Lenny code fiction/千葉LOOK

Lenny code fiction/千葉LOOK - All photo by 日吉“JP純平”All photo by 日吉“JP純平”

●セットリスト
01. Psycho
02. 脳内
03. Pretty Dirty
04. 本当の事
05. Make my story
06. TOKYO
07. ビボウロク
08. SEIEN
09. KISS
10. Showtime!!!!(Short ver.)
11. I’m watching one of my favorite movies now.This will be my 9th time.
12. 世界について


Lenny code fiction/千葉LOOK
「こんだけ続けてたら何が間違ってて、何が正しいのかわからないけど、今日はリリースした曲、それと過去を全部置いて、最高の1日目にして帰ります」と片桐航(Vo・G)が口にしていたように、声出しも解禁された今、とにかく気持ちが高まっているのが今のLenny code fictionだ。新作『SEIEN』も血気盛んなライブチューンが顔を揃え、バンドのムードがそのまま投影された出来栄えになっている。

そのリリースツアー初日、ゲストとして迎えたのは激情をぶちまけるロックバンド、KAKASHI。メンバーそれぞれの繋がりはあれど、バンドとしては友達の友達という距離感だったというが、ステージ中央で声を合わせ、初っ端の“本当の事”から爆音でぶちかます。骨太なロックサウンドはフロアへ一気に襲いかかり、アイコンタクトした堀越颯太(Vo・G)と関佑介(Dr・Cho)が思わず笑みをこぼすほど、しっかりオーディエンスも呼応。サビの点火っぷりが痛快な“グッドバイ”へと続け、このツアーでいちばん最初に音を出す責務をしっかりと果たしていく。
シリアスな空気の中で斎藤雅弘(G・Cho)のプレイも冴えわたる“流星の中で”や、「ここにいるあなたに精一杯、歌を歌う。それだけをしに来ました」と堀越が改めて宣言してから放った“さらば愛しき青春”でより熱を高め、さらには新曲“られる”も披露。しっかりと前へ進む姿を見せつけながらライブを展開。メンバー全員が前のめりで踏み出した“ドブネズミ”の迫力も素晴らしかった。
終盤には壮大なバラードから激しく覚醒する“20’s”、寄り添い背中を押してくれる“ドラマチック”と続けてから、エネルギッシュな“Set me free”とさらに畳み掛けての締めくくり。この日この場所でライブをする意味を刻み込む圧巻のパフォーマンスを見せつけてくれた。

Lenny code fiction/千葉LOOK
Lenny code fiction/千葉LOOK
そんな最高のバトンを渡されたのだから、そりゃ気合いが入らないはずはないLenny code fiction。厳かなSEが流れ、KANDAI(Dr)、kazu(B)、ソラ(G)と順々に音を重ねていき、オーディエンスの盛大なクラップも鳴る中、まずは“Psycho”を全身全霊で放っていく。「盛り上がりに特化したアレンジ」とメンバーが語るだけあって、生み出されるグルーヴが凄まじい。片桐の小気味良いボーカルも鋭く、いきなり波打つフロア。ヘビーでありながらも彩り豊かなサウンド感で一気に染め上げていくのだ。軽快かつスタイリッシュでありながら、随所に熱気ほとばしる彼らならではの“脳内”では、あまりのオーディエンスのリアクションの良さに片桐がサムズアップするほどの盛り上がりを見せ、ソラとkazuのコーラスも興奮を誘う“Pretty Dirty”も強烈な一撃。この日にかける想いがビシビシと伝わってくる。
ここで片桐がKAKASHIへ「きれいな声できれいな歌を歌ってる、それだけで帰るバンドが嫌いだった10代の頃をめちゃくちゃ思い出しました。めちゃくちゃかっこよかった。バンド始めた頃の、自分ら最強って気持ちが湧いてきます」と改めて感謝を述べたあと、飛び出したのはなんとKAKASHIのカバー“本当の事”。コロナ禍でなかなか実現できなかった対バンツアー。期するところがあるに違いない。オーディエンスもクラップで後押しし、ステージ袖からKAKASHIのメンバーが見守る中、奏でられたこの曲は非常に美しい光景だった。

Lenny code fiction/千葉LOOK
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中盤戦に入っても攻め手は緩めず、フロアから発せられるエネルギーを両手で受け止めながら片桐が歌を飛ばし、KANDAIの激しいドラミング、kazuのスラップにソラの巧みなソロと見せ場もたっぷりだった“Make my story”、フロア全体をグッと持ち上げ揺さぶりまくる極上のパーティーチューン“TOKYO”と続け、圧巻だったのがその流れでドロップしたミディアムバラード“ビボウロク”。それまでの熱が撹拌され続けた極彩色な空気から一転、真摯で温かいアプローチで会場全体を包み込む。もらった優しさがテーマになっていることもあり、メンバーもまっすぐ前を見つめ、その歌と音に想いを乗せてフロアの隅々まで染み渡らせていくのだ。情熱的に踏み込むだけじゃない、彼らの魅力が存分に味わえた瞬間でもあった。

そして、曲の始まりに「やっと声が出せますよ。よかった」とKANDAIが思わずつぶやいた“SEIEN”からは再びライブバンドの真骨頂を見せつけるステージへ。キャッチーなグッドメロディは当然として、激しいリフに躍動するリズムという得意技が満載なだけあって、両手を突き上げて歓喜し、声を張り上げるオーディエンス。やっぱりライブはこれだよ、と痛感させられるが、そこで満足するバンドではないのも彼ららしいところ。まだまだ畳み掛けると宣言し、オーディエンスを揺らして、飛ばして、自由な空間を演出した“KISS”、kazuがもっと行けと言わんばかりに手を振り上げ、KANDAIが強烈なショットを繰り出した“Showtime!!!!”と一気に駆け抜け、極めつけはやりたい放題な“I’m watching one of my favorite movies now. This will be my 9th time.”。キレッキレのラップもゴキゲンすぎる2ビートもライブで聴くとまた格別。完全に喰らってしまった人が多かったのではないだろうか。
 
Lenny code fiction/千葉LOOK
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このままの勢いでクライマックスへ向かうかと思っていたところ、片桐が胸の内をゆっくりと語りだす。「2023年は古い曲がなくなっていけたらなと思います。次にやる曲もしばらくはおさらばしたいと思うんですけど、それを塗り替えられるようなバンドになると決めたので。いい曲書いて、いいライブまわって、いいバンドと出会って、いいライブやな、って言われて。思い出に残るような曲、ライブ、これからもやっていきます」という強靭な意思表明だ。もちろん、欠かせない代表曲はあれど、そこに頼ってばかりでは現在進行系のバンドとしてふがいない。とはいえ、そう口に出せるバンドがどれほどいるだろうか。

ラストは思いの丈を込めて片桐が歌い出し、華々しいイントロからスケール感いっぱいに鳴らす“世界について”。最後の一音まで100%でやっていきます、という言葉通り、混じりけのないサウンドを轟かす。頼もしいロックバンドの姿がそこにはあった。ありったけの情熱を携えたまま、5月7日(日)、ツアーファイナルとなる渋谷duo MUSIC EXCHANGEまで駆け抜け、そしてそこからまたスタートを切るのだろう。最高を更新していくと覚悟を決めた彼らから目を離せなくなった夜だった。(ヤコウリュウジ)

Lenny code fiction/千葉LOOK

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Lenny code fiction、自らの武器を磨き抜いたライブチューンのみで彩られたニューシングル『SEIEN』完成!メンバー全員インタビュー[PR]
膨大な熱量を詰め込んだロックをグッと突きつけるLenny code fictionがニューシングル『SEIEN』を完成させた。詰め込まれた楽曲は、声出しが解禁されたこのタイミングで届けられたことに運命的なモノすら感じてしまう、興奮必至で思わず声を張り上げたくなるライブチューンのみ。爽快さと…
Lenny code fiction、自らの武器を磨き抜いたライブチューンのみで彩られたニューシングル『SEIEN』完成!メンバー全員インタビュー
Lenny code fictionに取材しました!
2月15日に7thシングル『SEIEN』をリリースしたLenny code fictionに取材しました。 収録される3曲すべてがライブチューンとなっている今作の制作エピソードはもちろん、声出しが解禁されたことによる心境の変化やライブへの真摯な想い、今後の展望などメンバー全員にじっくり語…
Lenny code fictionに取材しました!
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