●セットリスト1.デッドライン
2.Believe in yourself
3.ふりぃ
4.K.I.S.S.I.N.G.
5.immorality
6.19歳の唄
7.貴方の恋人になりたいのです
8.morning
9.母である為に
10.Don't leave me
11.いつの日も
12.キレイな唄
13.側にいて
14.マージナルマン
15.loving DARLING
16.なんにもない今から
17.ポーカーフェイス
18.変わりたい唄
19.モットー。
20.ロンリー
(アンコール)
EN1.まだ僕は生きてる
EN2.それぞれ歩き出そう
(ダブルアンコール)
WEN1.ストーカーの唄〜3丁目、貴方の家〜
WEN2.母の唄
阿部真央が、1月22日に「阿部真央 らいぶNo.8 ~ 10th Anniversary Special ~」の日本武道館公演を開催した。
今年でデビュー10周年を迎えた阿部真央は、昨年の11月から「Road to 10th Anniversary」と冠した全国ツアーをまわり、今年の1月には10年間の活動を凝縮したベストアルバム『阿部真央ベスト』をリリース。その勢いのまま迎えた5年ぶりの武道館公演は、ファンにとっても彼女自身にとってもひときわ特別な意味を持つライブになった。これまでの10年分の感謝、そしてこれからも阿部真央の音楽と共に歩んでいける喜びをお互いに噛みしめるような、多幸感に満ちた時間をレポートにしてお届けしたい。
開演前、まだ客電がついている状態にもかかわらず会場には大きな「阿部真央コール」が響き、10周年を盛り上げようと意気込むファンたちの気合いがビシビシ伝わってくる。割れんばかりの歓声の中、阿部真央がアリーナ前方に作られた特設ステージに登場すると、1曲目“デッドライン”でライブの幕を開けた。アコースティックギターを激しくかき鳴らし、思わず鳥肌が立ってしまうほどの大迫力で力強く歌い上げる。余韻を感じさせる間もなく、バンドセットと一緒に2曲目“Believe in yourself”へなだれ込むと、大勢の観客の手が一斉に挙がり、“ふりぃ”ではポジティブなエネルギーに満ちたシンガロングが起こった。飛び跳ねながら客席を煽り、序盤から全力のパフォーマンスで会場を沸かす阿部真央と、それに負けじと大きなクラップと掛け声で応える観客。会場の盛り上がりは、早くも最高潮に達してしまいそうな勢いだ。
「今日は私からみんなへの感謝の気持ちを存分に伝えるためのライブでもありますので、どうぞ最後まで楽しんでいってください!」そう告げた後は、ピンク色に染まるステージで可愛らしく“K.I.S.S.I.N.G.”、スタンドマイクに指を絡ませながら妖艶に“immorality”を畳み掛ける。曲ごとに全く異なる表情や声色を使って観客を魅了していき、スポットライトに照らされながら弾き語った“morning”では、胸に突き刺さる魂がこもった歌声を響かせた。
衣装チェンジを経た後はガラッと雰囲気を変え、“Don't leave me”、“いつの日も”といったバラード曲を続けて歌唱。シンプルなピアノの音色に乗せることによって歌の表現力がさらに際立ち、改めて阿部真央のシンガーとしての圧倒的な力量を思い知らされる。しびれるほどの感動に、曲が終わるとひときわ大きな拍手が沸き起こった。
ライブ中盤にはストリングス隊もステージに登場し、壮大なサウンドスケープで“キレイな唄”を披露。振り返るとこの10年、阿部真央の音楽はずっとネガティブな感情の味方でいてくれた。自信のなさや後ろ向きの言葉も誤魔化すことなく曝け出す阿部真央の楽曲に、一体どれほどの人々が共感し、ネガティブを跳ね返す勇気やパワーを授けられたのだろう。楽曲が披露されるたびにそんな考えが頭をよぎり、感慨深い気持ちになる。
ライブもいよいよ終盤に差し掛かった。再び衣装チェンジをした阿部真央がステージに現れると先ほどのしっとりムードからは一転、“変わりたい唄”で髪を振り乱しながらアコギをかき鳴らすロックな姿に、会場のボルテージは急上昇。本編ラストに披露された“ロンリー”では客席にギリギリまで近づき、ファンとお互いの10年間を讃え合うかのように笑顔で手を振り合う。最後はキラキラと光を反射させる金テープが会場中を舞い、大歓声と共に本編が終演した。
間髪入れずに起こった「阿部真央コール」に応え、3度目の衣装チェンジをした阿部真央とバンドメンバーがステージに再登場。頭に大きなリボンを付けて髪をツインテールに結んだとびきりキュートな姿に、いたるところから「可愛いー!」の声が上がる。阿部真央は少し照れた様子で「あさって29歳になります……実は子供もいます!」と会場の笑いを誘った。
この場にいる全員で楽しくおしゃべりをしているような近い距離感のMCを経て、最後は“それぞれ歩き出そう”でアンコールを締める。しかし、まだ今日を終えたくない観客からWアンコールを求める手拍子が起こり、今度は阿部真央がひとりでステージに上がった。「10年間ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!」深々と頭を下げながらファンへ感謝の気持ちを伝えると、会場には「ありがとう!」、「愛してるよ!」という温かい言葉が飛び交った。最後はライブでしか披露されない楽曲“母の唄”を力強く弾き語り、10年間の感謝と愛に溢れた武道館公演は幕を閉じた。(渡邉満理奈)