ジャスティン・ビーバー @ 幕張メッセ

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ジャスティン・ビーバー @ 幕張メッセ
最新作『パーパス』を引っ提げてのジャスティン・ビーバーの世界ツアー、ついに日本上陸である。『パーパス』といえば、お騒がせアイドルからの脱皮を図るジャスティンにとっては非常に重要な作品だったし、作品の内容や音の方向性について自らイニシアティヴを握って初めてアーティスト性を発揮した正規アルバムとなった。ある意味でアーティストとしてのジャスティンはこの作品で本格化したといってもいいわけで、22歳になった現在のジャスティンの礎となる作品なのだ。ただ、それにしても、ライブのセット中13曲が『パーパス』というのはすごい。つまり、ジャスティンにとってはこれが本当のファースト・アルバムなのだという意気込みをよくわからせてくれる内容だったし、楽曲もいいので観せるところと聴かせるところを徹底して追求したライブになっていた。

ライブは交際が破局したセレーナ・ゴメスへの思いを綴ったとジャスティン自ら明らかにしている、アルバムの1曲目“Mark My Words”で決意表明のようにして始まり、続く起爆剤ナンバーはいきなりディプロとスクリレックスのEDMユニット、ジャックUとのコラボレーション曲“Where Are You Now”。切ないヴァースと弾けるブリッジのリフレインを聴かせつつ、さらに“I’ll Show You”で切なさを爆発させる。ダンサー・タイムとDJを挟んだあともこの切なさ路線を推し進め“The Feeling”、前作『ビリーヴ』からの“Boyfriend”と続けて、自身の楽曲の新機軸とファンにとってのジャスティンのイメージを同時に爆発させていくパフォーマンスと展開は圧巻だった。

中盤、ギターを抱えてディプロのメイジャー・レイザーとのコラボ作品でエド・シーランとの共作曲ともなった“Coldwater”の弾き語りを披露すると、そのままやはり『パーパス』からのエド・シーランとの共作曲の“Love Yourself”も弾き語りで観客との合唱となり、歌ものモードへとライブもシフトしていく。ポップR&Bの極みとなる“Been You”でいったん盛り上げた後に、“Company”、“No Sense”、2013年のコンピ盤『ジャーナルズ』からの“Hold Tight”、そして“No Pressure”の流れはどれも歌い上げるバラードとなっていて、ジャスティンのR&Bへの強いこだわりがとても魅力的に花開いた一幕となった。いずれ、この一面がより強い持ち味となっていくことを願いたい。

『ビリーヴ』からの“As Long as You Love Me”以降は、もう締めへのラスト・スパートで、“Children”、“Life Is Worth Living”、“What Do You Mean”へと一気に駆け抜けて、本編最終曲はジャスティンの出世曲となった“Baby”。ジャスティンがこの曲でブレイクしたのはまだ声変わりする前の2010年で、今回はすっかり『パーパス』とその周辺曲でライブ1本分の自分の世界を作り上げてきただけに、あらためてこの曲を締めに聴くととても感慨深いものがあった。

アンコールはスクリレックスを起用し、EDMともカリビアンともつかない独自の領域を鳴らすことに成功した“Sorry”。この曲だけでもジャスティンがただならないプロデューサーと作曲家としての才能を持ち合わせているのは明らかなのに、これをきちんとライブの最後に持ってきたのはそれがわかっているということなのだろうから、それもまたすごいと思った。(高見展)

〈SETLIST〉
01. Mark My Words
02. Where Are Ü Now
03. Get Used To It
04. I'll Show You
05. The Feeling
06. Boyfriend
07. Coldwater
08. Love Yourself
09. Been You
10. Company
11. No Sense
12. Hold Tight
13. No Pressure
14. As Long As You Love Me
15. Children
16. Life Is Worth Living
17. What Do You Mean?
18. Baby

En1. Sorry
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