【インタビュー】SILENT SIRENはいかにしてタフなライブバンドへと成長したか。そして話題のタイアップ曲“ニコイチ!”、“あっとUMA” をひもとく

【インタビュー】SILENT SIRENはいかにしてタフなライブバンドへと成長したか。そして話題のタイアップ曲“ニコイチ!”、“あっとUMA” をひもとく

SILENT SIRENが約2年の活動休止から再始動を果たしたのは2023年末のCOUNTDOWN JAPANでのライブだった。そこからサイサイは積極的なライブ活動やアルバム『TRIANGLE』のリリースなど、充実した音楽活動を経て、よりタフなライブバンドへと進化している。現在、結成16周年にちなんで16本のライブで全国を巡るツアー「SILENT SIREN LIVE TOUR 2026 “TRIANGLE”」の真っ最中。ツアーは終盤に入り、ファイナルの東京・豊洲PIT公演を控えている中、このインタビューを行うことができた。これまでメンバーの脱退など、幾度もバンドは変化を余儀なくされ、そのたび、次の扉を自らの手で開いてきたサイサイは、今ライブを心から「楽しめている」のだと語る。なぜサイサイは常に「最高」を更新していけるのか。そのモチベーションと進化の過程をひもときながら、最新曲“ニコイチ!”、“あっとUMA”についても最速で話を聞くことができた。インタビュー=杉浦美恵

再始動に至るまでの2、3年くらいは、ものすごくいろんなことを経験した時期だったんですけど、バンドや音楽を手放さなくてよかったなと思えた(すぅ)

──今年4月にリリースしたフルアルバム『TRIANGLE』はSILENT SIRENのバンドとしての成熟感や音楽性の広がりを感じる充実した作品でした。今ちょうど、そのアルバムを引っ提げてのツアー中ですよね。もうすぐファイナルというタイミングですが、ツアーはどんな感じですか?すぅ(Vo・G) ツアーはライブを重ねるごとに手応えを感じています。アルバムを作り上げたときには「最新作が最高傑作だ」と改めて感じられたし、ライブで楽曲にさらに愛着が湧いてきました。
【インタビュー】SILENT SIRENはいかにしてタフなライブバンドへと成長したか。そして話題のタイアップ曲“ニコイチ!”、“あっとUMA” をひもとく - すぅ(Vo・G)すぅ(Vo・G)

山内あいな(B) バンド結成16年にちなんで16本のライブでツアーを組むというのは覚悟のいる本数でした。3人体制になって初めてのアルバムでもあって。そのツアーで、私たちメンバーふたりにサポートの方を交えて回るというのも初めてのことでした。──そうですよね。ゆかるん(黒坂優香子/Key)さんが、産休からの育休中で。山内 そうなんです。でもアルバム自体は3人体制になってよりパワーアップした1枚になったし、改めててっぺんを目指そうと思えるアルバムになりました。ツアーにゆかるんがいないのは寂しいけれど、サポートの方を迎え入れて、ゆかるんの「代わり」ではなくて、今しか出せない音を楽しむツアーになっていると思います。──振り返れば、3人体制になって再始動一発目のライブが2023年末のCOUNTDOWN JAPANでした。しかも初日のトップバッター。あの時の1曲目が“フジヤマディスコ”でしたよね。あの時と今とを比べて、ライブへの向き合い方に変化はありますか?すぅ あの時はただ「楽しみ」だったけど、今は「本当に楽しい」っていう感じです。でもあの再始動一発目のライブは他と比べようがないもので。再始動に至るまでの2、3年くらいは、ものすごくいろんなことを経験した時期だったんですけど、バンドや音楽を手放さなくてよかったなと思えた1日でした。あの時に感じた気持ちとか、メンバーが揃ってステージに立てることの奇跡感とか、そういったことをちゃんと思い出しながら繋いでいきたいなと思って、今はやっているような気がします。──2024年には本格的にツアーも始まって、よりライブ活動に熱が入っていきましたよね。バンドとしてどんどんタフになってきているような気がします。それこそデビュー当時は、いわゆる「ガールズバンド」という、偏見の目もあったかと思いますが、ライブで、パフォーマンスで、そんな声さえ黙らせることができているのではないかと。すぅ 確かに偏見はありましたし、きっとこれからも戦っていくと思うんですけど、逆にそうしたものが自分たちの燃料になっていたのもあって。もちろんありがたいなんて言えないですけど、偏見があったからこそ、それを覆すことができた時の「よっしゃ」感があるんですよね。山内 偏見を乗り越えられたのは、やっぱりバンドだったからだなと思います。ひとりだったらすぐに落ち込んで辞めていたんじゃないかな。メンバーがいたから、みんなで「くっそー」ってここまで歩んでこれたんですよね。私はチャットモンチーやGO!GO!7188に惚れてバンドを始めたから、やっぱステージではかっこよさを出したいし、かわいいものとかおしゃれも好きで、それは16年変わらないなあと思います。
【インタビュー】SILENT SIRENはいかにしてタフなライブバンドへと成長したか。そして話題のタイアップ曲“ニコイチ!”、“あっとUMA” をひもとく - 山内あいな(B)山内あいな(B)
──ガーリーなもの、かわいいもの、好きなものを手放すことなく、ありのままの自分たちでバンドを続けているのがいいですよね。山内 なんかね、手放したくなかったんだよね?すぅ うん。山内 もし方向性を変えるなら活動再開のタイミングかな、みたいなこともめちゃくちゃ話し合っていました。もうキラキラした曲はやめる?とか。でもそれがサイサイじゃない?って。変におしゃれに行きすぎず、“チェリボム”みたいな曲も作っちゃおうってなったし、ライブにピンクのグッズを身につけて来てもらうっていうのも、気づけば16年続いていて、これからもワンマンライブではピンクに染まる客席っていうのを見ていたいなと思うし、ほんと、頑固に16年やってきたんだなあって思います(笑)。──そう。意外と頑固なんですよね。SILENT SIRENは。ブレないというか。再始動のタイミングではそういうことも話し合っていたんですね。すぅ 待ってくれている方たちがいるのをすごく感じていた活動休止期間だったので、やっぱりその人たちが「好き」なサイサイを届けたいという思いが強かったです。自分たちのエゴだけだったらやる必要ないなって。これからは年齢に合わせた楽曲をメインにやっていく案もあったけど、それは私たちじゃないなって。過去の自分たちとファンの人たちを否定することにもなるから。逆にそのスタイルで振り切ってやれるのは私たちくらいだよねっていう気持ちだったし、それを今も貫いてやっています。
【インタビュー】SILENT SIRENはいかにしてタフなライブバンドへと成長したか。そして話題のタイアップ曲“ニコイチ!”、“あっとUMA” をひもとく

柔軟性というものを手に入れた気がしますね。不安なら、やってみてどうかを決めればいいっていう感じで(すぅ)

──変化したこともありますよね。たとえば現在行っているツアーでは、サイサイとしては初の試みとして、撮影可能タイムを設けていたり。すぅ そうなんですよ。ライブってそこにいるからこそ体感できるものだと思っているから、撮影OKにするのは私は好きじゃなかったんです。でも考え方を変えれば、その写真はみんなのおみやげ的なものになるだろうし、拡散もしてもらえる。今の若い人たちの拡散力ってすごいじゃないですか。だから「サイサイのライブの楽しさが伝わればいいな」と思って撮影可能にしました。──『TRIANGLE』に収録された“KETTO”などは、ライブでもすごく盛り上がっているのでは? バンドサウンドとして新たな高みを感じる曲でもあったので。すぅ “KETTO”はNECレッドロケッツ川崎の公式応援歌として書いた曲なんですけど、作詞にすごく気持ちが入ってしまって、めっちゃ時間がかかったんですよ。選手の方がこれを聴いてコートに出るということを想像していましたし、ファンの方も同じ気持ちで応援していると想像したら、「生半可な歌詞は書けねえ!」って。それで納得のいく歌詞が書けたし、メンバー全員で気合い入れてレコーディングして。そんな私たちの思いもお客さんに伝わっている気がして、ライブでは客席からの熱もすごく伝わってくる曲になりました。──《曇天切り裂いて/何回も上昇していけ》という歌詞は、サイサイ自身にも重なるような気がしていました。すぅ そこはもう、ほんとの自分の気持ちも重ねています。スポーツと音楽って全然違うものだけど、「チーム」という意味で言えば同じで。だからすごくリンクするというか、応援歌でありながら、自分ごとのように曲を作れました。山内 レッドロケッツは女子バレーボールチームだから、女性としてステージで戦っている姿とリンクする部分もあるんですよね。あと“衝動”も自分の背中を押してくれる曲。“Sus4”も、“stella☆”(2013年の2ndシングル)のアンサーソングだったり、16年続けてきたからこその曲だなと思うし、ほんとに演奏しながらいい曲だなっていつも思っています。──『TRIANGLE』の曲がライブで育っていく、充実していくのを今まさに感じているところだと思いますが、ファイナルの東京、豊洲PITはまた格別な気持ちになりそうですね。すぅ 今回のツアーは、育休に入ったゆかるんも、私たちも、決断と覚悟のいるツアーだったので、それがファイナルを迎えるのは感慨深いというか、よくやったねって自分たちにも拍手を送れるライブにしたいです。サイファミ(サイサイファミリー/SILENT SIRENのファンの呼称)に向けても感謝の気持ちを届けたいですし、たぶんファイナルは、初めてサイサイを観に来る方も多いと思うので、楽しんでもらえたら嬉しいです。
【インタビュー】SILENT SIRENはいかにしてタフなライブバンドへと成長したか。そして話題のタイアップ曲“ニコイチ!”、“あっとUMA” をひもとく - 黒坂優香子(Key)黒坂優香子(Key)
──ゆかるんさんがツアーに参加できないっていうのは、当初は不安な気持ちもありましたか?すぅ そうですね。メンバーが欠けるということに関しては、私は基本的にすごく抵抗があるタイプだったので。バンドが好きでサイサイをやっているのに、ひとりいなくても活動できちゃうことにモヤモヤしたんです。でも、今止まるより進むことのほうが、自分たちらしいとなったし、柔軟性というものを手に入れた気がしますね。不安なら、やってみてどうかを決めればいいっていう感じで。山内 確かにすぅがいちばん柔軟になったかも。16年前、クボくん(クボナオキ/SILENT SIRENの初期メンバーで、現在はサウンドプロデューサー、コンポーザーとしてバンドに携わる)がギターを降りるときにもすぅは「やだ!」って言ってたし、初期メンバーのキーボードが抜けるときも「やだ!」ってずっと言ってたんですよ。そんなすぅが柔軟になっているのをそばで見て、人って変わっていくんだなあって思いました。でもやっぱり譲れない部分もある。それがすごく人間らしいなあって。すぅは音楽ではすごく自由というか、柔軟になったと言いつつ“やだ”っていう曲を書いたりして、すべてに《やだ》って言ってる。こういう部分がすぅの中に残っていてよかったなあと思うんですよね(笑)。すぅ ははははは。山内 ライブで言えば、ハンドマイクでステージに立つのも最初は嫌がってたよね(笑)。すぅ そうそう(笑)。山内 でも今回のツアーではやってるし、柔軟になってるなあ、大人だあ!って思いながら見てる(笑)。すぅ スタンドマイクじゃないと落ち着かないんですよ。ギターもないと手持ち無沙汰になっちゃう。だからこれまでずっと避けてきたんですけど、今回は自分から「ハンドマイクでやる」って言いましたね。ゆかるんがお休みだということが大きくて、今までとは違うスタイルをわかりやすく届けたかったというのがいちばんの理由です。
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