEETだよなぁなんて思ったのも束の間、「太ってええよー!」の合図からの“DAVE ROAD”がスタート! 続けて“RIVER”を投下するという破天荒っぷりに、オーディエンスは当然のように早々にもみくちゃに。初っ端からメンバーに「今日はなんかすげぇなお前ら」と言わしめるほどの盛り上がりを見せた。

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そこから“2%”“ライオン”、さらに「いつもは大人しく観ている人も、今日は子供になってくれたら嬉しい」と“super stomper”“hammer ska”を連続で投下! 軽快なステップを踏みながらも正確に弾き切るNAOKIと、身体の芯から揺らす豪快なドラミングのKOUICHIが、力強くも心地好いグルーヴを生み出していった。この灼熱の空間は、楽曲や演奏の力だけで作り出せるものではない。「やりたいことは見つかったか? 好きな人は見つかったか? 見つからなくても、その思いを無駄にすんなよ。そんな時もあるって、心配ない。その時間は無駄じゃない」というTAKUMAの言葉が聞く者の身体を内側から熱くさせる。そうして掻き鳴らされた“FUTURE”は、思わず拳を握って聞き込んでしまった。とはいえ、MCではしっかりと笑わせてくれるのだからさすがだ。SHANKと長崎でツーマンをしたいという話では、「よし、出島でやるか」とボケたり、マイクエコーを使ってNAOKIとKOUICHIが風呂場での会話を再現したりと、会場からは笑いが絶えなかった。

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そしてKOUICHIに「会場を最高に盛り上げてから次の曲にいこう!」という前振りをさせておいて、ミディアムテンポの“シガードッグ”を演奏するというオチとともに後半戦へと突入。“recollection”“back to the sunset”を経て、「日々を生きるために苦しいことや辛いことを忘れることも大切です。でも向き合える元気がある時は、向き合うことも大事だと思うなぁ」とTAKUMAは告げた。笑って、汗をかいて、辛いことを思い出しては切なくなって、泣いて、ぐっと堪えて、また笑って。10-FEETのライヴはまるで人生のようだ。辛いことは全て忘れて楽むのではなく、ひとつひとつを自分の足で乗り越え、自分の手で受け止めていかなければならないのだと諭してくれる。大人になるにつれてそうやって諭してくれる人が周りに少なくなってくるからこそ、人は大事なことを取り戻すために10-FEETのライヴに行き続けるのではないかと思う。大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、その後に演奏された“その向こうへ”での凄まじいほどの生命力を感じるとそう思わずにはいられなかった。

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大シンガロングを巻き起こした“風”の後、「思い通りにならへんのは、幸せになるための条件かもしれん」と歌われた“蜃気楼”のことを思い返すと、今でも目頭が熱くなる。10-FEETという計り知れないほどの懐の深さを持つバンドの神髄を見た気がして、本編ラストの“goes on”では我慢できずに拳を振り上げてしまった。あの光景を見て笑顔にならないわけがない、最高にピースフルな空気が会場をまるごと包んでいた。

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熱望されたアンコールでは、KOUICHIとNAOKIによる“TRUE LOVE”のカヴァー(というより、もはやコント)が演奏され、終わると同時にTAKUMAが登場。その後3人がドラム前に集合すると、何やら話し込んでいる様子…しばらく待っていると、TAKUMAが「曲変えます、古い曲を。あんまり盛り上がらないかもしれんけど…」と“CHOICE”を演奏!

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さらに曲中で「誰かギター弾ける奴いない? 度胸のある奴」と会場に呼びかけ、まさかのお客さんがステージに登壇しTAKUMAのギターで演奏するというサプライズ演出まで繰り出された。なんて夢のあるステージなのだろう!と感動しながら観たラストの“CHERRY BLOSSOM”で大量のタオルが宙を舞う光景は、まさに圧巻の一言に尽きた。今ツアーのファイナルは3月30日の豊洲PIT公演、生きる力を与え続ける彼らの雄姿を是非とも括目してほしい。(峯岸利恵)

10-FEET × SHANK@Zepp Tokyo
●セットリスト

01. DAVE ROAD
02. RIVER
03. 2%
04. ライオン
05. super stomper
06. hammer ska
07. FUTURE
08. AND HUG
09. VIBES BY VIBES
10. シガードッグ
11. recollection
12. back to the sunset
13. その向こうへ
14. STONE COLD BREAK
15. 1sec.
16. 風
17. 蜃気楼
18. goes on
(encore)
19. CHOICE
20. 4REST
21. CHERRY BLOSSOM

※ライヴ写真は、2月25日 Zepp Nagoya公演のものとなります。
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