MY FIRST STORY/幕張メッセ国際展示場 展示場9~11

Photo by Takashi "TAKA” Konuma

●セットリスト
1. 終焉レクイエム
2. ALONE
3. Black Rail
4. 悪戯フィクション
5. Missing You
6. REVIVER
7. この世界で一番の幸せ者にはする事など出来ないかもしれないけど...
8. 失踪FLAME
9. See you again
10. Love Letter
11. monologue
12. 虚言NEUROSE
13. LET IT DIE
14. "BOOM"
15. Zero Gravity
16. The Puzzle
17. CHiLD -error-
18. Tomorrowland
19. モノクロエフェクター
20. 不可逆リプレイス
(アンコール)
EN1. 「花」 -0714-
EN2. Merry Christmas
EN3. REVIVER


Photo by MASANORI FUJIKAWA
全曲決め球の『ALL LEAD TRACKS』や事前告知なしで店頭に並んだ『ALL SECRET TRACKS』のリリース、そして9月から続いた異種格闘技的なツーマンツアーを経て辿り着いた、ツアーファイナルにして2017年最初で最後のワンマンライブ。豪快な爆発音とともに“終焉レクイエム”が始まった瞬間、なるほど、「THE PREMIUM SYMPHONY」とはそういう意味かといきなり驚かされた。炎ゆらめくステージに立つのは、スーツ姿のHiro(Vo)、Teru(G)、Nob(B)、Kid'z(Dr)。幕落ちとともに溢れ出したのはなんと、フルオーケストラを携えた壮大なサウンド。これまでのライブでは同期によって再現されてきたトラックが、リアルタイムの生音で演奏されていく。
Photo by MASANORI FUJIKAWA
Photo by Takashi "TAKA” Konuma
元々ドラマティックな旋律を持つ曲の多いバンドなだけに、また、この日のために1年間準備してきたということもあって、オケとの相性は抜群。時には、頼もしい追い風に乗っかって、壮大なサウンドスケープを描くように。時には、呼吸を共にし互いの旋律を絡ませながら、神経の糸を紡ぎ合わせるように。静と動のコントラストが鮮やかなサウンドはオーディエンスを焚きつけるには申し分ない。スタンディングエリアでは早い段階からモッシュやクラウドサーフが勃発。さらに会場全体でのシンガロングによってバンドサウンドは膨れ上がり、瞬間ごとに化けていった。
Photo by MASANORI FUJIKAWA
Photo by Takashi "TAKA” Konuma
Photo by MASANORI FUJIKAWA
上手・下手・中央の花道へ歩みを進めるHiro、Teru、Nobは清々しい表情をしているし、ステージ上に残るKid’zは凄まじいスティックさばきで3人の背を支えている。「6年目に入り、新しいことをやってみたいなと思いまして」とHiroが話していたように、もちろん今回のようなライブはマイファスにとって初めての試み。それだけにステージ上は常に緊張感に満ちていたが、不安や恐怖におののくような内向きな空気はなく、静かなる高揚感に打ち震えているような、武者震いのような感じであったことを特筆しておきたい。また、MCは、オーディエンスやスタッフへの感謝の言葉を述べる大事な場面で噛んでしまったKid’z、Hiroから「声小っちゃいな!」とツッコまれながらもマイペースに話していたNob、「幕下りた瞬間ビックリしたでしょ? こっちもビックリだよ! こんなに人いると思わなかった~!」とナイスなキャラクターを発揮したTeru――と全員至って自然体。このように、演奏面からもそれ以外の部分からも、全体を通して、バンド内の風通しの良さが窺える場面が多かった。
Photo by Takashi "TAKA” Konuma
Photo by MASANORI FUJIKAWA
Photo by MASANORI FUJIKAWA
花道の先端に設置されたセンターステージにHiro、Teru、Nobが揃った場面に一際沸いた“REVIVER”。紗幕が下り、そこに曲の内容とリンクするようなムービーが映された“失踪FLAME”。ティンパニの一発から始まった、厳かな響きのオーケストラセッション。センターステージにて、Hiroのピアノ弾き語りによって届けられた“See you again”(ウィズ・カリファカバー)。歌い出しの伴奏はピアノのみ、中盤にはオーケストラが、そして終盤にはバンドとオーディエンスの歌声が加わるアレンジが絶品だった“Love Letter”。始まりは隙間を効かせたミディアムテンポ、そこから徐々にブーストしていくような展開から表現力の進化が垣間見えたバンドセッション。本編のみで全20曲。フルボリュームのセットリストは、様々な名場面とともにどんどん先へと進んでいく。そんななか、“monologue”をバックにHiroはこのように語り始めた。
Photo by Takashi "TAKA” Konuma
Photo by MASANORI FUJIKAWA
Photo by Takashi "TAKA” Konuma
「人生何があるのか分からない。お前らも、5000円で買ったチケットにそれ以上の価値が宿るなんて思ってなかったろ? 俺は金よりも夢を追いたい。それがハズレくじだなんて絶対に言わせねえから!」
「ただ一つ、問題は、俺の夢はデカすぎてなかなか叶わないってこと。だから、お前らの力を貸してくれ!」
Photo by Takashi "TAKA” Konuma
Photo by Takashi "TAKA” Konuma
Photo by Takashi "TAKA” Konuma
ギラギラと輝く極彩色の照明を浴びながら、上体を畳んだ姿勢でのスクリーム。そうして始まったのは“虚言NEUROSE”だった。自分たちの音楽を慕って集った人々からの信頼を「愛」として受け止め、それを糧に新たな「夢」へと駆け出すということ。バンドを動かす理由としては非常にシンプルなものではあるが、宿命を自ら背負ってきた彼らにとってはここに辿り着くまでが長かった。しかし、昨年11月の武道館公演でそこにケリをつけることができたからこそ、4人は今、新鮮な気持ちでバンド活動を、そして音楽を謳歌することができている。そうして新たなスタート地点に立てたことこそが、この1年における大きな成果というわけだ。
Photo by MASANORI FUJIKAWA
Photo by MASANORI FUJIKAWA
これまでのライブでも重要な場面に演奏されてきた“不可逆リプレイス”で本編を締め括ったあと、プロデューサーの公開プロポーズ成功後に届けた“「花」 -0714-”(Hiroが感極まっていたのが微笑ましかった)、ライブ初披露となったマイファス初のクリスマスソング“Merry Christmas”、この日2度目の“REVIVER”をアンコールとして演奏し、終了。挑戦を重ねた2017年の総決算にして、第2章開幕記念祝典。そう呼ぶにふさわしい、意義深い夜だった。(蜂須賀ちなみ)
Photo by MASANORI FUJIKAWA

終演後ブログ
【速報】MY FIRST STORY、フルオケ編成の幕張ワンマンを観た!
「すごいでしょ? 見たことないでしょ、フルオーケストラ連れてるバンド!」とHiroも興奮気味に言っていたが、まさにその通り。ストリングスやブラスのみでなくフルオケを従えて、一部の曲ではなくほぼ全曲においてその編成でリアレンジしてみせるバンドなんてなかなかいない。しかし、1年かけて準備しただけあ…