ART-SCHOOL @ 渋谷C.C.Lemonホール

バンドにとって初の渋谷C.C.Lemonホール公演は、超大型台風が接近する中、開演時間をわずか過ぎた18時15分頃スタート。トリプル・アンコールを含む、全35曲、3時間弱という異例のロング・セットだったが、効果的に映像や照明を使うなど、まったく飽きさせない充実した内容だった。中盤、アルバム『Flora』のプロデューサーである益子樹がキーボードとして参加。アルバムの豊かな音楽性、湧き上がるようなアンサンブルを、一層深く広げていく。本編終盤"MISS WORLD"から、ラスト"あと10秒で"までは、怒涛の人気曲連打で、着実に沸点を更新し、大歓声の中、メンバー4人が去っていく。アンコールでは、アコースティックで"ダニー・ボーイ"を披露。いつの間にかあたたかい手拍子が聞こえるという、ART-SCHOOLのライヴではとても珍しい現象が起きる。絶望の淵から希望を求める冷たく甘美な音楽が、多くの聴き手にとって得がたい存在になっていることを、改めて感じる。「これ、もう35曲目なんで」とヴォーカル&ギター木下が照れくさそうに言って最後の最後で演奏されたのは、"車輪の下"。強い意志が漲った叫びと、空間を埋め尽くす轟音アンサンブルは、本当に美しかった。不器用に、誠実に、音楽を届け続けてきたバンドの、大きな通過点となるとても良いライヴだった。(小松香里)
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