キュウソネコカミ/日比谷野外大音楽堂

キュウソネコカミ/日比谷野外大音楽堂 - All photo by V'z Twinkle PhotographyAll photo by V'z Twinkle Photography
キュウソネコカミ/日比谷野外大音楽堂


●セットリスト
01.キュウソネコカミ
02.MEGA SHAKE IT !
03.メンヘラちゃん
04.KENKO不KENKO
05.ファントムヴァイブレーション
06.越えていけ
07.ビビった
08.サギグラファー
09.ギリ昭和 ~完全版~
10.JP
11.たば狂
12.馬乗りマウンティング
13.イキがいいのだ
14.夏っぽいことしたい
15.K君 ※新曲
16.米米米米
17.家
18.DQNなりたい、40代で死にたい
19.KMTR645
20.※新曲
21.推しのいる生活
22.何も無い休日
23.真面目に
24.5RATS
25.The band

(アンコール)
EN01.GALAXY
EN02.ハッピーポンコツ

キュウソネコカミ/日比谷野外大音楽堂
キュウソネコカミ/日比谷野外大音楽堂
キュウソネコカミ/日比谷野外大音楽堂

7月15日に、キュウソネコカミにとって初となる日比谷野外大音楽堂ワンマン公演が行われた。今回のライブは、8月3日に行われた大阪城野外音楽堂公演を含めた東阪野音ワンマンツアー「DMCC REAL ONEMAN TOUR 2019 EXTRA!!~アウトドアマウス~」の東京編として行われたもの。メジャーデビューして6年目の彼らが、「バンドマンの聖地」との呼び声高いこの地でまだワンマンライブをしたことがなかったというのも意外だった。しかし、だからといって「やっとここまでこれたぜ!」といった感慨深さや達成感を前面に押し出すわけではなく、ただただいつも通りのキュウソのまま、200%のエネルギーで真正面から特攻していったライブの清々しさったらなかった。「昭和」生まれの5人が「平成」を飛び越え「令和」で初めて立ったステージで、彼らはありのままの「今」を鳴らしていた。

キュウソネコカミ/日比谷野外大音楽堂
キュウソネコカミ/日比谷野外大音楽堂
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梅雨の真っ只中だけれどこの日の天候は曇りの状態で持ちこたえていて、その強運に彼らの底力を感じた(とはいえ例え雨だったとしても彼らならそんな状況をも好転させてしまうんだろうなぁと思いつつ、ひとまず安心した)。開演前恒例の前説が終わり、ステージにヤマサキセイヤ(Vo・G)、オカザワカズマ(G)、カワクボタクロウ(B)、ヨコタシンノスケ(Key・Vo)、ソゴウタイスケ(Dr)が揃うと、指定席に座っていたオーディエンスがわっと立ち上がった。この日は立ち見エリア含めてソールドアウトということで、前を見ても後ろを見ても超満員。そんな会場の光景に早々に驚きつつ、“キュウソネコカミ”で勢いよくスタートを切った彼らの爆発力を全身に食らってまたびっくり。“MEGA SHAKE IT !”では「指定席でも盛り上がれるか!?」とのヤマサキの煽りに全力で応えるオーディエンスのエネルギーとバンドの相乗が2曲目の時点で既に臨界点に達していたし、“ファントムヴァイブレーション”での振り付けやコール&レスポンスでの完璧な一体感には感動した。

キュウソネコカミ/日比谷野外大音楽堂
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彼らは“キュウソネコカミ”で、自身の音楽性について《俺らは別に芸人じゃない 俺の生き様見せつけろ/それ見てみんな笑うけど それが何よりの優越感》と歌っている。確かに彼らのライブは笑いが絶えないし、エンターテインメント性もすこぶる高い。ヤマサキとヨコタを筆頭にしたノリツッコミが軽快なMCもそうだし、“夏っぽいことしたい”のプレイ中に「目にはサングラス、首にはレイ」という南国スタイルにチェンジしたヤマサキが水鉄砲をガンガン発射させる無邪気な姿は微笑ましくもあり、“サギグラファー”や“馬乗りマウンティング”などの時世を突いた歌詞には笑わせられながらスカっとする。けれど彼らは「ロックバンドがそれをする意味」を愚直なまでに考えているし、「ライブ」という日常と非日常の狭間に居られる特別な「今」を、どうしたら自分たちの音楽とお客さんと共に最高地点で迎えられるかを追求している人たちだ。そして歌詞はもちろんのこと、聴き手の感情をぐわっと盛り上げる勢いやスピード感、キメの入り方やビートの乗せ方など、メロディの全てが「ライブ=今に最も活きること」を第一に考えていることがしっかり伝わってくる。その意志があるからこそ彼らのライブはいつだってパワフルでエネルギッシュだし、風刺的なことを歌っていたとしても前向きな気持ちにさせてくれるのだろう。そしてヨコタ曰く「念願だった」という“ギリ昭和”から“JP”の流れを、この東京・日比谷という日本の行政の中心に限りなく近い場所で歌えたことは、まさに彼らがこれまで時代のポイントをしっかりと拾い上げて楽曲にし続けてきたからこそ生まれたストーリーだった(《内閣小泉純一郎!》のフレーズを会場一体で大シンガロングした時にはかなり笑ったし、その直後のMCでヤマサキが「これ安倍さんの耳に入ったら、安倍さんちょっとポロリやで」と言及していたのも良かった)。そしてその後もヤマサキによる弾き語り“K君”や、あたかも既存曲かのように超ナチュラルにぶち込まれた新曲など、サプライズと遊び心を忘れないライブで会場を沸かし続けた彼ら。そんな5人が本編の締め括りに選んだのは、“The band”。インディーズ時代に自らのアイデンティティを歌ったのが“キュウソネコカミ”。そしてこの“The band”では、メジャーステージに足を踏み入れた彼らが、改めて「キュウソネコカミはこう在りたい」というアイデンティティの再提示をしている。時代が物凄い速さで変わっていくことは、流行や時代性への感度が高いキュウソネコカミはこれでもかというほどよく分かっているだろう。そしてその荒波に揉まれ流されるのではなく、猫に食らいつく鼠の如く高い温度感で音楽にし続けている彼らは、《ロックバンドでありたいだけ》という意志を貫徹しているバンドだ。ハンズアップやシンガロングをほぼ全曲巻き起こしながら超絶エネルギッシュに突っ走っていったライブではあったが、5人のそういった真面目でストイックな根っこの部分もきちんと響いてきたライブだった。

キュウソネコカミ/日比谷野外大音楽堂
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熱望されたアンコールでは、野音でライブができたことへの感動や積年の想いを語りつつ、「また2回目があれば」という展望も覗かせていた。そして日も暮れ始めていい感じに暗くなってきた会場に向かって“GALAXY”をプレイすると「今日は星空見えてないけど、ここで皆さんと一緒に星空を作りたいと思います! 売れてるバンドがやってるアレです! スマホ持ってますか!? 初めてやります!」と、オーディエンスにスマートフォンのライト点灯を促し、会場を満点の宇宙空間に変えていた。そんなバンドとオーディエンスが完全に一体となったテンションをもう一段階上げるように、ラストには銀テープが派手に舞う“ハッピーポンコツ”をドロップ! まさに、笑いとサプライズとロックの融合――その集大成のような彼らのライブを観ると、ロックバンドの可能性は無限だなと思える。この日初の野音公演を大成功させた彼らが、この経験値をもってこれからどんな仕掛けをしてくるのか益々楽しみになった一夜だった。(峯岸利恵)

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