HYDE/KT Zepp Yokohama

HYDE/KT Zepp Yokohama - Photo by 岡田貴之Photo by 岡田貴之

「ようこそ『RUMBLE FISH』へ。ランブルフィッシュという魚は1匹水槽に入れても優雅に泳いでおりますが、2匹入れた途端に喧嘩を始めます。我々も今日、やる気マンマンマンで参りました。みなさんも、マンマンマンですか?」
そんなHYDEの挑発的な煽りが、それ以上に何より壮麗なまでの絶唱が、熱気あふれるフロアをさらなる高みへと導いていく――。

HYDE自身約3年ぶりとなるスタンディング形式のライブハウスツアー「HYDE LIVE 2022 RUMBLE FISH」。全国のZeppを舞台に6都市・計12公演にわたって行われる今回のツアーは、全公演とも強豪ゲストバンドを迎えた2マン形式での開催。東京・Zepp Haneda(TOKYO)で行われた2公演ですでにROTTENGRAFFTY(6/18)、coldrain(6/19)と音の激戦を繰り広げたHYDE、続く神奈川・KT Zepp Yokohamaでの2公演は、2日間にわたってDragon Ashとの対バンが実現! その初日・6/25公演のステージには、お互いへの無上のリスペクトと、相手を認め合うからこその挑戦精神が、ロックの核心そのものの如き熾烈な音像とともに轟々と渦巻いていた。

HYDE/KT Zepp Yokohama - Photo by TAKAHIRO TAKINAMIPhoto by TAKAHIRO TAKINAMI
先攻のDragon Ash、ドラマ『インビジブル』の主題歌として書き下ろした最新楽曲“Tiny World”の《世界はここにある》の部分を《音楽はここにある》と変えて宣誓の如く決然と歌い上げたKj(Vo・G)、渾身のハイジャンプ! ライブハウスという場所を愛し心血を注ぎ続けてきた、Dragon Ashの存在証明のような開幕のシーンだ。
満場のクラップを呼び起こした激烈ミクスチャーの結晶“Mix It Up”。ライブのオーディエンスとの共闘関係の証と言うべき“For divers area”など、ひときわエモーショナルな激演を繰り広げていった。
「すごいのよ、HYDEさんは。懐が深くて、優しくてさ。ロックスターは、懐が深くて、腰も低くて、板(舞台)の上に乗ったら段違い、っていうのがいちばんかっこいいと思います!」
高ぶる想いを語るKjの言葉に、会場一面に拍手が広がっていった。

HYDE/KT Zepp Yokohama - Photo by TAKAHIRO TAKINAMIPhoto by TAKAHIRO TAKINAMI
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ラウドシンフォニーの絶景を描き出した“New Era”のような最新モードの楽曲から、“百合の咲く場所で”などキラーアンセムまで、圧巻のアクトを展開したDragon Ash。“Fantasista”でのKjの「飛び跳ねろ!」のコールが、ジャンプとダンスの輪を生み出していく。コロナ禍の影響ゆえ、フロアはひとりずつ立ち位置がグリッドで仕切られてはいるものの、ミクスチャーバンドとしての揺るぎない矜持に貫かれた歌と音像が、辺りをクラップとジャンプの沸き返る最高の熱狂空間へと塗り替えてみせた。

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そしてHYDE。「ヤバいよ。本当に来ちゃったよ、Dragon Ashが! 『偽物が来たらどうしよう』と思ったけど、本物だよ? しかも2日来るんだよ? なかなか呼べないでしょ? 隅々まで観たよ、さっき!」と興奮を抑えきれない様子で語りながら、“AFTER LIGHT”ではフロアを揺らすほどの狂騒感を呼び起こし、“DEFEAT”では時に舞台に体を投げ出しながら全身震撼レベルの絶唱を突き上げ……といった具合に、あたかもハードコア魔導師の如く全身からダイナミックな妖気を放射していく。その歌とパフォーマンスのすべてが決定的瞬間として脳裏に焼き付いていくような濃密な存在感を、この日のHYDEの佇まいは確かに備えていた。

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「僕は“Fantasista”っていう曲が大好きで。あれはやられた!って思いました。僕はラップできないんですけど」と明かしていたHYDE。VAMPSの1stシングル曲“LOVE ADDICT”、ハイパーな覚醒感に満ちた“MAD QUALIA”といった楽曲に応えて、オーディエンスのアクションはさらに熱量を増していく。「横浜、すごいよ!」と感激を露わにしつつ、“ANOTHER MOMENT”では「3・2・1でみんな、ジャンプします!――あ、今日は『飛び跳ねろ!』って言ってみようかな?」とKjを真似ながら、一面ハイジャンプの躍動感でZeppを激しく揺さぶってみせた。
痛快なアジテーション感満載の新曲“6 or 9”も飛び出したこの日のアクト。“GLAMOROUS SKY”ではなんとKjとのツインボーカルが実現! サビで絶妙なハモリを聴かせたHYDE&Kj共演は、ラウドロックの歴史に堂々と刻み込みたい名場面だった。「今の、夢じゃないよね?」という感無量なHYDEの言葉が、痺れるような余韻とともに胸に残る、珠玉の対バンだった。

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Dragon Ashとの2日間のあとも福岡・大阪・名古屋・札幌とZeppをサーキットする「RUMBLE FISH」ツアー。次回7/2・7/3:Zepp Fukuoka公演にTHE ORAL CIGARETTESを迎えたあとも、GASTUNK、TOTALFATCrossfaith、CVLTE、NOISEMAKERと世代を超えた強者が対バンゲストとして登場する。(高橋智樹)

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