【来日レポ】フォール・アウト・ボーイ @ 日本武道館公演

【来日レポ】フォール・アウト・ボーイ @ 日本武道館公演 - Photo by Sotaro GotoPhoto by Sotaro Goto

3年ぶりのアルバム『マ ニ ア』を携えてワールドツアー開催中のフォール・アウト・ボーイの日本武道館公演がついに実現! 4/24・4/25:Zepp Osaka Bayside、4/26:日本武道館、4/28:Zepp Nagoyaの3都市4公演にわたって行われているジャパンツアー「MA NI A TOUR IN JAPAN 2018」の東京公演にして、FOBにとっても初の武道館公演となったこの日のライブは、洋邦問わず数多くの名演が繰り広げられてきた武道館の歴史に深々と刻み込むべき圧巻のステージだった。

この日のオープニングアクトを務めたのはMY FIRST STORY。2016年にここ武道館で、昨年末には幕張メッセでのワンマンを敢行、自身が掲げた「2021年・東京ドーム」の夢に向かって破竹の快進撃真っ只中のマイファスの4人。「必死で音楽をやり続けてきたら、僕たちの大好きなフォール・アウト・ボーイのオープニングアクトをできることになりました。最高に嬉しいよ! でも、『今日を迎えられて満足だ』なんてことは絶対に言わない。僕たちには、叶えなければならない夢があるから!」と改めて闘志を掲げるHiro(Vo)の叫びが、そして“ALONE”、“虚言NEUROSE”、“不可逆リプレイス”など惜しみなく連射したキラーアンセムが、武道館の熱気を激しく震わせていった。

そしてフォール・アウト・ボーイ! 舞台後方の巨大ビジョンの映像が刻む開演までの30秒を、客席一丸となってカウントダウンしたところで、パトリック・スタンプ(Vo・G)/ピート・ウェンツ(B)/ジョー・トローマン(G)/アンディー・ハーレー(Dr)の4人が颯爽と登場。巻き起こる大歓声の中、舞台狭しと噴き上がる火の玉とともに鳴り渡った“The Phoenixで、会場は一面のクラップとシンガロングに包まれていく。
ヒップホップのタイム感とヘヴィなバンドアンサンブルが壮大なスケール感を描きながら弾み回る“Irresistible”。武道館の空間に舞い踊るキャノン砲のテープ&『ベイマックス』の映像とともに繰り出した“Immortals”のタフな躍動感……エモーションと高揚感の核心だけをまっすぐに狙い撃ち、楽曲に結晶するFOBのロック&ポップ選球眼のシビアさと正しさを、開演早々クライマックス状態の武道館の多幸感がどこまでも明快に物語っている。

新作『マ ニ ア』から最初に披露したのは、アルバム冒頭の“Stay Frosty Royal Milk Tea”。EDMとR&Bが並走するような複層的かつダイレクトなビート感は、全米No.1アルバムのハイエナジーな凄味をリアルに伝えるものだ。アンディー&ピートのパワフルなリズム、パトリック&ジョーのハードエッジなWギター、「キャッチー」という言葉を超えたユニバーサルな訴求力を備えたパトリックの歌――。全能感に満ちたロックバンドのサウンドが、迷いなくポップど真ん中を指し示しながら炸裂する爽快感。最高の音風景がここには確かにあった。

【来日レポ】フォール・アウト・ボーイ @ 日本武道館公演 - Photo by Sotaro GotoPhoto by Sotaro Goto

「How many people?」。スタンディングのアリーナも客席も満場の武道館を見回すピートの呼びかけに応えて、オーディエンスがスマホのライトを掲げる中、パトリックは舞台に運び込まれたグランドピアノの前にスタンバイして“Save Rock And Roll”へ。立ち上がってハンドマイクで観客をアグレッシブに煽るパトリックの姿が大きなハンドウェーブを呼び起こし、雄大な光の波が生まれていく。

そのまま“The Last Of The Real Ones”、さらにパトリックのピアノ弾き語りで“Young And Menace”と『マ ニ ア』曲を披露。ピアノ搬出作業の一瞬の暗転の後、“Dance, Dance”ではピートがアリーナ後方のPAスペースに設けられたサブステージに登場。驚きと感激の大歓声を受けながら、今度はピートとマイクスタンドを乗せたままサブステージが上昇! 舞台はちょうど1階席スタンドの高さまで持ち上げられ、1階席のオーディエンスを間近に見ながらピートが歌いベースを奏でる――というサプライズに、ただでさえレッドゾーン超えの会場の歓喜はさらに激しく熱を帯びていく。

【来日レポ】フォール・アウト・ボーイ @ 日本武道館公演 - Photo by Sotaro GotoPhoto by Sotaro Goto

その3-1フォーメーションのまま、新作『マ ニ ア』からの“Wilson (Expensive Mistakes)”でクールなドライブ感を演出してみせる。続けて流れ込んだ“Thnks Fr Th Mmrs”で、舞台後方のビジョンに映し出された「4/26 TOKYO JAPAN: LAND OF GIANTS MATCH」「GIANT BABA / ANDRE THE GIANT FOREVER」の文字からも、今日この舞台に際して沸き立つ4人の想いが鮮明に浮かび上がって、会場のクラップとシンガロングのボルテージをさらなる歓喜の頂へと導いていた。

その後も“I Don't Care”など一撃必躍のナンバーを畳み掛けつつ、マイケル・ジャクソンの“Beat It”のフルコーラス披露まで交えて全方位的なエンターテイナーぶりを発揮してみせたフォール・アウト・ボーイ。“This Ain't A Scene, It's An Arms Race”ではパトリックが「武道館、お元気ですか! 一緒に歌ってください!」と日本語MCでオーディエンスの歌声を誘い、曲中にボーカルパートを会場に委ねるパトリックに応えて怒濤のシンガロングが響き渡っていた。
本編ラストを飾ったのは『マ ニ ア』からの2曲“Church”、“Champion”。ポップの輝度との神秘を体現するような終幕の風景と、ピートの「トキオ、サイコー!」の絶叫が渾然一体となって、至上の音楽空間を生み出していた。

一度退場した4人がほどなくオンステージ、アンコールでは“Uma Thurman”から“American Beauty/American Psycho”へと、武道館はなおも熱を帯びていく。ひときわ激しく噴き上がる火の玉とともに“My Songs Know What You Did In The Dark (Light Em Up)”で割れんばかりの♪ウォーオーオーの大合唱が轟いたところで、この日のラストの“Saturday”へ。ピートが上着を脱ぐと、そこに現れたのは先ほどのビジョンの「LAND OF GIANTS MATCH」の文字に呼応するかのようなジャイアンツのユニホーム。世界のポップとロックをリードする珠玉の音楽と、一点の曇りもないサービス精神が融け合ってでっかく弾けた、奇跡のようなひとときだった。ジャパンツアーはいよいよ4/28・Zepp Nagoya公演を残すのみ!(高橋智樹)


<SET LIST>
1. The Phoenix
2. Irresistible
3. Sugar, We're Goin Down
4. Immortals
5. Stay Frosty Royal Milk Tea
6. Centuries
7. Save Rock And Roll
8. The Last Of The Real Ones
9. Young And Menace
10. Dance, Dance
11. Wilson (Expensive Mistakes)
12.Thnks Fr Th Mmrs
13.I Don't Care
14. This Ain't A Scene, It's An Arms Race
15. Hold Me Tight Or Don't
16. Grand Theft Autumn / Where Is Your Boy
17. Beat It (マイケル・ジャクソンのカバー)
18. Church
19. Champion
(encore)
20. Uma Thurman
21. American Beauty/American Psycho
22. My Songs Know What You Did In The Dark (Light Em Up)
23. Saturday
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