BUMP OF CHICKEN/Zepp Haneda(TOKYO)

BUMP OF CHICKEN/Zepp Haneda(TOKYO) - All Photo by Taku TatewakiAll Photo by Taku Tatewaki

●セットリスト
01. アカシア
02. K
03. 天体観測
04. なないろ
05. R.I.P.
06. Flare
07. 66号線
08. クロノスタシス
09. 透明飛行船
10. SOUVENIR
11. 花の名
12. アルエ
13. GO
14. ray

ENCORE
15. Merry Christmas
16. ガラスのブルース
17. ギルド
18. ダイヤモンド



BUMP OF CHICKEN/Zepp Haneda(TOKYO)

「aurora ark」以来、約3年ぶりのBUMP OF CHICKENのツアー「Silver Jubilee」。12月13日、そのファイナルを共に体験するためにZepp Hanedaに集まった満員のオーディエンスを前に、藤原基央(Vo・G)、増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)の4人が姿を現す。藤原が左手でギターを掲げると、オーディエンスが手首に装着したリストバンド型ライト・PIXMOBが光を放つ。きらめくようなイントロが聴こえる。まずは“アカシア”だ。

躍動するバンドアンサンブルに乗せて、《ゴールはきっとまだだけど もう死ぬまでいたい場所にいる/隣で (隣で) 君の側で 魂がここだよって叫ぶ》というメッセージが再会を祝福するように響く。《目が合えば笑うだけさ》と歌いながら藤原がフロアを指さす。そして「会いたかったぜ!」とシャウト。初っ端から歓喜が爆発している。
 
イントロで増川とチャマが升の座るドラムセットの前にぎゅっとかたまり、“K”へ。増川が左足をモニターに乗せてギターを弾く。チャマはグルーヴに体を揺らしベースを奏でる。升が安定したビートを生み出す。藤原の声が鋭く空間を切り裂く。「こんばんは! BUMP OF CHICKENです。行くぞ、東京!!」という藤原の叫びは歌と一体化する程のライブ感。序盤からすべての時間を最高に濃密なものにしようとするような、前のめりの気持ちが伝わる。

BUMP OF CHICKEN/Zepp Haneda(TOKYO)

シングル曲、アルバム曲関係なく新旧織り交ぜたセットリスト。後半に演奏された最新曲“SOUVENIR”は、多種多様な音色が膨大な情報量をはらむ楽曲だが、感触はとても軽快でフレンドリー。初めてライブで聴く“SOUVENIR”はとてもカラフルで立体的だった。《ちゃんと見つけられる 目印が欲しかった》のフレーズで藤原は手を目の上あたりにかざし、遠くまで見ようとする仕草を。ワクワクするようなリズムを放つ《歩いて歩いて》は軽やかにステップを踏みながら歌い、ハンドクラップをうながす。非常に躍動的でBUMPのライブの世界観に新たなグルーヴをもたらしていた。

真摯に不器用に純粋に、音楽が指し示す道を歩み続けてきたBUMP OF CHICKENの道程がそのまま歌われたような“GO”。勇気を持って新しい音楽の扉を開くことでたくさんの新たな出会いをもたらした代表曲とも言える“ray”を演奏し、本編は終了。

BUMP OF CHICKEN/Zepp Haneda(TOKYO)

大きな拍手の中、4人揃って今回のツアーグッズであるグレーのタオルを肩にかけて再登場。楽しそうに何やら話しながら、ステージ下手から上手へ移動する。オーディエンスに近づきつつ、増川がいたずらっ子のような表情で「秀ちゃん」と升を指差し、今さら升を紹介する様子に笑い声が上がる。アンコール1曲目は、この時期にぴったりの“Merry Christmas”だ。藤原がハンドマイクでオーディエンスに近づきながら、「手首にきれいなのがついてるじゃない。高く上げて見せてくれよ!」とアジテート。クリスマスカラーの光が場内を照らし、チアフルなムードを高める。

最初期の楽曲“ガラスのブルース”で藤原が《僕はいつも 力強く 生きているよ》と歌う。藤原基央の存在証明とも言えるこの曲が、誕生から26年以上経ち、たくさんのオーディエンスの前で力強く心を込めて鳴らされるその説得力たるや。オーディエンスの心の声を聞こうと、増川とチャマが耳を手に当てる。藤原は、《君と歌う》と歌詞を変えて歌い、右手で力強く胸を叩く。「どうもありがとう!」と叫んだあと、もう一度、一層大きな声で「どうもありがとう!」と叫び、再び《君と歌う!》と歌った。

BUMP OF CHICKEN/Zepp Haneda(TOKYO)

ステージに藤原がひとり残り、こんな話をした。これまでBUMPが、自分たちが生み出した音楽が聴き手と出会うために好きにやってきたこと――メジャーデビュー、映画『ONE PIECE』での初タイアップ、テレビ出演……その度に「変わっちゃうんだ」という声が上がった。「そういうもやもやを決してないがしろにせずやってきました」。「だけど、そのうちのどれかやらなかったらこの中の誰かに会えなかったかもしれない。そう思うと俺は絶対に間違ってなかった。君たちのおかげで今のBUMP OF CHICKENの歩んできた道、この看板をめちゃくちゃ誇りに思えてます。ほんとありがとう!」。そしてギターを持ち、「『ありがとう』って気持ちが追い付かないんだわ。言葉が足りなくて」と言って、“ギルド”を演奏し始めた。藤原にとって、「ありがとう」という気持ちを伝える最上級の方法は曲を奏でることだ。26年間ずっとそうだった。1フレーズ歌ったところで、増川、チャマ、升が現れ、それぞれが定位置につき、丁寧に音を重ねていく。3人は藤原の楽曲の魅力を最大限引き出すためにこうやって向き合い続けてきた。まるでBUMPの原理が具現化したような一幕だった。アウトロで4人が顔を見合わせ、そのまま“ダイヤモンド”に突入。26年間共に音楽を鳴らし続けてきたからこその阿吽の呼吸が感じられた。

藤原が「4人でBUMP OF CHICKENです! 君が選んでくれたバンドです! 新しい曲もできてるぜ。いつかまた世の中にその曲を放り投げるから、その耳でキャッチしてくれよ!」と口にし、4人は笑顔で去っていった。
ROCKIN’ON JAPAN 2月号(12月28日発売)では、本公演のさらに詳細なレポートを掲載する。(小松香里)

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