ゆず/東京ドーム

photo by 田中聖太郎
●セットリスト
1.贈る詩
2.サヨナラバス
3.春風
4.いつか
5.月曜日の週末
6.青
7.ヒカレ
8.イロトリドリ
9.表裏一体
10.桜会
11.アゲイン2
12.虹
13.メドレー
 いくつもの日々を越えたよ20年
  1.with you
  2.終わらない歌
  3.飛べない鳥
  4.友〜旅立ちの時〜
  5.よろこびのうた
  6.REASON
  7.超特急
  8.うまく言えない
 路上から思えば遠くへきたもんだ
  9.OLA!!
  10.シシカバブー
  11.センチメンタル
  12.逢いたい
  13.いちご
  14.Yesterday and Tomorrow
  15.Hey和
 ハモります いつでもきみはひとりじゃない
  16.スマイル
  17.恋の歌謡日
  18.LOVE & PEACH
  19.友達の唄
  20.雨のち晴レルヤ
14.タッタ
15.夏色

-ENCORE-
EN1.カナリア
EN2.少年
EN3.栄光の架橋(アルバムver.)

photo by 立脇卓
音楽エンターテインメントショーとして国内最高峰であり、弾き語りを軸とするふたり組ユニットとして道なき道を開拓してきた20年の歩みが凝縮されたライブであった。詰め掛けた観客は48567人(北川悠仁談)。路上時代のスクーターから高さ約20mのゆず太郎像までさまざまな仕掛けが飛び出し、巨大ステージは回転&移動式。照明も火薬も仮装もダンサーもものすごい。そんな豪華絢爛な舞台の中で、北川悠仁と岩沢厚治の歌声が誇り高く、愛らしく、時に最高にバカらしく響き渡ってゆく。
photo by 田中聖太郎
photo by 立脇卓
photo by 立脇卓
この日のセットは時代や音楽性によりいくつかのブロックに分けられて進行。まず披露されたのは弾き語りブロックだ。《君の心へこの唄が届きますように》と“贈る詩”で幕開けを飾り、“サヨナラバス”、“いつか”と続き“青”で一区切り。自分でも不思議なほどに、侍のように弾き語る岩沢と全力で盛り上げる北川の歌う各曲を聴いていると、当時の個人的な情景や匂いが蘇ってくる。改めてゆずの楽曲がリスナーの人生にどれだけ寄り添っているのか、その大きさと深さを痛感させられる。
photo by 田中聖太郎
photo by 田中聖太郎
photo by 田中聖太郎
ここでステージ転換と衣装チェンジ。その間、モニターに過去の秘蔵映像が映し出される。路上時代のライブ映像だ。若い、そしてかわいい。ほっこりさせられたところで、バンド編成のブロックがスタート。「ゆずイロハバンド」と名付けられたそのメンバーは、松原“マツキチ”寛(Dr)、種子田健(B)、佐々木“コジロー”貴之(G)、大島俊一(Key・Sax)、斎藤有太(Key)という手練れ揃い。“ヒカレ”や“虹”が持つ国民的メロディの壮大さや“イロトリドリ”の民謡テイストが醸し出す楽しさ、《誰もがみんな一人ぼっちを抱きしめながら生きている》けれどそれでも力ずくで進んでいく“アゲイン2”も素晴らしかったが、特に“表裏一体”のロックエモーションにオーディエンスが直立不動になる様は圧巻の一言だった。
photo by 田中聖太郎
暗転、再び映像が流れる。内容は2067年、おじいちゃんになったふたりが今回の20周年ドームツアーを始め、各アニバーサリーを振り返るというもの。30周年はエベレストで凍えながらのライブ、40周年はアミューズメントパークゆず太郎ランドをオープン。総工費は、35億。年間来場者数も、35億。50周年はふたりが大統領、副大統領に任命され、ゆずファーストのマニフェストを発表。で、2067年、70周年の彼らが“夏色”をやろうとして身体がついていかないというオチ。発想やサービス精神よりも、ここまでガッチリ撮影したプロフェッショナリズムに頭が下がる(笑)。
photo by 田中聖太郎
photo by 田中聖太郎
小休止の後、怒涛の20曲メドレーへ。いつか終わるから“終わらない歌”を歌い、飛べないから鳥を見上げ、友と別れるから旅立ちを奏でる。悲しいことをハッピーに。身近なことを壮大に。この切実でリアルなある種のねじれこそがゆずの黄金律であり、ポップスたらしめる要因だ。そしてそれらは全方位へ無作為に歌われるわけではない。いつだって「きみ」へ、そしてその先にあった「世界」へ向けられている。どんなにツールを変え、音楽性を拡張し、キャリアを前進させても、そのたったひとつの視線というか、魂は変わらない。それがゆずの20年なのだ。だからゆずの音楽は、聴き流すようなBGMではなく、僕らの心を掴んで離さない人生のサウンドトラックになるのだと思う。めくるめくような楽曲群の中で、そんなことを考えていた。
photo by 太田好治
photo by 太田好治
photo by 太田好治
締めはもうサービス満点、お祭り騒ぎだった。会場のほぼ全員が「タッタンバリン」を鳴らし同じ振りで踊る“タッタ”。終わると見せかけてこれでもかと繰り返された“夏色”。本当に濃密な本編、この時点ですでに素晴らしい大団円だが、最後のダメ押しがアンコールに隠されていた。それは6月21日にリリースされる『謳おう』EPから“カナリア”を披露したこと。20年の歩みを確認したところで、だからこそまだまだ進んでいく、ここから飛び立つんだという、そんな力強さが響いていた。
photo by 太田好治
photo by 田中聖太郎
最後に北川はファンへの感謝とともに、こう言った。「ゆずをやってて一番くそったれって思う瞬間は、『あの時がよかった』って言われるとき。それが一番悔しいです。そう思わせたくない、今が常に最高だって思ってほしくて、こうして20年歩いてきました。俺たちは走り続けるから、これからも付いてこいよ!」。ゆずは今後、もっともっと新しい景色を見せてくれるに違いない。(秋摩竜太郎)
photo by 太田好治

終演後ブログはこちら↓
【速報】ゆずの20周年東京ドーム公演、2日目終了!
http://ro69.jp/blog/ro69plus/160977