キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST

キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST - All photo by Viola Kam(V'z Twinkle)All photo by Viola Kam(V'z Twinkle)
年明け2月まで、全国29公演のスケジュールで繰り広げられる「ヒッサツマエバ〜とぎなおし〜’17-18ツアー」の3本目。ソールドアウトとなったTSUTAYA O-EASTワンマンの模様をレポートしたい。ツアー序盤ということでネタバレは控えめにしますが、今後の各地公演を楽しみにしている方は、閲覧にご注意を。ライブを観た後に読んで頂けると、とても嬉しいです。

キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST
キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST
キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST
今回のツアー日程は、ゲストアクトが招かれている日と、ワンマンで行われる日が入り乱れている。また、ツアー期間の真ん中にあたる12月6日(水)にニューアルバム『にゅ〜うぇいぶ』がリリースされるということで、公演によってオーディエンスの楽しみ方が変わってくるツアーだ。新作リリースの前と後では違うし、ワンマンとツーマンではセットリストも戦い方も体力配分も違う。ツアー中のアーティストは、ただでさえ会場ごとの音作りなど環境の変化に対応していかなければならず、体調管理も大変なのだが、敢えてそこに変化を上乗せしてゆく荒業のようなツアーだ。「とぎなおし」の意味するところはそういうことではないかと、僕は思う。

キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST
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豪快極まりないイントロを加える形で初っ端からその曲か、という立ち上がりなのだが、その後もほとんど間断なく、「体力配分って何ですか?」みたいな勢いで猛烈なナンバーを次々に畳み掛ける。新旧の楽曲を並べて攻撃力の高い順に選んだみたいな、ものすごいセットリスト、そして意気込みなのだ。MCもそこそこに「社会のしがらみ」ダンボール破壊を敢行するし、今夏から話題になっている新曲“TOSHI-LOWさん”(ハードコアっぽいのにポップなメロディが飛び出してくる)でヤマサキ セイヤ(Vo・G)はこの日2度目のフロア突入。王蟲の群れの上のナウシカみたいになっていた。

キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST
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ちなみにこれ、ライブ本編がまだ半分も終わっていない中での話である。こんなに飛ばして大丈夫なのかと心配になる。そもそも、全29公演のうちの3本目のノリじゃないだろう。でももしかすると、弾けまくるオーディエンスの足腰が消耗しないうちに、ナウシカになっておこうという判断があったのかもしれない。そういうクレバーなところが、キュウソネコカミにはある。

キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST
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加えて、彼らの変幻自在なバンドグルーヴが、獰猛な勢いの中で一層凄みを増して伝わってくる。特定のジャンルに固執しないキュウソの音楽性は、ロックの本物性に対するコンプレックスの表れなのかと思っていたけれど、少なくとも今の彼らは違う。スカもダブもハウスも人力ドラムンベースもエンヤトット調の盆唄も飲み込んで、攻撃力の高い歌を歌うための楽曲を自由にデザインしているのだ。この、ロック史上のどこにも見つけることのできないキメラ感はヤバい。今、歌うべきことのためだけに鳴らされる、今を生きる人々のための怪物的なロックである。

キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST
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セイヤは、「おもしろい系バンド」という括りの中でキュウソが活躍してきたことを自ら評価しつつも、ヤバイTシャツ屋さん岡崎体育のように、力のある新しい世代が目覚ましい活躍を見せていることを語っていた。もはやキュウソは「追う側」ではなく、板挟みの世代だという危機感があるのだろう。だから、死に物狂いで日本中に歌を届けようとして、性も根も尽き果てるような熱量のライブをやっている。メジャーデビュー4年目の、新しい窮地に立つ鼠なのである。

キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST
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ニューアルバムの片鱗を覗かせる一方、キュウソネコカミというバンド名そのものに立ち返るような、反骨精神剥き出しの今回のステージ。まだ何者でもなかった頃の自分を振り返るような“キャベツ”も、熱く披露されていた。あと個人的には、『NO MORE 劣化実写化』のインタビューをしたときに(『ROCKIN’ ON JAPAN』9月号)、メンバーに「ライブでやって欲しい」と告げた曲を聴けたのも嬉しかった。嵐のようなライブの中でアクセントとなるような「良い歌を聴かせるブロック」があって、その中の1曲として見事に嵌っていた。最高だ。

キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST
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今回のツアーは、一本一本が正念場の凄まじいツアーになる。そう確信する一夜であった。キュウソネコカミが「おもしろい系」だったとしても、そのおもしろさの基盤となる反骨精神がどれだけのエネルギーを持っているかがハッキリと分かるツアーだ。各地公演、参加者は余さずしっかりと受け止めて、楽しみ尽くして欲しい。(小池宏和)

キュウソネコカミ/渋谷 TSUTAYA O-EAST

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【速報】キュウソネコカミ、ツアー3本目を観た。今後の各地公演は覚悟して臨んだ方がいい、という話
12月6日(水)のニューアルバム『にゅ~うぇいぶ』リリースを挟むスケジュールで、年明け2月まで全国29公演が繰り広げられる「ヒッサツマエバ〜とぎなおし〜'17-18ツアー」のソールドアウトの渋谷TSUTAYA O-EASTを観た。会場によってゲストを迎える日もあるのだけど、この日はワンマン。 …
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