All photo by 郡元菜摘音楽シーンの未来を変える、超大型オーディションプロジェクトとして約5年ぶりに再始動を果たしたロッキング・オン主催のオーディションプロジェクト「
RO JACK」。数々の選考とFINALライブを経て、今回CloudyとTHE DO DO DO’sの2組が新生「RO JACK」初代優勝アーティストに輝きました。
ジャンルレスな音を堂々と鳴らした全員10代バンドのMUSIQAや、海を超えて韓国からステージに立った이상종 / Nunegashiなど個性豊かな8組のファイナリストによるFINALライブ。その中でもCloudyが持つストレートな歌声と恐れ知らずのアグレッシブサウンド、THE DO DO DO’sが持つあらゆるカルチャーを内包した唯一無二のキャラクターが優勝の栄冠を手繰り寄せる結果になりました。この2組は、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2025のステージから、音楽シーンの主役を担うアーティストを目指して大きく羽ばたいていきます。そんな期待の優勝アーティストが決定した大白熱のFINALライブのレポートをお届けします。(RO JACK製作委員会)
文=ソノダマン
①MUSIQA
メンバー6人が音を鳴らした瞬間にゾクッとした。トップバッターのMUSIQAは、まだ全員10代で結成して1年。確かにメンバーの顔には幼さを感じさせるけれど、何年もひたすらライブハウスで音を鳴らして磨き続けてきたかのような燃え盛るグルーヴを生み出している。保坂遊太(Vo)は自身で声にエフェクトをかけていたが、そのスモーキーな歌声もまた、ファンクなどのエッセンスを強く含んだこのミクスチャーロックを歌うために持って生まれたかのようだった。
●セットリスト
01. Pipe DR€AM
02. 火病
②이상종 / Nunegashi
この日のために韓国からやってきた이상종 / Nunegashi。ソロアーティストだがバンドメンバーを従えてのライブである。いきなり観客に手拍子を求めた曲の歌詞が日本語であることに驚く。MCも日本語で、コール&レスポンスを求める場面も。이상종 / Nunegashiが作るスケールの大きなポップミュージックは、国境を越えてたくさんの人と繋がるために鳴らされているものだということが伝わってくるパフォーマンスだった。
●セットリスト
01. Omelas
02. H.U.R.T
③THE DO DO DO's
3番手はツインギターのロックンロールバンド、THE DO DO DO’s。サポートドラムを加えたスリーピース編成で、ベースがいないことによってヒノ・ヨーコとクハラディ・クハラダのツインギターとツインボーカルがダイレクトに響いてくる。いきなりステージ前まで出てきてギターを掻き鳴らすのも、日頃からライブハウスでこうやって音を鳴らしているということが伝わってくる。このバンドが掲げるロックンロールがどこまでもキャッチーでロマンチックなものであるということも。
●セットリスト
01. わかりたい
02. Hold me baby,kiss!kiss!kiss!
④UtaKata
5年振りのRO JACKの新しい試みが、SNS投稿の盛り上がりで最後の1組を決めるプラスワン選考。その枠を勝ち取ったのが東京のロックバンドUtaKataだ。疾走感溢れるロックサウンドはバンドの演奏力の高さを感じさせるが、それだけではない力が宿っているように感じた。SNS投稿によってこのステージに連れてきてくれた人たちの思いも音に乗っているからだろう。その思いがこーだい(B・Vo)の「俺らは今日すべてを変えに来たんだよ!」という言葉に繋がっていく。RO JACKの物語の新たなページが開いたパフォーマンスだった。
●セットリスト
01. 電光少女
02. ログアウト
03. 宣戦前夜
⑤sidenerds
5組目は男女混成4人組バンドのsidenerds。音を鳴らした瞬間に一瞬でこのバンドの空気に塗り替えてしまう、オルタナやポストロックを通過したサウンド。そこに、みにあまる雅(G・Vo)のハイトーンボーカルが乗る。今の時代だからこそ生まれる音楽だ。“入水”のアウトロでねぎしのはん(G)はステージに倒れ込みながらギターを鳴らす。その轟音はどこまでも美しく、掲げたピースサインは自分たちの音楽をやり切ったことを示していた。
●セットリスト
01. 透明な石炭
02. 入水
⑥青が藍に染まるまで
悠稀(G・Vo)が弾き語りのようにして歌い始めた奈良の2人組、青が藍に染まるまで。そこからバンドメンバーも加えたミドルバラードに展開していくのだが、悠稀の透き通るハイトーンボイスの歌唱だけではなく、曲中に今自分が思っている言葉を次々に挟んでいく。作詞作曲担当はかなね(B)だというが、ふたりともが言葉の人であるということが伝わってくる。それは、ライブの最後にこのRO JACKへの想いを伝えたことからも。
●セットリスト
01. 愛終日
02. 理想郷
⑦Akane Streaking Crowd
7組目は京都の2人組、Akane Streaking Crowd。サポートギターを加えたストレートなギターロックかと思ったら、電子音が流れて立本純嗣(Dr)のビートがパンクになっていく予想外すぎる展開。そうして1曲の中でガラッと変わりながらも客席ではたくさんの腕が上がるくらいに場を持っていく力を持っている。キタザトユタカ(B・Vo)が「面白い人間ではないけど、心血注いで作った曲は信じてる」と言っていたけど、楽曲も本当に面白いバンドだ。
●セットリスト
01. 2001
02. 深夜特急
03. 新快速
⑧Cloudy
トリは音を鳴らした瞬間にたくさんの観客の拳が上がるCloudy。激しく動き回る守屋浩次のベース、おおつかつばさ(Dr)のぶっ叩くビートから衝動が溢れ出している。「ロッキンのメインステージのトリをやるためにこのバンドを組んだ」と想いを叫んだ小柴タケト(Vo・G)の熱さを持った歌声ももちろんそうだ。ストレートなロックバンドだからこそ射抜けるものがあることを確かにわかっている。そんな確信が2曲から溢れていた。
●セットリスト
01. 優しさを失くした
02. 命を燃やしている
ライブ後の結果発表ではCloudyとTHE DO DO DO’sが優勝に選ばれたことが発表された。あの大きなステージでこの2組がどんなライブを見せてくれるのか楽しみで仕方がないし、この日8組のライブを観た人にとって、「RO JACK」はきっと新たな音楽との出会いになったはずだ。
優勝 Cloudy
優勝 THE DO DO DO’sRO JACK オフィシャルサイト