演奏はほぼ時間通りに開演し、まずはメンバーが登場し、歓声が上がる中、カール・パーキンスのカバーでザ・ビートルズのレパートリーにもなっていた“Matchbox”のイントロを始めるとリンゴ・スターが舞台袖から駆け足で登場し、ステージ中央でヴォーカルを取り始めると大歓声で迎えられ、ショーの開始となった。そのままリンゴは71年のイギリスでは初のソロ・シングルとなった“It Don’t Come Easy”を披露し、さらにビートルズ時代のリンゴのナンバー“What Goes On”を軽快に歌い上げ、序盤を盛り上げていく。
トッド・ラングレンがMCで説明したように、今現在のメンバーの顔触れとなったのは2012年のツアーからで現在5年目という最長ラインナップとなっているのだが、たとえば前回のツアーから楽曲の異同もあるし、観ていてまったくマンネリ感が感じられないのが特に印象的で、このライブの最も楽しいところでもあった。それにバンドのレパートリーがリンゴのソロ・ナンバーとビートルズ・ナンバーからトッドの曲、さらにサンタナ、トト、ミスター・ミスターへと変遷していくのであまりにもドラスティックな展開にある意味、マンネリになりようがないのだ。さらにリンゴを始め、全員が超一流ミュージシャンであるため、演奏にはまったく隙がないのに、音の懐は深く、間合いはよく取れているという全員のキャリアとスキルをよく反映した素晴らしいものになっていた。
終盤は“Photograph”、“Act Naturally”、そして“With a Little Help from My Friends”で大団円となったが、最後には演奏を引っ張ってジョン・レノンの“Give Peace a Chance”に雪崩れ込んで会場も巻き込んだ大合唱となった。ややもすると、傑出したアーティストが集った寄せ集めツアーとも思われがちなオール・スター・バンドだが、あまりにも見事な内容にこれはむしろ才能とキャリアのシェアリングなのだと1989年からリンゴが提示してきたこのツアーのヴィジョンをようやく理解したように思った。(高見展)
01. Matchbox(Carl Perkins cover)
02. It Don't Come Easy(Ringo Starr song)
03. What Goes On(The Beatles cover)
04. I Saw the Light(Todd Rundgren cover)
05. Evil Ways(Willie Bobo cover)
06. Rosanna(Toto cover)
07. Kyrie(Mr. Mister cover)
08. Bang the Drum All Day(Todd Rundgren cover)
09. Boys(The Shirelles cover)
10. Don't Pass Me By(The Beatles cover)
11. Yellow Submarine(The Beatles cover)
12. Black Magic Woman/Gypsy Queen(Santana cover)
13. You're Sixteen(Johnny Burnette cover)
14. Back Off Boogaloo(Ringo Starr song)
15. You Are Mine(Richard Page cover)
16. Africa(Toto cover)
17. Oye como va(Tito Puente cover)
18. I Wanna Be Your Man(The Beatles cover)
19. Love Is the Answer(Utopia cover)
20. Broken Wings(Mr. Mister cover)
21. Hold the Line(Toto cover)
22. Photograph(Ringo Starr song)
23. Act Naturally(Buck Owens cover)
24. With a Little Help From My Friends(The Beatles cover)
25. Give Peace a Chance(Plastic Ono Band cover)