東京以外在住の方にはあまりリアリティないと思うが、途中のＭＣで石毛（Vo/G）自身「『ライブハウスでやりたくない！』とわがまま言ったために……ここ、展示場なんですよ！」と冗談めかして言っていたように、この日の会場はその名の通り、基本的には「展示場」であり（ライブで使うケースは「なくはない」という程度）、the telephones大躍進！の2008年を締め括るワンマン・ライブをなぜここで？と誰もが思っていたに違いない。が、会場に１歩入った瞬間に納得。フロア中央の頭上から吊るされたでっかい十字架と、大小とりどりのミラーボール約30個。５月の渋谷duoでの自主企画イベントでステージ狭しと飾りつけられたミラーボールは20個だった。増えとるやんけ。天井低いライブハウスではこうはいかない。さては心底これがやりたかっただけだな？

最新ミニアルバム『LOVE & DISCO E.P.』リリース・パーティーとして開催された、『SUPER DISCO Hits!!! the telephones ONE-MAN SHOW!!!』。今をときめくthe telephonesのワンマン！ということで、寒さがしみる土曜夜の街の空気とはまるで関係なく、ラフォーレミュージアム原宿は異様な熱気。アット・ザ・ドライヴインから２アンリミテッド（！）まで、まさにtelephonesらしいジャンル無用な選曲のBGMも、その熱気に拍車をかける。

そして19：09、いよいよ開演！　このところ定番となっている円陣もなく、えらくヒートアップした様子でカラフル・アフロのカツラをフロアに投げ込むノブ（Key・Cho）、涼平（B・Cho）、誠治（Dr）、そして石毛。「最後まで楽しんでいきましょう！　アー・ユー・ディスコ!?」の石毛の絶叫とともに、『LOVE & DISCO E.P.』からの１曲目“Beautiful Bitch”。ディスコ・ビートと「オーケー！」とか「オーイェー！」とかいうコール＆レスポンスと速弾き＆チョーキングありありのギターとが1つの楽曲に無理矢理同居しながら時速300ｋｍで爆走するようなテンション！　同じく新作から“RIOT!!!”、そして“DaDaDa”と畳み掛けた時点で、オーディエンスは芋洗い状態のまま合唱したり拳を突き上げたり飛び跳ねたり……というカオスが早くも会場を支配している。

「ようこそみなさん！　今日はやっちゃうよ！」という石毛の言葉を挟んで、“it’s OK”“electric girl”と息つく間もなく激烈ダンス・ナンバーを連射していくtelephones。「和製ニュー・レイヴ」という形容詞をはるか遠くに置き去りにして、メタルとパンクとディスコ・ミュージックが衝突事故を起こしたような衝撃的なダンス・ロックはますます手が付けられないほどその精度と熱量を増している。ノブの関節はずれたみたいな痙攣ダンスだけでなく、ノブの鍵盤ミスタッチや石毛のエフェクター踏み忘れといった場面も全部引っ括めてバンドの推進力に変えてしまうような、マジカルなエネルギーが生まれている。

「１月はそれこそ20人ぐらいの前でやってて……ここにいるのが自分じゃないみたいな感じ」と、満員＆汗だくのフロアを見渡しながら石毛。さらに「負けないよ！　君たちなんかには負けないよ！　ぶっちぎっていくから！」と笑いを誘いつつ、「雑誌とかで『シーンを変える』とか大きいこといろいろ言ってきたけど……こうしてみんな、これだけ俺たちに賛同してくれてるってことは、やっぱりみんな退屈してんじゃないかと思うんだよね」と、にこやかな反逆者っぷりをちらりと覗かせる。「telephonesの音楽を媒介にして、みんなが楽しんでくれれば……４人でtelephonesだけど、みんながtelephonesだから！　１人１人がtelephonesだから！」と叫び上げ、そこから新曲へ突入。♪D・A・N・C・E to the telephones、D・A・N・C・E to the music……というフレーズと、４つ打ちハード・ロックのような強烈なビートが、フロアをさらに容赦なく揺らしていく。最高だ。

本編終盤をあっという間に駆け抜け、アンコールでは石毛側転＆ノブでんぐり返しで登場。「埼玉県北浦和っていうところでバンド始めて、この１年ほんと実感なかったんだけど……みなさんのおかげで自信になりました！」と石毛。なぜか勝ち誇るノブ。「これからもよろしく！　がんばる！　みんなもがんばって！」と感極まったエールを石毛がフロアに一斉掃射した後、２度のアンコールをスピード違反気味に駆け抜けて――２時間弱のアクトが終了。アンダーグラウンドの徒花としてではなく、シーンを本気で転覆させるためのアグレッシブなダンス・ロック。その真価を目の当たりにした一夜だった。そして、「ライブハウスでやりたくない！」を今後も貫くのであれば、次はそれこそ品川ステラボールあたりでやれるぐらいの大物になってもらうしかない！　というか一刻も早くなってほしい！　いやなれる！という思いを新たにした一夜でもあった。（高橋智樹）

１．Beautiful Bitch
２．RIOT!!!
３．DaDaDa
４．it’s OK
５．electric girl
６．clashed mirror ball
７．sleep,sleep,sleep
８．with one
９．Used Skin
10．FREE THROW
11．Wooo Hoooo
12．新曲
13．fu〜shit!!!
14．HABANERO
15．sick rocks
16．urban disco
17．LOVE & DISCO

アンコール
18．panic disorder
19．ambient metronome
20．Homunculus
21．I and I

アンコール２
22．mushroom planet
23．hallelujah, hallelujah, hallelujah